ウルトラマリンについて。 | パコの手作り石けんのあれこれの雑記

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え~と、石けんを作っているにあたって、あれこれとやっている訳なんです(^^;)
そんなことを綴っております。

今日は石けんの色づけにも使われるウルトラマリンのお話です。ウルトラマリンには実はいくつかの色がありますが(緑、青、赤、紫など)、大抵はウルトラマリンと言うと「青」とされます。


ここで話題をガラッと変えます(^^;)

「毒」のお話です。毒物がその毒性を示すためには「量」が必要になります。ほんのわずかな量でヒトに対して健康被害を及ぼすものもあれば、相当の量を摂取しないと毒性を示さないものもあります。

毒性を示さないまでの量を「許容量」と言い、この許容量が高いほど毒性を示すためには多くの量が必要となります。言いかえれば許容量の範囲なら「大丈夫」とも言える訳です。まずこれを頭に入れておいて下さい。


さて。ウルトラマリン、そして毒、と来ました。何で???


ウルトラマリンは鉱物由来の顔料です。天然のものもあれば、合成のものもあります。恐らくですが、価格の問題で、出回っているものは合成が多いであろうと思います。

合成のものは天然のものよりも粒子が細かいため、青が鮮やかに出ると言われていますが、耐光性(光に対する強さ)はわずかに劣る、とも言われております。

ただ、天然、合成、共に共通して持っている性質もあります。あれこれありますが、石けん関係で言えば、「酸に弱い」ということです。

酸と言ってもいろいろある訳ですが、この「弱い」と言われる酸の中には「酢酸」も含まれます。いわゆる「酢」でありますね。


で。例によって難しいことは省きますが(^^;)、ウルトラマリンは酸に触れると青色を失い、その過程で「硫化水素」を発生させるのです。(ウルトラマリンの構成成分の中に硫化物イオンや硫酸イオンが含まれているため、酸と化学反応を起こしてしまうのですね。)ちなみに硫化水素の化学式はH2S、割と簡単な構造です。


慌てないで下さい!!最初に書きました。「毒」が毒性を発揮するためには「量」が必要なのだ、と。

硫化水素の場合、悪臭防止法に基づく大気濃度規制値は0.02~0.2ppm、労働安全衛生法規制値(許容量の限界濃度)は5ppmとされています。これ以下なら大丈夫な訳です。

ppmとはパーツ・パー・ミリオンの略で100万分の1、の意味です。要するに1ppmは0.0001%、逆に言えば10000ppmで1%となります。

お風呂場を例に取りますと、お風呂場全体の体積の0.000002~0.00002%の硫化水素の発生で悪臭防止法に基づく大気濃度規制値、0.0005%の発生で労働安全衛生法規制値(許容量限界濃度)となります。

叫びちょっと!めっちゃ少ないんじゃないの?!叫びと思われた方、ご安心下さい。これ、化学分析すると実はけっこう多い方なんだそうです(^^;)


さて、石けんに使ったウルトラマリンが「酸」に触れる可能性があるとすると・・・。お風呂です。石けんでシャンプーされている方ならおわかりでしょうが、リンスは「酸」を使います。クエン酸しかり、酢しかり、です。

ただし、この「酢」というやつ、実は「酢酸」という酸は3%しか含まれておりません(^^;)けっこうヤワな酸なんです。

クエン酸はもう少し強い酸ですが、まさか皮膚が焼ける、というほど強い酸である訳でもありません。

そして、ウルトラマリンを石けんの色づけに使う時、そうそう沢山入れている訳ではないのも、お作りの方ならよくおわかりかと思います。


そういう微量なウルトラマリンを、けっこうヤワな酸に触れさせた場合・・・・・。それも風呂場で一度使っただけの場合・・・。硫化水素はどこまで発生するんでしょうか(^^;)


大して発生しないだろうな、というのが私の見解です。(正式に分析をしないと何とも言えない所なのですが、もしかしたら発生にも至らないかも知れないな、とも思うのです。)

けっこうたくさんウルトラマリンを入れた石けんをシャンプーに使って、クエン酸あたりに触れた場合、もしかしたらほんわか「オナラ」の香りがするかも知れませんが・・・・・・(;´▽`A``←実は人のオナラにも若干の硫化水素は混じっております。これがあのニオイの原因です。いやぁね・・・(^^;)

「ほんわか」程度なら問題は無いそうです。ただ「むせかえる」、「臭くて風呂場にいられない」、なんてことになったら、とっとと逃げ出して下さい。硫化水素は空気より重いですから、一旦逃げ出して、それから保護具をつけて、しゃがみ込んだりせずに換気をしてやって下さい。(恐らくそこまでのことにはならないと思いますが、念のため。)


このことを知ってウルトラマリンを使うのと、知らないで使うのでは雲泥の差があると思うのです。

「何だかちょっと臭いけど何かなあ・・?」と思うのと、「ちょっと臭いなあ・・・。こりゃいかん。」と思うのとでは対処の仕方が全然違って来ますよね。

それで申し上げた訳なのです。

それからもう一つ、毒性の中に「肌、粘膜への刺激性」というものもあります。これがどの程度であるのかは、家庭では実験出来そうもありませんが、相当微量の気体である硫化水素が肌へどのくらいの刺激を与えるか、という問題も「恐らく大したことじゃないかもな・・・。」とも思えるのですね。

ただ、私個人的にはあまり使いたくない物質であります(^^;) お使いの皆様には申し訳ないのですが・・・。

どうも鉱物由来のものを強アルカリに触れさせるのがためらわれてしまって・・・・かお


あ、硫化水素、あまりに濃度が高いと嗅覚を麻痺させる作用があるので、致死量を越えている場合でも気付かないこともあります。(活火山などで死者が出る場合にこういう例があります。)

そう言えばどっかの活火山に看板が立っておりまして、レベル1は「大丈夫です。」、3あたりが「逃げて下さい。」最高レベルが「あきらめて下さい。」って書いてあったなあ・・・・・。「あきらめて」・・・って・・・・・(^^ゞ


もちろん、石けんをウルトラマリンで色づけして、リンスに弱酸を使ったところでこんな高濃度にはなり得ませんから大丈夫です。ただ、そういう物質である、とうことを頭に入れて使った方がいいなあ・・・なんて思ったりしている訳ですσ(^_^;)

以上、写真も無い上にやたらと長い記事でしたm(__)m お付き合い下さってありがとうございました。


注:研究室以外で意図的に発生させてはならない物質であることはもちろんです。気体ですので、致死量レベルの量を発生させた場合、自分だけではなく、周辺の人まで巻き込んでしまうことになります。絶対にやってはならないことです。(ウルトラマリンで致死量レベルの硫化水素を発生させる、なんてことはもちろん現実的には出来ません。)


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