休みであったので、
足のネイルをしてきた。

一本ずつ
綺麗になってゆく足先を
眺めていると


母の口癖を思い出した。


『靴はいいものを
履かないと。』


靴。
足繋がりである。


倹約家の母が、
値段を気にせず購入する
数少ないものの一つだ。


以前、先輩に
母と靴の話をしたことがある。


『いい靴は、いい場所に連れて行ってくれるんだよ。』


と、
先輩が教えてくれた。
先輩は母親に教わったそうだ。


だから、
私の母もそんな意味で
言っているハズだ、
と。


まるで

かかとを3回鳴らせば
行きたいところへ
どこへでも。

オズの魔法使いに
出てくる『赤い靴』
みたいな話である。


…若干の違和感。


迷信じみたことは
大好きな母だが、

お金が絡むと
超がつく現実家。


メルヘン vs 銭


母であれば
銭、圧勝。
のはずである。


気になるので
母に真相を聞いてみた。


母の選ぶ『いい靴』は、
健康に『いい靴』だそうだ。


『病気になったら、
お金がかかるでしょ』


足は第二の心臓とも言いますしね。


それでこそ

母。




綺麗に出来上がった
足先を眺める。

いつもの足より
格別にいい足になった。

私の足は
どこへ連れて行って
くれるのだろうか。