
///////////////////////プロローグエピソード/////////////////////
2013年、東京。
最初の異変は、杉並区で起こった。
区立中学校の入学式のことである。
在校生698名のうち、3年生の1クラス30名が同時に意識を失った。
壇上でマイクを握っていた在任5年目となる校長の話が常識はずれに冗長だったとしても、それが原因でこのような倒れ方はしない。
意識を失った生徒たちは心肺停止状態で、その症状は脳卒中に酷似していた。
ただ、脳卒中で倒れると通常はすぐさま瞳孔が開いてしまうが、彼らは心肺停止状態にも関わらず、眼球だけがぐるぐると動き続けていた。
入学式が行われていた体育館前に次々と到着した救急車によって、30人は搬送された。
だが、彼らの症状が当時の医療科学の常識では計り知れない異常事態であることは、すぐに判明することになる。
彼らの頭部のCT検査を行ったところ、通常直径1cmにも満たない松果体という器官が、直径3cmほどの大きさであることが判明した。
そして、彼らの脳波は一般的な脳波計では計測することができなかった。
その測定値は常人の30倍という数値であり、人間の脳がそのような数値の脳波を発することは常識では考えられない事態であった。
彼らは、死んでいるのに、死んでいないのだ。
逆の言い方をすれば、生きているのに、死んでいるのだ。
まずは搬送された大学病院での検査、そして国立の病原体に関する研究機関に移管され、やがてはその症状の研究は国際機関に委ねられた。
彼らのような意識不明者の症状は「パキラ症候群」と名付けられた。
彼らは眠っているようにも見える。
しかし、息はしていない。
彼らは死んでいるようにも見える。
しかし、眼球は何かを目で追うように動き続けている。
彼らは、選ばれたようにも見える。
誰から?
…パキラから。
そして12年後、人類の歴史は唐突に終わった。
研究施設のベッドで眠り続ける30人を残して。
///////////////////////プロローグエピソード/////////////////////
全力株式会社 パキラアームズ ストーリー
