前回のエントリーでは、内部告発の内容と捜査経過との不一致について議論しましたが、他にも、内部告発の内容には、様々な不自然性があるように思われます。本エントリーでは、内部告発の内容の不自然性について更に議論したいと思います。


(1)警察と検察の関係

 まず、内部告発者が、創価学会の検事が捜査の指揮をとったと言っていることは、不自然であるように思われます。これの不自然性は、以前、テーマ「警察と検察の関係 」で議論したとおりです。今から見れば、「警察と検察の関係」の議論には不正確な部分も多々あるのですが、概略的には間違ってないと思います(機会があれば、補足します)。要約すれば、次のとおりです。いわゆる、送致事件といわれるものは、警察が第一次的に捜査を行います。このときの警察における捜査の指揮をとるのは警察官です。実際、朝木市議転落死事件については、千葉英司元東村山署副署長が捜査の指揮をとっています。検察は、捜査において警察と協力し、また、公判の維持という観点で警察に様々な要請をしたりしますが、実際に捜査に従事する警察官を指揮するのは検事ではありません。


 更に、東京地検八王子支部において事件を担当した信田検事が、警察を指揮して捜査を行ったとは思えない根拠となる事実を2つ挙げたいと思います。

 まず、信田検事は、1995年10月5日に矢野穂積氏及び朝木直子氏に対して事情聴取をしていますが、その2日後の10月7日に、今度は、東村山署の白石刑事課長代理が矢野穂積氏に対して事情聴取をしています。信田検事が、警察を指揮して捜査を行ったのだとしたら、自分自身で事情聴取をしたそのわずか2日後に白石刑事課長代理に事情聴取をさせるのは不自然でしょう。

 もう一つの事実は、自民党の国会議員が、国会質問(1995年11月7日衆議院特別委員会、同年11月30日参議院特別委員会)で、「警視庁」や「警察庁」に朝木市議転落死事件について捜査をするように圧力をかけている点です。もし、検察が警察を指揮して捜査をしたのであれば、自民党の国会議員は、検察庁あるいは検事総長に圧力をかけるべきだったのではないでしょうか?これは、朝木市議転落死事件の捜査が、検察主導ではなく、警察自らが中心になって行われたことの証左だと思います。


(2)3名の関与者
 加えて、瀬戸先生の2008年7月29日の演説によると、現職警察官の内部告発者は、警察は、「3名の人物がこの事件に関わっていると、そうゆうふうに最初から睨んで、この捜査をした」という話をしているようです。これも、不可解であるように思われます。もんさんのブログ「めくるめく集団ストーカー被害者の世界にようこそ 出張所 」の内部告発検証シリーズ6 にも言及されていましたが、私としては、両手の上腕の内側に痣があったからって、「二人の男に、まず両腕を掴まれて、強く、そしてもう、引きずられていった」、「そして監視役一人の男性がいた」って警察官が考えたっていうのが事実だとすれば、その警察官はどんな間抜けなのかと思ってしまうわけです。もんさんは、「三人と断定しているのが面白い」と書いてますが、私にとっては、「間抜け警察官」としか思えません。まず、何で「監視役」が一人っていえるのでしょう?遺体の痣から、監視役の人数が確定できるはずがありません。ついでに言えば、監視役が「男性」ってどうやって決めたのでしょう?犯罪をするのは男って決め付けてませんか?こんな間抜けな判断をするのが警察官だとは、私にはとても信じられません。


(3)司法解剖鑑定書との関係

 最後に、現職警察官の内部告発者は、「両腕を掴まれて、強く、そしてもう、引きずられていった」と言っていますが、このことが、朝木明代氏の遺体の司法解剖鑑定書に反映されていないように思います。素人探偵の言うことかもしれませんが、「両腕を掴まれて、強く、そしてもう、引きずられていった」のであれば、引きずっていった時の傷が足にできているはずです。しかし、そんな傷は、司法解剖鑑定書には記載されていないように思われるのです。司法解剖鑑定書については、せと弘幸blog『日本よ何処へ』出張所の2008年7月19日付けエントリー「朝木事件関連資料 」を参照してください。司法解剖鑑定書には「エ、 下肢に以下の損傷を認める。 」という欄が設けられていますが、足(もちろん足首より先の部分のことです、)に関する損傷は、下記の3つしか言及されていません。

13)左足部内側、第1趾中足趾節間関節部に略一致して、4.5×3cmの淡赤褐色皮膚変色部を認める。加割すると皮下出血を認める。
14)左足底部、第1趾基節関節部から第1趾末節部にかけて小豆大から拇指頭面大赤褐色皮膚変色部5個内外散在。

・・・

17)右足背部前面から外側にかけて、上下に9.5cm、幅7cm淡赤褐色及び淡紫青色の皮膚変色を認める。加割すると皮下出血を認める。
 これらの損傷は、いずれも、「引きずられていった」ことによる損傷となるように思えません。


 以上、現職警察官の内部告発について、現在までに瀬戸先生が発表した内容を検討してみました。瀬戸先生が発表した内容はそれほど多くはありませんが、私にとっては、瀬戸先生が発表した内容の範囲ですら不自然な点が多くあるように思えます。



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 さて、今までにブログに書いた内容を振り返ってみると、「現職警察官の内部告発」についての検討がほとんどです。これには、もちろん理由があります。多くの人にとってそうでしょうが、朝木市議の万引き被疑事件や転落死事件について瀬戸先生が言及した内容のうち、まがりなりにも新事実といえることは、結局、「現職警察官の内部告発」だけでした。とすれば、議論が最終的には「現職警察官の内部告発」に行き着くであろうと私は常に考えていました。実際、「創価問題新聞事件」の2009年1月29日の高裁判決により、議論の余地があるのは、もはや「現職警察官の内部告発」だけになったわけです。


 そして、以上のような検討をした結果、私の頭の中では、もはや、朝木市議の万引き被疑事件や転落死事件について議論の余地なく決着がついています。正直言って、瀬戸先生、西村修平氏、黒田大輔氏が、今後、万引き被疑事件や転落死事件について主張することに、検討の価値がある内容が含まれているとは思えません。まあ、黒田大輔氏は、「虚構判事、大谷禎男の話」をブログにアップするらしいので、それを見て判断してもよいのですが。私は、黒田大輔氏のブログの次のエントリーを心から楽しみに待っています。


 加えて、検討の副産物として、矢野穂積市議(及び朝木直子市議)が朝木明代氏の万引き被疑事件や転落死事件について、どのような情報操作をしてきたのかも、かなり理解できたと思っています。そして、私にとっては、矢野穂積市議と朝木直子市議の共著「東村山の闇」が、彼らの情報操作の集大成として興味深く思われるのです。瀬戸先生の支持者には、「東村山の闇」を読み、その結果、万引き被疑事件がでっち上げであり、転落死事件が創価学会による謀殺であると、固く信じている人も多いでしょう。しかし、それは、情報操作の結果に過ぎないということを、私は瀬戸先生及び瀬戸先生の支持者に理解して頂きたい。そこで、私は、次の中心題材を「東村山の闇」にとり、「東村山の闇」のどこに情報操作があるのかを明らかにしたいと考えています。


 ただし、「東村山の闇」を題材にとるには、充分な準備が必要です。「東村山の闇」について様々な批判的解説をするのであれば、ちゃんと根拠を集めなければならないのは当然です。更に、私としては、「朝木市議万引き事件・転落死事件まとめWiki 」の充実も図りたい。


 そこで、本ブログはしばらく休止することにしたいと思います。期間は分かりませんが、少なくとも1月は休むつもりです。しかし、必ず再開することだけはお約束したいと思います。ひょっとしたら、別ブログとして再スタートするかもしれませんが、その場合でも、必ず、このブログでお知らせします。ちなみに、まとめWikiでの活動は継続いたしますので、念のため。


 今まで、このブログをお読み頂いた読者の皆様、本当にありがとうございました。しばしのお別れですが、再開したら、また、よろしくお願いします。