とある夜
23時
今日の都心は人が少ない。それでも僕は仕事の真っ最中だ。準備が不十分な部分もあって不安が残る中、何とか走りつづける。
0時
ようやく一区切りついた。あとはゆっくり残務をこなせば仕事は終わりだ。ふと携帯を手に取ると23時34分付のメッセージ。
「近くにいるから、気が向いたら連絡して」
思わず嬉しさで顔がほころぶ。しっかり約束をしていたわけではない。終電がなくなる時間、僕に絶対に会えるとは限らないのに、それでも彼女は、わざわざここまで来て僕を待ってくれている。
そして0時45分
何とか残務をこなして荷物を抱え、ビルを飛び出す。かなりの時間待たせてしまっているから、自然と足がはやまっていく。きっと、きょとんとした表情で「大丈夫だよ」と言ってくれるけれど、これ以上は少しでも待たせたくない。
気がつけば僕は、彼女を目指して一人都心を走りだしていた。