その日からエンジェルはだんだんと体が弱っていった。トビーが連れてきた病院の猫医者は、エンジェルは腎臓の片方が働かなくなっており、もう片方も弱ってきていて、そう長くは生きられないだろうと診断した。嘘つき、エンジェルは大丈夫だと叫んで、オレはそいつを追いかえした。そのくせ、エンジェルに最後にしてあげられることはなんだろうと悩んだりもした。日に日に弱っていくエンジェルのそばにいるのがだんだん辛くなり、散歩に行くことも増えた。
そんなある日ネズミの大将ジージョがオレのところにやって来た。
「差し出がましいようですが・・・・・・エンジェルさんをあのまま逝かせるんですか?それであなたはいいんですか?エンジェルさんの気持ちがわからないんですか?」
「エンジェルの気持ち?」
「エンジェルさんはボブさんが大好きなんです。子供のころから今にお嫁さんになるんだと思っていたそうです」
「・・・・・・エンジェルがそんなことを言ったのか」
「やっぱりわかってなかったんですね。それがアナタと離れ離れになって、エンジェルさんはああいうひどい目にあって・・・・・だから、今度生まれ変わったら、ボブさんのお嫁さんになることにしたそうです」
オレは何も答えられなかった。
「少しは察してあげてください」と言い残して、ジージョは去って行った。
オレは部屋に戻りエンジェルを見つめた。エンジェルは眠っていた。エンジェルの白い毛は太陽の光をうけてパール色に光っていた。その毛をなめながら、オレは思った。エンジェル、今度じゃない、今結婚しよう。それから、声に出して言ってみた。エンジェルの体が少し動いて、薄目をあけたように見えた。オレはもう一度声に出して言った。エンジェル、今、すぐに結婚しよう。エンジェルが寝返りをうち、うなずいているように見えた。閉じた目の間から、一筋の涙のようなしずくが落ちた。そしてエンジェルの首がガクッとうなだれ、寝息が止まった。
そう、これがオレのニューヨークのボブとしての猫としての一生。
長い文を読んでいただき ありがとうございます。
押していただければ励みになります(*v.v)。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村