何度も繰り返してますが。
私の母上様は、
健康オタクであります。


主に、
民間療法の食に精通。

母上は我が実家の薬剤師的な人です。


よって、


家族みんな
体調が悪くなるとまずは母上に相談。
その時々の流行りも取り入れつつ、
過去の記憶も活用されます。

自家製の何かや、
サプリメントなども併用。


苦かったり酸っぱかったり。
ちょっぴり苦しい思いをしたら、
程なく
家族は健康に戻ります。


“これで確実に治る”と母上が信じているから、
不思議と確実に治るんですよね。
母上の魔法。


こと健康に関しては不動の地位を保っております。



今朝のことです。

ジッとして居られない父上の日課は散歩で、
多い日は朝、昼、夕と散歩に出かけます。
散歩ってか、ハイスピードで歩いて汗だくで帰宅してますが。

朝の散歩を終えた父上が、
母上に相談し始めました。


「母さん、最近爪が薄くなって割れよるんじゃけどなんでかなぁ…」


と、
手の爪を見せながら話す父上。
その爪を見た私は
無意識に言葉が出てしまいました。


「それは鉄欠乏性貧血やわ。スプーン状爪や。
父さんの場合は食事には気を使ってるけん、スポーツ貧血じゃないかな。
マラソンランナーとかが、足裏で赤血球が潰れて貧血になるらしいから…」


自分でもビックリするくらいスラスラと出て来ました。
勉強したんが無駄にならなかったと、
心の中でガッツポーズ。


と、
私の話を遮るように。
そんなことは気付いとったわ的に、


「父さんはずっと前から唇の色が悪いんよ。
血が薄い証拠よ。知っとったわ。だから私が前から言いよるやろ…」


と、
母の喋りが止まらなくなりやした。
アクセル踏みまくりです。
早口で畳み掛けるように喋る母。
何かに焦って
今までの知識を全て投入してるように感じて、


ハタと気付きました。


母上の家庭での不動の地位を
私が奪い取りそうになっていたようです。



母上が脳梗塞になり数年。
傍目には分からない感覚の後遺症がずっと残っております。
右半身に痛みを抱えているためほぼ寝てばかりの毎日。

家事が出来ない母が、
家庭で必要とされていると感じられるのは
誰かが体調を崩してしまった時。


それなのに、
母上の本領発揮の場面で私が横取りし、
母の魔法の効きが悪くなるような発言をしてしまった私。


我が家の健康は、
母上の魔法の上に成り立っているのに。
ウッカリ叩き壊すところでした。



知識というのは、
魔法の力を弱めます。

下手に医療をかじってしまったばっかりに、
母上の魔法の効きが悪くなった私。

ちょっと残念です。