前世の記憶を持って生まれてくる人がいる。

自分も
思い出せたらいいのに。

思い出せたなら、
自分がやるべき事が明確になるのでは無いか。


そう思っていた。


10年以上前になるが、
私が事務員の仕事をしていた時のことだ。


出勤時。
駐車場に車を止め、
歩いていた。

職場までは徒歩5分ほどの距離である。

私の前にも後ろにも
出勤中の人達。

毎日の光景である。


その日は晴れ。
綺麗な青い空であった。
そして
食べ残されたご飯のように、ポツリポツリと浮かぶ雲。

それを目にした時、


頭の中に感情が飛び込んで来た。



『人間は
悩んだり、迷ったり。
それでも一生懸命に
生きている。
私はそんな人間が大好きだ。』

そして
込み上げて来る涙。


出勤中である。
遅刻するかどうかの瀬戸際である。

感情に浸って涙している場合ではない。



あれは前世の記憶であった。

証明する方法は無い。

ただ、
そう感じたのである。


私は悩んだり、迷ったりするために今世も生まれて来たのである。


前世を忘れているのも、
自分の選択であったに違いない。



選択失敗したなあ…