【ビアン短編小説】 幸せだから

お人好しの彼女は、推しに弱いところがある。
それは、彼女の優しさの１つなのだと分かっているつもりでも、たまに、すごく心配にもなる。


そんな私と彼女との年の差は、10歳。
年下の彼女は、25歳。

たまに、私なんかじゃなく、もっと若い子がいいんじゃないかって、勝手に不安になっては、落ち込む自分が嫌になる。


そんなことを考えていると、すぐ、彼女にバレてしまう。

どうやら、恥ずかしいことに、全部、顔に出てしまっているらしい。


「あっ、また、何か考え込んでる。また勝手に考えて不安になってるんでしょ？もうー考えるのヤメにして」


そう言って、私の両頬に、手を添え、真っ直ぐ見つめてくる彼女。


私の頬に触れる彼女の手に、私の手を重ね、彼女の体温を感じると、気持ちが落ち着いていく。


そんな私に彼女は

「好きだよ。大好きだよ。私は貴女が好き」


彼女は、いつも、さらりと、私が言えないような言葉、私が欲しい言葉をくれる。


そんな彼女に、いつも救われてばかりの自分が、情けなくもあるけど、弱くてみっともない自分を見せれる相手がいることの幸せを噛み締めては、彼女との出逢いに感謝せずにはいられない。


どうか、この幸せが続きますように…