Ⅰ.決算と損益計算 

 

1.決算書の活用の変化 

 

(1) 従来の重要度

① 借入のための決算書(1年間の実績証明書) 

② 税務署に申告の決算書

③ 経営者が利用するための決算書 

 

(2) これからの重要度 

① 経営者が利用するための決算書 

② 借入のための決算書 

③ 経営者が利用するための決算書 

 

(3) 経営者の決算書活用方法 

従来は、結果の確認として決算書を活用していました。 

これからは、経営者が会社の将来をイメージするための材料として 活用することが求められています。

 

 2. 決算書の内容 

決算書の内容は、損益計算書と貸借対照表になります。 

 

(1) 損益計算書-その1 

損益計算書は、過去1年間に会社全体で行った仕事の内容を示してい ます。 

① どのくらいの仕事をしたかを示しているのが売上高です。 

② 仕事の成果を示しているのが当期純利益となります。 

* 当期純利益は、過去1年間の仕事の成果として会社が新しく生み 出した資金を示しています。 

* 当期純損失とは、過去1年間の仕事の成果として会社の資金が減 少したことを示しています。 

 

(2) 損益計算書を見るポイント 

① 当期純利益(税引後)の金額 どのくらい新しい資金を生み出しているか?

 

 より具体的にイメージするために当期純利益を12で割り、1カ月の 平均利益を計算します。 

 

当期純利益 ÷ 12 =1カ月の平均利益 

 

1カ月の平均利益は、会社が1カ月間に新しい資金を生み出すことが 出来る力(実績)を示しています。 

 

② 減価償却費 

減価償却費は、資金の支出をともわない費用です。 

減価償却費は、土地以外の有形固定資産(建物・車両運搬具等)の過 去の投資資金の回収金額を示しています。 

 

1カ月の平均の減価償却費の計算 

 

減価償却費 ÷ 12 =1カ月の平均減価償却費 

 

1カ月の平均減価償却費は、月割りの減価償却費を意味し、会社が過 去に建物や車両運搬具に投資した資金を1カ月間に回収した資金の金 額を示しています。

 

③ 資金供給能力の確認 

会社の資金供給能力は、当期純利益に減価償却費を加算した金額とな ります。 

 

当期純利益 + 減価償却費 = 1年間の資金供給能力 

(新しい資金 + 投資回収資金 = 1年間の資金供給能力) 

(当期純利益 + 減価償却費) ÷ 12 = 1カ月の資金供給能力 

 

④ 損益計算書が意味していること 

○ 新しい資金の供給能力の計算過程を示し、売上高や経費などは、 過去の実績数値となる記録を意味しています。

○ 会社が新しく生み出した資金と投資の回収資金のみが現実となり ます。 

 

⑤ 損益計算書の構造 

 

売 上 高      仕事の規模を示す数値 

(売 上 原 価)  仕事をするための直接費の消費額 

売 上 総 利 益  実際の手取金額 

(人 件 費)    給与・賞与・社会保険・福利厚生費の消費額 

(減価償却費)  投資資金回収額 

(その他経費)  その他間接経費の消費額 

営 業 利 益    仕事で生み出した資金の金額 

その他収益    雑収入等・売却益等 

(その他費用) 支払利息・雑損失・売却損等 

税引前当期純利益 税金を支払う前の資金の金額 

(法 人 税 等) 1年間の納税額 

当 期 純 利 益 1年間に生み出した新しい資金 

 

* 一般的には、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、 当期純利益とする区分計算をします。

 

 ⑥ 損益計算書の検討         単位:万円

 

売 上 高 12,000 

(売 上 原 価) -4,800 

売 上 総 利 益 7,200 

(人 件 費) -4,200 

(減価償却費) - 600 

(その他経費) -1,920 

営 業 利 益 480 

その他収益 100 

(その他費用) - 180 

税引前当期純利益 400 

(法 人 税 等) - 100 

当 期 純 利 益 300 

 

a 新しく生み出した資金金額 ¥300万円  

b 投資資金の回収金額 ¥600万円 

c 増加資金合計 ¥900万円 

 

⑦ 損益計算書の検討-その2 

 

損益計算書の数値を1/12にして月単位にした場合       単位:万円 

 

売 上 高 1,000 

(売 上 原 価) - 400 

売 上 総 利 益 600 

(人 件 費) - 350 

(減価償却費) - 50 

(その他経費) - 160 

営 業 利 益 40 

その他収益 8 

(その他費用) - 15 

税引前当期純利益 33 

(法 人 税 等) - 8 

当 期 純 利 益 25 

 

a 新しく生み出した資金金額 ¥ 25万円 

b 投資資金の回収金額 ¥ 50万円 

c 増加資金合計 ¥ 75万円 

 

* 借入金がある場合は、75万円が返済財源となります。

1.決算書とは:その1

 

  会社は、1年に1回決算を行い決算書を作成します。決算書は、法人税等の申告書に添 

 付したり、銀行に提出します。大切なことは、経営者がその内容を理解し、会社の将来につ

 いて考え、イメージできるかです。

  損益計算書は、過去1年間の実績を示しています。

 

2.損益計算書

  

 ① 売上高

    会社が過去1年間でどのくらいの仕事を行ったかを示しています。

      会社が行った仕事は、売上高になります。

    会社の過去1年間の売上高を12で割ると1か月平均の仕事の実績数値になりま

    す。

 

      1年間の売上高÷12=1か月間に仕事をする能力

 

 ② 当期純利益

    1年間の仕事の成果が当期純利益となります。

      当期純利益は、1年間で会社が生み出した新しい資金になります。

    会社の過去1年間の当期純利益を12で割ると1か月間で新しく資金を生み出す能力

    を示します。 

 

      1年間の当期純利益÷12=1か月に新しい資金を生み出しすことできる能力

 

 ③ 1年間の実績を1か月の平均の数値にすることによって将来をイメージしやすくなりま

   す。売上高と当期純利益を1か月に置き換えたときに経営者がどう考えるかが大切に

   なります。

 

  この続きは、次回に説明します。