お風呂場で。


凄い音がして、
下の娘が


爺ちゃんっ‼
爺ちゃんっ‼
爺ちゃ~んっ‼


と叫ぶ声。



父がお風呂場で転倒した。



幸い、
膝の擦り傷だけ。

だが、


転倒前後の記憶が
消え去っている様子。

何故転倒したのか、
何故床に転がっているのか、
分からないらしい。



……………………………。




ビックリした。


娘の声を聞き、
慌てて駆け付けたものの、


風呂場に転がる父の姿を見て、
どうして良いのか
わからなかった。


声を掛けても、
反応せず(痛さで絶句)
動かない(痛さで停止)


脳溢血かと、
蒼ざめた。



父も
もう高齢者であった。


いつ迄も、
あると思うな親と金。



誰しも順番に行く所だが
心の何処かで
父はいつ迄も生きているものだと、
思っていた。


父は、
いつ迄も年を取らない。
と、
思い込んでいた。





お父さん。
長生きして下さい。