年末である。
あちこちで
道路を掘り返している。
普段は気に留めないが、
交通整理をしていた
警備員に目がいった。
片側一車線道路の片側を
掘り返していたため、
必然的に
交互通行となっていた。
赤い旗を大きく振り
止まれの合図。
こちらが止まると、
旗を私に献上するかのように頭の上に持ち上げ、
深々と頭を下げた。
白い旗を振る時も、
優しい手付きで振り、
軽く頭を下げながら
通してくれた。
こちらは車の中。
相手は外。
もちろん無言であった。
が、
私には彼の
『ありがとうございます』
という言葉が
聞こえたように思えた。
彼は自分の仕事に
誇りを持っているに
違い無い。
仕事の相棒である旗を
あそこまで優しく
扱える人間が
果たして
何人いるだろうか。
行動は人柄を映す鏡。
すれ違うだけの人に
あれだけ敬意をはらう人を私は見たことが無い。
一瞬、一瞬を
大切にすることを
教えられた。
自分の仕事に対する
考え方も見直さないと。
自分に甘いからな~。