「こころ」を読んだよ。
ここには、ある大学生の立場から、彼が「先生」と呼ぶ人との関わりを書いている。
ある大学生の「先生」との出会いから、物語は始まる。
大学生が「先生」への興味を綴っていくうちに、
ぼんやりとした「先生」という存在が次第に輪郭をもった「先生」へと変化して行く。
それは、この大学生が知りたいと思っているとされているが、実は、私たち読者の「先生」への興味への高まりと次第に同化していく。
それが、最高潮に達した時に、「先生」から大学生に手紙が届くのだ。
もう、その時には、すっかり、わたしは、作者の思惑にはまっていて、一気に「先生」からの手紙をむさぼり読む。
わたしの頭の中には、既に、「先生」に昔、どんなことが起こったのかという、大筋は出来上がっている。あとは、その詳しい内容が知りたいのだ。まるで、ゴシップについつい夢中になってワイドショーや女性雑誌を見るように。
「先生」の独白は、微に入り細に入り、人間の弱さとそれゆえの残酷さについてこれでもかと綴られる。
決して救われることのない『こころ』・・・。
きっと、大学生の時に読んでいたら、全く違った感想を持っただろう。
若くて一途で、正直て、純粋で、裏切りを嫌うが故に、
逆に人を裏切り、自分が最も嫌う人間へと成り下がる。
それを許せない自分と
どうしようもなかったという真実にがんじがらめになる。
人間とは
生きるとは
正しいこととは
初めから、相手を傷つけようとしている人は、少ないと思う。
自分を守ろうとした結果、周りが見えなくなって
はっと気がついたときに、自分の愚かさに気がつかされる。
相手へのダメージが大きいほど
ダメージを与えた人の心のダメージも大きい。
相手が、死んでしまっては、
永久にその傷を癒すことは難しいだろう。
結論なんてないんだろうな。
みんなが幸せであればいい
そんな中で生きていけるのは、本当にラッキーで幸せなのかもしれない
