ある漫画家が、この世を去った。
作品を通じて、親しくさせて頂いていた作家様の名は――。
――帯ひろ志先生。

先生は講師を務め、後進の指導に力を注ぐ中、
新作への意欲を燃やしていた。
穏やかだけど真っすぐな作家様だった。



私が趣味でかき集めた、
漫画家の苦悩話をいつも興味深げに聞き、
自身の苦労話を沢山聞かせてくれた。

故郷である帯広市に敬意をはらい、
帯ひろ志と名づけたペンネーム。
北の大地に生まれた作家は、とても情熱的な人だった。

漫画家さんの苦労話をしていると、先生が言った――。

『僕はマンガは描きたいけど、講師の仕事が忙しくなって、
学校の無い期間だけ期間労働者みたいにマンガを描く..。
まぁ、運が良ければですが(^ ^;
そんな生活サイクルに成ってしまいました。

今も企画が通るか返事待ち(笑)
来年の4月からは新規で2校で教える事になっちゃった...。
合計3校。益々普段の漫画がかけなくなっちゃう。
でも、若者の後押しをするのも
やりがいがあるからこれもマンガの仕事なのかも』

先生が教えてくれた、作家としての生き方や、
作家に必要な姿勢は、多くの卵を孵化させるはずです。
先生本当にお疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。

―以下は、先生が好きだったお話です―
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「だから漫画を描く」の巻

漫画家って売れっ子ばっかじゃねぇんだよ。
そりゃ当然って思うかもだけどね、
単行本出してもらえない作家とかね、
出してもらえても五千部とかのね、
そもそも原稿が買い取りだから、
印税が入ってこないとかね、
まぁ細々とやってる漫画家ってのがいるわけよ。

実はそんな人のほうが多いんじゃないかな。

若い時はいいけどよ、
40歳50歳って続けるのってほんと大変。
絵も古くなるしね、やっぱ勉強し続けないと、
話もアイデアも古くなっちゃうからね。

体もポンコツになってくるとさ、
長い間同じ姿勢を維持してるだけで、
背中つりそうになるしさ、
手も痺れちゃうしね。

若い時はもっと描けたけどなぁ……、
なんて言いながら目頭を指でギュっと押さえてんのよ。

ああ、年取ったなぁって。

それでももう漫画しかないからさ、
無い知恵絞って、色々企画考えてさ、
昔売れてた人とかはね、
メイクとか再ブームみたいな機会があったりね、
文庫化! とか完全版! とか、
若手の頃の短編集が再録されて、
「名作集! ここに極まる!」なんてね、
そういう忘れた頃の臨時収入みたいなのがあるんだけどね、
俺……代表作っていう代表作が無いんだわ。

あるっていえばあるけど、
ま、たいてい「知らないです」って言われるわな。
そのぐらいのレベルの作家ってわけ。

そんな微妙な作家はね、
電子書籍にしてみませんか?
とか、聞いた事もないような出版社から連絡が入って、
ダウンロードされたら○円みたいな感じで、
安く買い叩かれるのよ。

んで、売れない。
昔もそんなに売れてないのに、
電子書籍になって、
わざわざ買う人なんていないわけよ。
電子書籍の収入ってね半年毎ぐらいにかな、
5千円以上の販売利益があれば、
作家に振り込まれるの。
(注:出版社によってシステムに違いがあります。
月々のDL数で支払われる会社もあります)

まぁ多少は期待してる俺がいる。
あんがい売れちゃって、
シーズン2を描いて下さいなんてね!

まぁ……売れなかったな。
半年経って利益5千円越えないの。
1年経ってやっと7千円だか振り込まれて、
俺の漫画どんだけ売れないんだ? って思ったね。

そんなわけで細々と漫画描いてる訳よ。
こないださ、連載が終わったんだよ。
打ち切りじゃなくて、一応円満にね。

麻雀漫画なんだけどさ、
まぁそこそこ、いや、ギリギリ人気をキープしててよ。
低空飛行しながらどうにか着地したって感じな。

それまで原作ありの企画物は最後まで描いてたけど、
オリジナルはけっこう打ち切りが続いてたからよ、
俺の中ではかなり自分を褒めたい出来事だったわけ。

でも、担当は、
「次回作についてはまた……後日」
なんて言って、ねぎらいの言葉も無い。

次回作について触れないってことは、
もう俺を使わないってことかよ?
そんな不安が過ぎりながらね、
北風冷たいオフィス街を歩いて、
事務所なんて名ばかりのボロアパートに戻ったわけ。

まぁたまには若いもん誘って、
慰労会でもしちゃおうかなってね。

そしたらばよ、
「俺、用事あるんで」
「自分の原稿ありますから」
とか言って、全員帰りやがるの!

なんだよ! ふざけんな!
一緒に漫画描いて来たんだろ!
次が無い漫画家には砂でもかけろってのかよ!
なんて怒ったらみっともないからね……、
昔だったら机の一つや二つひっくり返したけど、
そう、君達も頑張ってなんて……見送ったわけ。

寂しい……。

漫画ばっか描いて来てよ、
結婚したけど、漫画漫画で、
嫁も子供も大事に出来なくてよ、
離婚しちゃってそれでも漫画描いて、
娘が成人して結婚して、
その時も漫画描いてて結婚式に行けなくて、

娘なんて嬉し涙じゃなくて、
俺が来ないから悲しくて泣いてたからね。
最低の親父だよ、俺ぁ。
でも漫画しかなかったんだよ。

漫画漫画漫画……。

でも、なんにも俺の手元には残ってない。
あるのは、売れない漫画と明日も見えないボロ事務所。

ここで売れてる作家ならよ、
なんでぇ馬鹿野郎!
お姉ちゃんのいっぱいいるお店に行っちゃうもんね!
なんてなるかもだけどよ、
俺……売れてないし、お金ないし、
そもそもそんな店、ほとんど行った事ねぇし。
行く場所なんて別にないのよ。
友達もあんまね……こんな性格だしね。

コンビにで酒買って、おでん買って、
スープ多めにしてねって店員に言ったら、
高校生のバイトに舌打ちされたりね。

スープぐらい! って思ったけど、
怒って喧嘩になって、
売れない漫画家おでんのスープで激怒!
なんて感じでWEBニュースのネタになんてなりたくないしね、
あ、もう少し入れてね。おっちゃんスープ好きなの。
なんて愛想笑いしてやんの……。

んで……帰ったわけよ。
誰もいない家に。
昔は嫁がいて、娘がいて、
時々はね、ほんと時々はね、
クリスマスパーティなんかしてね。

ケンタッキー食ってね、
安いケーキ食ってね、
美味しいねなんて笑ってね。
幸せ噛み締めてたけど、
俺が全部台無しにしちまったんだなぁ。

でも漫画しかなかったからなぁ。

愚痴のネタも尽きたわ、
酒飲んでコタツでごろ寝じゃ!
と思って、家の鍵を開けたら、

クラッカーが一斉に鳴ったわけ!

電気がついてさ、担当と、
スタッフがニヤニヤ笑ってるんよ!

「連載! 無事に終了おめでとう!」
なんて垂れ幕まで用意されててね。
余計なお世話だ馬鹿野郎!

「次の企画も決まってるから、
椅子にしがみついてでも描け。
あんたもう漫画しかないんだから!」
なんて担当が顔を赤くして俺の肩を叩くんよ、

うっせぇ、そんなのここに帰ってくるまで、
ずっと考えてたわ!

「先生、俺! 先生の所で勉強させてもらったお陰で、
やっとデビュー出来る事が決まりました!」
馬鹿! そんなのお前の実力だ!
でもおめでとうな!

言いたい事は沢山あったけど、
もう鼻水グズグズで涙で何やら滲んで、
気がついたらコンビニで買ったおでん零しちゃって、
そんな中もう「ありがとう、俺うれしい」なんて、
オッサンの俺、号泣。

漫画で色々失ったけどよ、
きっと漫画で色々得たものもある。
そんな風にちょっとぐらい感じてもいいだろ?

俺はねそう思うんだよ。
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■上記の記事は、帯先生が体験されたお話ではなく、
他の作家様が実際に体験されたお話となります。
帯先生には、いつも色んな話を聞いて頂き、
その感想やご自身の体験談等を話して頂いておりました。

ご生前のご功績を偲び、
心からご冥福をお祈り申し上げます。■
『君はプロになれない!後編』の巻

持ち込みに行く事になり、
持ち込み予約をしたら、
当日になって絵描きさんが来ない!

そんな話しから始まった、
モヤモヤのお裾分け、最終回です。

さぁ栄光の第一位は!!

プロ作家さんがボランティアで添削してくれる、
養成所のような勉強会があるのですよ。
(私も添削スタッフをさせて頂いてます☆)
プロ志望の人が見てください!読んでください!
みたいな感じで、原稿をドンドンアップするわけです。

ある程度ルールがありまして、
アップする原稿のフォーマットや、
マナー等も決めてあるのですが、

ぜんぜん守らない人が沢山いる。

挨拶もほとんど無い状態で、
超長文の原稿をいきなり掲示板に投稿したり、
(400字詰め120Pぐらい……)
作家さんに直接送りつける方がいるのです……。
(公式HPやブログのメール機能等で)

それでも、作家さんが丁寧に添削して、
『テーマがぶれているので、
ここはこうした方が良いですよ』
『雰囲気だけではなくキャラをしっかり書きましょう』
『○○という作品が参考になるかも知れないですね』
という感じでコメントしたりメールを返しても、
お礼の言葉も無く。

『分かりました。そうですか』の一言だけで、
添削に対してのコメントは無し……。

その後、修正原稿がアップされる事もなく、
勉強会に参加しなくなったなぁと思っていたら、
違う作家さんに、同じ原稿を送りつけたそうで……、
関わりたくないなぁと思っていたら、
私の所にも何やら送られて来ました。

が、長文原稿ではなかったのです。

30行ぐらいの設定の覚え書きのような……、
あらすじのようなそうでないような、
でも挨拶文も何も無いので、良く分からない。

「送っていただいたメールですが、あれは一体……?」
と尋ねてみたら「プロットですけど?」
なんて返事が一行だけ届きました。

で? どうすりゃいいんだ?

どうやらプロットを見て欲しいという事だったのですが、
どう見てもプロットには見えない……。

『剣士のアニスターは最強の剣士。
今日も竜殺しの剣で剣の道を究める毎日』
みたいな感じで始まり……。

アニスターの凄さが語られ、
お姫様のアンジェリカはツンデレという事が分かり、

『ある日剣術指南役のアドニーが、
最強の魔術師アバンに攻撃を受けた。
死神の血を受け継ぐアニスターの剣がうなる』

で終わった……。

終わり!?

アニスター、死神の血を受け継いでるの!?
それにしても『ア』のつく名前の人が多いな。

これだけでもモヤっとしちゃうのですが……。

このプロット風なのを送って来たのが、
30過ぎたおっちゃんというのが少し切ない……。

プロ作家を養成する勉強会ですので、
「ワクワクするようなプロットでした」なんて、
当たり障りの無い言葉を送るのは失礼なので、

『現段階では良くあるファンタジーになっているので、
一歩踏み出た題材が必要になると思います』
『そしてプロットではなく、
メモや覚え書きのように見えました』
『見てもらう人の事を意識して見やすく書きましょう』
と……少し厳しく、でも書く気力を、
踏みにじるような事をしてはいけないので、
参考になる本やプロットの書き方をアドバイス……。

が、返ってきた返事は――。
「僕は今までに無い作品だと思います、
なぜならアニスターは――」
という感じで始まる物凄い長文メールが届いた。

そして最後は、
「見解の不一致ですね。
勉強会で得られる物は何も無いです」
なんて文章で締めくくられていた……。

もや~~~。

その後、アニスタープロットは、
勉強会に関わる作家さん全員の所に送られる事になる。

「アニスター来た?」
「うん、うちもアニスター来た」
「アンジェリカ姫が主人公のバージョンも来た」
と、アニスターブーム到来。

そして――。
「だんだん好きになってきた」
という展開になるわけでもなく、
作家さん全員が厳しくも優しく駄目出しのお返事。

それに対して返ってきた返事は、
「誰がなんと言おうと、僕は面白いと思う。 
マナーの事も口うるさく書かれていたが、
作家にマナーは必要ないと思うし、
それ以前に僕は常識人である。
業界のくだらないルールに縛られてないで、
誰かこのプロットを作品化して欲しい。
このプロットに血肉を。後悔する前に急げ」
こんな感じだった……。

もう突っ込みどころが多すぎて、
何処から突っ込んで良いのか分からなくなります。

これをプロの作家さん達に送っているというのがもう……。
もやもや~~。

字書きさんの壁って、自己満足と、
コミュニケーション下手な部分だと思う。
あ、壁の話しに戻りましたね……ふぅぅ。
『君はプロになれない!中編』の巻

前々回の記事『漫画の壁を越えろ!』の、
続きではなく、閑話休題的なお話だったりします。

最近あったモヤモヤのお裾分け、第二回です(まて!)

持ち込みに行く事になり、
持ち込み予約をしたら、
当日になって絵描きさんが来ない!
というのが第三位でした……。

さぁ第二位は!!

「ちょっとアイデアを借りただけなんですよ?
それなのにあんなに激昂します? 普通?」
仕事を一緒にする事になった、
若いライターさんの言葉だ。

聞けば、この方、
同期のライターさんの作品に似ている作品を書いて、
その作品が評価されて仕事に繋がったそうだ……。

似てる部分がある作品も沢山あるけど、
堂々と『借りた』宣言はいかがなものか……。

「これからも事務所で顔を合わせるのに、
なんか感じが悪いですよね。嫉妬なのかな~」
と、まるで相手が悪いとでも言いたげな様子。

「仕事先に本当は自分のアイデアじゃないって、
言えなんて言ってくるんですよ、
もう正気じゃないですよね?」
あっけらかんと話す彼女の目は若干焦点が合ってない。

この女性、トラブルが多いのです。

出産と育児の為休職する事になった、女性ライターさんに、
「余裕ですねー出産とかしちゃって。
復帰できるんですかー?」
なんて言葉を投げかけたり。

同じ事務所に所属しているライターさん数人と同時に交際して、
「一番売れた人と結婚してあげちゃう」
(可愛らしい女性なんですよ……小悪魔っぽい感じの)
みたいな事を言い出したり……。

もう一緒に仕事をしていて、
こんな話しばかりなもので、モヤッモヤしてます……。

私は穏やかに暮らしたい……ただただそう思いました。

さぁ栄えある第一位は、
地味なのですが、モヤ度は高いです!(モヤ度?)