携帯電話
突然ですが、最近携帯電話を新しくしたんです。
僕は、非常に物をすぐ、なくしたり壊したりするんですが、特に携帯などは大学に行ってからもすでに4台なくしてます。
一代目 通学途中に紛失。おそらく横向きのポケットに入れててチャリ乗ってるときに落とした。
二代目 原因不明 どこでなくしたかもわからなかった。その後なぜか寮のベランダの片隅に落ちていたのを発見。でも雨風にさらされていたので電源は入らなかった。
三代目 全然面白くなかったサークル、ワンダーフォーゲル部での白山登山中に紛失。
四代目 飲み会で紛失。朝、目覚めて財布と携帯を仲良く紛失していたことに気づいた。どうやって寮に帰ってきたかも覚えてないため、捜索を断念。
そして今まで使ってきた五代目がついに充電用のソケットがぶっ壊れて充電できなくなり9月8日に静かに息を引き取った。享年約1年半だった。
一年半の使用期間は僕にとって最長記録であり、非常に感慨深いものを感じた。最後は眠るように逝った彼に「今までありがとう」と静かに告げた。僕はあふれる涙を抑え切れなかった。
そんなわけで次の日、近くのauショップへ新しい携帯電話を買いに行ったんです。店に入ると非常にかわいらしい店員さんが笑顔でこちらへどうぞといってくれたので、席に座りました。
非常に対人スキルが低い僕はきれいなお姉さんを前にドキドキしてたんですが、おもむろにぶっ壊れた携帯を取り出してですね、「なんか充電のソケットが壊れたみたいなんです。充電できないんですよ」と告げました。もしかしたら不良品とかで無料で修理してくれるかもしれない、そうでなくても通常使用で壊れたから安く修理してくれるかもしれないというセコイ企みがあったわけです。
「あ~、中の端子が壊れてますね。修理するとなるとこちらは古い機種ですし、修理には1万くらいはかかっちゃいます。」
と笑顔で言われました。まぁね、わかってたけどね。いいさ、新しく買うさ。「機種変します。」
お姉さんが「希望の機種などはございますか?」と聴いてくれましたが、携帯なんぞなんでもいい僕は「安いのを下さい」とお願いしました。お姉さんは僕の即答になぜかえらくウケたらしく笑いながら「こちらのが今お安くなっております。中尾さんのポイントでしたら、機種のお値段は無料になりますよ」といいました。やった!!無料ですってよ、奥さん!なんだわざわざぶっ壊れた携帯なんて持ってこなくてよかった。
僕は即効で紹介されたお買い得コーナーにあった携帯でたまたま目の前にあったやつを手にとって「これ下さい」迷うことなくコレ。刹那の見切りのごとくコレ。その間約0.5秒。この男らしい決断っぷりに店員さんは完全に僕に惚れていたでしょう。よせよ、そんな熱っぽい瞳で見つめるなよ。まぁ実際はまた爆笑してましたが・・・。
まぁそんなこんなでちょっと店員さんと仲良くなって、ちゃちゃっと手続きをしてもらい、ついでに料金プランを見てもらいました。僕って実はちょっと前は寮長をやってまして、コレがまたえらい多忙でして、一日に何回も何十回もいろんな人と電話で連絡やらなんやらを取っていたんですね。でも今は引退したので携帯も前よりそんなに使わないので、料金プランを変更しようと思ったのです。
お姉さんは僕の願いを快諾し、きれいな指でピコピコPCで僕のデータを見てプランの検討をしてくれました。しかし検討の結果、今のプランは僕の使用状況から見て妥当らしく、変更はいらないとのことでした。「まぁ料金プランなんて今まで変えたことないし、使用量も前に戻ったんだから変更なんていらないのが当然か」と思って利用明細をみると有料サイト700円の文字がありました。
はて?そんなものに登録した覚えはないなぁ。普段メールと電話以外に使わないので、全く覚えていないのですが、でも書いてあるからには登録したのでしょう。全くもって無駄なので、これを解約してくださいと頼みました。
お姉さんはこれまたコレを笑顔で快諾しました。その笑顔は他の誰にも見せない、とびきりの笑顔です。うんうん、わかってる。由美子、その笑顔、魅せるのは俺だけにしろよ。今夜、どうだい?いい店知ってるんだ。と脳内ストーリーを練っているとお姉さんが、
「このサイトですね。」と画面を見せてくれました。駅すぱーとでした。そういや前に青春18切符で旅行したときに使ったかもしれない。コレをすぐに解約しました。お姉さん曰くもう一つ登録してあるそうです。
「あ、これ・・・ですね」
どれどれ、由美子、見せてごらんと見たその画面には、
「☆★エロ抜きパラダイス★☆」
ぎゃー!!ショッキングピンクの文字と女性のあられもない姿とともに見紛う事なき字で「☆★エロ抜きパラダイス★☆」。問答無用で「☆★エロ抜きパラダイス★☆」。絶対的に「☆★エロ抜きパラダイス★☆」。僕は思いました。この恋、始まる前に終わったな・・・と。
だれか僕に愛を下さい。
