し かし、サブプライムローンの行き過ぎは1990年代後半頃から問題視されるようになり、同時に住宅バブルが指摘されるようになります。このような行き過ぎ の中で、低所得階層に過重な手数料を求めたり、あるいは低所得階層の顧客が結局返済できずに物件を差し押さえられ住宅を失ったりといった問題が生み出され ました。この問題は略奪的貸付(predatory lending)として知られております。かつてアメリカでは、貧しい黒人居住地域を金融機関が融資上差別したことが、レッドライニングと呼ばれる社会問 題を生み出したが、住宅ブームの中で、むしろ貸し過ぎが問題にされるようになりました。なお、この略奪的貸付については、低所得階層が貸し込み先になって いるという点で、日本における消費者金融の多重債務問題や、バブル経済崩壊後に目先の収益獲得に追われた金融機関による、中小・零細企業からの貸し剥がし と性格が似ているという指摘があります。
も ともとアメリカの住宅ローンでは、融資する側では金融機関による融資とローン債権の流動化がローンの拡大を支えておりました。しかし、ローン債権の流動化 が信用力の劣るサブプライムローンにまで及んでしまった事により、さらにサブプライムローンの拡大を下支えする結果となってしまいました。

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このように当初の支払額を軽減した返済方式は、当初期間経過後、支払額が急増するというリスクがあります。
以 下は参考のため日本における住宅購入に、サブプライムローンを適用したと仮定して説明します。3千万円の住宅の購入に当たり、全額を無利子で借り入れたと すると、10年ローンでは月々の返済は25万になります。ここで最初の3年間は月々10万に抑えると残り7年は月々約30万強の返済額になります。現実的 な契約では利息がつきもっと複雑になり、最初は返済金に占める利子の割合が大きく、ここで返済額を抑えると元金がほとんど減らない状況もありえます。
所 得の確実な増加が見込めるならば、住宅価格の上昇を前提とせずにこのようなローンを組むのも合理的だと言えますが、所得が伸びない低所得階層には全く不向 きです。ところが住宅ブームを背景とし、また、高利回りの債権の開発の要請や、証券化する債権の需要から顧客の開拓が進められ、米国へ移住して間もないク レジットヒストリーの無い外国人や、クレジットヒストリーの瑕疵からプライムローンの対象にならない顧客にも積極的に貸し付ける様になり、更には住宅価格 の上昇を前提として低所得階層にまで半ば強引な貸付が行われ、サブプライムローンが拡大してきました。低所得者層に十分な説明が行われないまま契約を行っ たり、複雑な説明をして契約を行った例がありました。中には当然プライムローンの対象となる優良な顧客に対してサブプライムローンを貸し付け、より高い利 息の収益を図った例もありました。
一方で、利息が低い期間の間に住宅価格が充分に上昇すれば、支払った利息を超える差額を手にして転売することが出来るし、支払いを着実に行えばクレジットヒストリーの蓄積とみなされて、より利率の低いプライムローンへの借り換えも考えられます。

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サブプライムローンに限らず、アメリカにおいて、住宅ローンの返済方法として、当初数年間の金利を抑えたり、  当初数年間は金利のみの支払いを行ったりと、当初の返済負担を軽減したものが普及し、そのため債務者が自分の返済能力を無視した借入を行うことが可能となり、そのような貸付が増加しておりました。本質的には債務不履行のリスクは通常の住宅ローンよりも高い構造を有しているものでありますが、住宅の価格が上昇している場面においては、返済の破綻はこれまでは必ずしも表面化されませんでした。債務者の所得が上昇せず、生活費が上昇して本来であれば返済に行き詰まる状況であっても、住宅価格が上がっている場合には、債務者は住宅価格の値上がり分について、担保余力が拡大することから、その部分を担保に、新たな追加借入を受けることができきました(ホームエクイティローン)。これにより破綻を先延ばしするだけでなく、消費を拡大することもできました。また、住宅価格が大きく上昇すれば、当該住宅を転売してローンを返済し、さらに売買差益も得ることも可能でした。当初負担の軽い返済方式の普及によって所得からすれば本来、住宅ローンを組めない人にまでローンを組む人が増えて、住宅ブームが拡大する間は破綻が表面化せず、むしろ住宅ブームを加速しました。

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