キャット・ファンタジー② 飛翔、そして墜落(前編) | たぬきのしっぽ ☆彡

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★チンチラたぬきと
メインクーンきつねの生活日記♡

  
おはようございます、大mamaです☆彡
一週間のご無沙汰です。

 
  

雨の季節には
雨にふさわしい花が咲くのね。
アジサイは雨の日と晴れの日で
微妙に色が変わって美しいと思うわ。
天気が悪い時には
悪いなりの楽しみをみつけなくちゃね。

 

前回までのお話を短くまとめて
お話するわね。

主人公は守君、小学4年生の男の子、
妹のさらさちゃんは保育園児。
二人のお母さんはつい最近家出して
行き先もわからない。
二人は父親に
大人の事情を聞けずにいるの。

その上、体の小さい守君は
小学校でのいじめが
だんだんエスカレートして
そろそろ限界だと感じている。

そんな中、公園で箱に入れられ
放置された子猫を見つけ
子猫たちを救おうと思うの。

先に子猫たちを見つけたのは
西岡ってヒトだけど
白い子猫を
一匹だけ家に連れて帰って
ひいらぎという名前の娘に渡すの。

だから、ひいらぎちゃんは
一生懸命に
残りの7匹の猫を探しているわ。

守君のお父さんは
母親の件と
息子のイジメの件を考慮して
祖母と暮らすため
引っ越しを決断し、
守君とさらさちゃんに話した、
そこまでが前回までのお話よ。

では、今週のお話をどうぞ。

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆ *:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

 


<守>

翌日、守は小学校へ行き、
転校の挨拶をした。
なんだ、逃げるのか、と言う声が
教室のどこからか聞こえてきて
その声の主が誰だかも
守にはわかっていたが
無視した。

とにかく
早く家に帰らなくちゃいけなかった。
それに
もうこうしたことは終わりなのだ。


守はやっと小学校を出た。
転校先に提出する書類をもらうまでが
面倒だった。
急なことだから仕方ない。
さらさは保育園を休んで家にいる。
父親は昼までに戻るといって
会社に出かけた。
だが、父親も会社を出るまで
大変だろうと守は思った。

子猫たちと一緒だけど
その子猫たちが問題だ。
昨日の夜も一匹の猫が
トイレじゃないところで
おしっこをした。
しつけがまだできていない
子猫の面倒をみるのは大変だ。
保育園児のさらさでは無理だ。

そしてもっと大変なのが
引っ越しの準備だ。
身の回りの
どうしても必要なものだけ
持っていけばいい、と
お父さんは言った。

だが、
どれが「どうしても必要なものか」を
見極めるのは
小学4年生の守には難しい。
昨日は野球のユニホームと
道具をまとめておいた。
もうそれだけで
ランドセルとスポーツバッグは
パンパンだ。


前方を見てはっとした。
妹のさらさが走ってくる。
お兄ちゃん、大変だよ。
子猫の箱が盗まれたんだ。
さらさは、守の顔を見ると
わっと泣き出した。

お兄ちゃんの友達だ、
と言うヒトが来て、
箱をかしてごらんって。
渡したら、そのまま持ってちゃった。

どっちに行ったかわかるか、
わからない
でも、埠頭に来いって
お兄ちゃんに言っとけって。

さらさは泣きじゃくった
子猫ちゃんたちを 私に かえして
お願いだから かえして

守は危険を覚悟で
埠頭に向かおうと決意した


*☆*:;;;:*☆*:;;;: 
 
 <子猫たち> 

子猫たちの平穏は
長く続かなかった。
朝食が終わると
さらさという少女が
子猫たちを段ボールに戻した。

おばあちゃん家に行ったら、
猫のベッドをつくってもらうからね。
それまでここでガマンね。
少女は言い、段ボールのフタをしめた。

それから、ガラッとドアが開き、
押し問答があって、
再び箱が大きく揺れた。
またどこかに移される。
どうしよう。
子猫たちは動揺した。
異常事態だ。
早く逃げ出さなきゃ。
だが、どうすれば?
ハナタとサクラは目を見合わせた。

*☆*:;;;:*☆*:;;;:

 

<イジメの大将>

子猫の入った箱を抱えて
大将は歩いていた。
守は最初から虫が好かなかった。
理由はない。
大将は名字がサナダといい、
小学1年生の時、イジメにあった。
寄生虫のサナダ虫と呼ばれ、
バカにされた。

そんな時、転校生が来たので
サナダ少年は率先して
その子のカバンを屋上から落としたりして
イジメてみた。
すると、イジメのターゲットは転校生に移った。

うまく生き延びる方法は
これだなと気がついた。
そんなことを繰り返すうちに、
イジメの大将と呼ばれるようになった。

誰もオレをばかにしない。
だが、誰もオレを好きじゃない。
守はクラスメートに人気がある。
だから、嫌いだ。
そのうえ、オレにこびない。
まったく気をつかわない。
前からやっつけてやろうと
思っていた。

転校するというから、
今日学校を抜け出して追ってきた。
家に行ったら、
妹がひとり、大切そうに箱を抱えていた。
奪って中を見たら、子猫だ。
だから、持ってきた。

腰ぎんちゃくのように、
オレの後を追いかけてくるフトシが
子猫はダメだよ。
残酷だよ、と
さっきからしつこい。
オレは何にも言ってない。
猫に危害を加えるとは言ってないのに。
オレをわかってるつもりでいやがる。
いやなヤツだ。

その時、ドサッとヒトにぶつかった。
女のヒトだ。
抱えていた箱が傾いて、
中から子猫が飛び出した。
慌てて、捕まえて、箱に戻した。
だが、3匹はどこかにいなくなった。
女のヒトは何度もあやまり、一緒に探してくれた。
1匹は
電信柱の陰に隠れていて見つかった。
だが、あとの2匹がどうしても見つからない。

*☆*:;;;:*☆*:;;;:

 

<さらさ>

お兄ちゃんの守は言った。

いいかい、
さらさは家に帰って
お父さんが帰ってくるのを
待っててね。
それからひとりで
海の方へ歩いていった。

大丈夫だよ
お兄ちゃんはひとりでも
ちゃんと猫ちゃんたちを
連れて帰るから。

お兄ちゃんは
大丈夫じゃない。
保育園の帰りに
あのコワいヒトたちに
取り囲まれたことがある。

あの時はさらさも
震え上がって
お兄ちゃんの顔を見た。
あの時の
お兄ちゃんの
ひきつった顔と
すぐ後に
さらさを守ろうとして
乱暴に さらさの手を
引っ張った。
あの時の手の痛みを
さらさは今でも覚えている。

お兄ちゃん、と思わず
声に出して呼ぶ。
さらさは
悲しくて涙がこぼれた。

お兄ちゃんが
危ない。
なのに、
さらさは何にもできない。

゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆

 


<守>

守は埠頭にむかった。
背後から守君、と声がした。
振り向くと、
クラスメートの坂田という男の子だ。
キミが転校するのは残念だ、と
坂田君は言った。

ありがとう、とだけ言って
別れようとすると
坂田君は守の手をひいた。
ダメだよ、ひとりで行っちゃ。
大将に会うんだろ。
ボクが一緒に行くよ。
守は危ないからひとりで行くと断った。
だが、坂田君はついてきた。
なんでも、守に借りがあるからって。
守には何の覚えもないのだが。

埠頭にはまだ誰もいなかった。
だから坂田君と話をした。
子猫のこと、妹のこと、
お父さんのこと
母がいなくなったこと
これまでのイジメがつらかったこと
坂田君は黙って聞いてくれた
それが守にはとてもうれしかった

*☆*:;;;:*☆*:;;;:

 

<イジメの大将>

もういいですから、と
大将はぶつかった女性に言った。
「2匹のことはあきらめます」
子猫はもともと守を
呼び出す道具だったわけだし
逃げ出して
死のうが生きようが
どうでもいいことだ。

女性はさらに聞いてきた。
でも、その子猫ちゃんたち
これからどうするの?
大将はどう言い訳をしたものか
迷った。
フトシがかわりに答えた。
これ、昨日そこの公園で
拾ったんですよ。
飼い主をさがしてあげようと思って。

あら、えらいわねえ、と女性は言い
じゃあ、私に一匹ちょうだい
これも何かの縁だから
私も一匹飼うわ

え?と言って
フトシは思わず大将の顔を見た。
大将はすまして女性に答えた。
いいですよ。
どれでも、お好きなのをどうぞ。


*☆*:;;;:*☆*:;;;:

<埠頭>

ついに大将がやってきた。
守と坂田君は立ち上がった。


<<明日に続く>>





長々お読みいただき
ありがとうございます☆彡






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