キャット・ファンタジー ① 子猫の神様(前篇) | たぬきのしっぽ ☆彡

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★チンチラたぬきと
メインクーンきつねの生活日記♡

おはようございます、大mamaです。

 

梅雨に入ってしまいましたけど、皆様お元気かしら?
私はなんだかことのところ、気分が落ち込んでしまって、
仕方ないからダンスの、それもラテンの音楽を聴いたら
なんだかすっきりしたわ。
好きな音楽を聴くって、いくつになってもいい気分よね。

今日から始める物語なんだけど
先週予告したのと変わってしまったわ。
何も中身がきまってなかったものだから
ごめんなさいね。
それでは 猫のファンタジー物語をお楽しみください。

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆ 
 
  


<公園>

今にも雨が降りだしそうな
暗い空の下の
公園の隅の草むらの中に
子猫たちはいた。
段ボールの箱のに入ったまま
抱き合って眠っていた。

子猫たちは不安だった。
さっきまでママと一緒だったのに。
自分たちの身に
何が起きたのか
わからなかった。

ただ不安だった。
ミャ、と小さな声をあげるコもいた。
でも、本能的に
今鳴いて
余分な体力を消費してはいけないと思った。

そう、子猫たちの生き残りへの戦いは
すでに始まっていた。
と、その時、箱のすぐ外側で草を
踏みつける音がした。

*☆*:;;;:*☆*:;;;: 

 
  


<西岡>

夕暮れ時を迎え
公園のちかくにある商店街は
にわかに活気づいていた。


日雇い労働者の多い町だ。
狭い路地には肉屋や魚屋と並んで
一杯飲み屋も連なっている。

安いよ。安いよ。
お兄さん、ちょっと一杯ひっかけていかない?
安くしとくからさ。
中年女性の呼び込みをかわし
仕事をおえた労働者が次々と帰ってくる。
あるものは酒屋の
軒先で一杯焼酎をひっかけ
にこりともせずにそのまま家路につく。
どの顔も疲れた
どこかたそがれた顔に見える。

西岡もそのひとりだ。
今日は特に落ち込んでいる。
仕事で嫌なことがあったからだ。
だが、その憂さを家に持ち込んで
娘を悲しませることは避けたい。
そんなわけで一杯ひっかけて
家路についた。
一杯くらいの酒で
うっ積が晴れるはずもないのだが。

商店街を抜け、四つ角を
曲がろうとしたら
猛スピードで走ってくるバイクに
もう少しでぶつかりそうになった。
避けようとして
つんのめって転んだ。
バイクはそのまま行ってしまった。

とことん運の悪い日だ、と
西岡は思った。
公園のベンチが見えた。
転んだ時打った足が痛む。
足をさすりながら考えた。
少し休んで行くとするか。
西岡は公園に立ち寄ることにした。

*☆*:;;;:*☆*:;;;:

 


<守とさらさ>

「おにいちゃん、
お母さん、いつになったら帰ってくるの?」
妹のさらさがきく。
いつもの守なら、こう言った。
わからないけど、帰ってくるまで
いい子にして待っていようね、と。

今日の守は違っていた。
学校でひどいイジメにあったからだ。
守は3月生まれだ。
そのうえ、未熟児で生まれた。
だから同級生の中で
一番体がちいさい。
体力もない。

そのうえ
色が白くて
かわいい顔立で
さらさと一緒に歩いていると
近所のお店の
おばさんにまで
まあ、かわいい姉妹だこと、
なんて言われて
女の子に間違われたりもする。

だからいつもクラスメートに
からかわれる。
そんなことは慣れっこになっている。

今日はリミットを超えていた。
誰にだってリミットがある。
女の子と立ち話をしていたら
いきなり後ろから突き飛ばされた。
そして数人の男子に
服をはぎとられ丸裸にされた。

守は倒れたまま
起き上がらなかった。
涙の一滴もこぼさなかった。
取り囲んだ男子は
起きろとはやしたてた。

ベルがなり、
先生が来て、慌てて
上着を脱いでかけてくれた。
それでも、守は起き上がらなかった。
起き上がることを拒否した。

先生が気づいて
生徒たちを教室にいれた。
そして、倒れている守のわきに
脱がされた服をそっと置いた。
「これからは、
こんなことさせないから」

守れもしない約束をするな、と思った。
口にはださなかった。
静かに服を着て
教室に戻った。
椅子に座りかけた時
後ろの方からささやき声がした。
お前のかあちゃん、
男と逃げたってな。
そしてくすくすと笑う声がした。

守はいきなり席から立ち上り、
先生の目を正面から見て言った。
「すみません。
頭が痛いので
今日は帰らせてもらいます」

学校を出ると
さらさを迎えに行った。
保育園の先生は
あら、守君、 今日は少し早いのね、と言ったけど
不審に思っている様子はなかった。

さらさは家に帰ると
すぐ遊びに行きたいと言った。
守は今日はそんな気になれないし、
学校を早退しているから
出歩けない。
むずがる妹に
ついにガマンができなくなった。

「ママ、いつ帰ってくるの?」と
さらさがまた尋ねた。
「もう 帰ってこないと思う」
つい守は本音をもらした。
さらさが、えっ、と驚きの表情をした。
「もう、帰ってこないんだ」
さらさが、わっと泣き出した。
うそだよ、うそ、と叫びながら
家を飛び出した。
あわてて、守は後を追った。

*☆*:;;;:*☆*:;;;:

 


<公園>

西岡は公園のベンチに座り
足をさすっていた。
痛みはおさまるどころか
ひどくなってきた。
早く帰った方がいいなと立ち上がったとき
草むらに置いてある箱が目についた。
近くに行ってみて
箱をあけてみると子猫が八匹入っている。
八匹か・・・・・・。
かわいそうに、このままじゃ命はないなあ。
西岡は子猫の可愛さに
せつない気持ちになった。

だが、オレには飼えないから、と
そばを離れようとした。
そのとき、ふと
いつも寂しそうな娘の顔が
目に浮かんだ。
1匹くらい飼えるよな。

西岡は箱のところに戻って
一匹だけ真っ白い猫を箱から出し
抱きしめて、歩き出した。
残りの子はオレは飼えない。
オレは飼えないけど
誰かほかの優しいヤツに
飼ってもらえよ。

*☆*:;;;:*☆*:;;;: 

  
  
 

<守とさらさ>

泣きじゃくりながら
さらさは走った。
道はどこまでも続いている。
きっとこの道の端っこにはママがいて
私の来るのを待っている。
お兄ちゃんの言うことなんか
信じない。
さらさは夢中で走った。
涙が喉におちて
むせてしまって苦しい。
でも、走った。
公園が見えた。
誰かが猫を抱えて出てくる。
あそこで休んで
それから
ママのところへ走っていこう。
その時
さらさの頬に雨のしずくが落ちた。
あ、雨だ。傘がない。

公園に入ると
子猫の鳴き声がした。
見回すと
草むらに箱が置いてあり
ふたが開いている。
覗き込むと
子猫が七匹・・・・・・。
かわいい!
さらさは見とれてしまった。

その時、兄の守が追いついてきた。
子猫だね。かわいいね。

ねえ、お兄ちゃん
この子たち飼えないかしら?

飼えるわけないだろう
七匹もいる

雨がぽつぽつ落ち始めた。
二人は顔を見合わせた。

でも、このままじゃ、
みんな死んじゃうよ

守は考えた。
一匹なら
お父さんに頼んで、
なんとか飼うことができるかもしれない
後は誰か飼い主を見つければ
インターネットとか
張り紙とか
チラシを配ったりとか

とにかく
このコたちを連れて帰ろう
それから先のことを考えよう

さらさは「うん」と大きくうなずき
子猫の箱を守にあずけた


<<続く>>



長い文を読んでいただきありがとうございます☆彡




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