僕は、強欲
何でも欲しくてたまらない
僕は、強欲
何でも思い通りでないと気が済まない
でも
手に入るのは
たった1マスの中に収まるものだけ
僕は
それを満たそうと
その中に何でもかんでも入れてみた
当然それは
すぐにあふれ出し
すぐに崩れていった
僕は
考えた
どうしたらこの中を
欲望で
満足いくまで
満たせるだろう
そうだ…
底を取り払おう
何でもはいる
何でもはいるぞ
愚かな小さな僕は
疑いもせず
それを
取り払い
どこかへ
投げ捨てた
不思議なことが起きた
その中に
いろんなものを詰め込んだ
はず
だった
でも
いれても
いれても
満ち満ちてこない
いれても
いれても
山になることはない
覗き込んだ
底の先には
青空と空が流れている
その下には海のようなキラキラしたものが見え
よくみると何かが浮かんでいるようにも見える
愚かな中くらいの僕は
そこで気が付くことなく
少し
手を止めたくらいで
疑いもせず
何れ満ちるだろうと
また、セッセと欲望を投げ入れた
いれても
いれても
満足しない
いれても
いれても
満足できない
愛も楽しささえ
その小さな空箱に
ねじ込んでも
満ちることは、無かった
純粋な欲望は
戸惑いに変わり
焦りに変わり
怒りや憎しみに変わり
疲労へと変っていく
やがて
放り投げる手も止まり
気が付けば
変らぬ底を眺める日々となった
ぽっかりと空いたままの
心と口は
本当の空を眺めた
はて…、私は、今まで何をしてきたのだろうか…
愚かな老いた僕は
初めて
無駄というものに気づいたのだ
ただし、そのことを後悔する体力はない
ただし、そのことへ絶望する精神はない
たった1マスを
1マスを塗りつぶせないまま
虚しさばかりを
口ずさむ
その後
何を思ったのか
理解の外で
昔…、誰かに歌ってもらった
ほんのり暖かな声と風景を
その目に宿し
僕は
そっと
その1マスに身を投げた
誰一人
振り向くことなく
終わりを迎えた
僕の世界のことは
誰も知らないだろう
その1マスの先も
誰も知らないだろう
大丈夫
僕自身もわからない
きっとこの先
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わからないはずだ
by梟霊