ほしいものはない
金も、権力も
持ちえた先には
何もなく
空となる
頂に
迫れば迫るほど
憧れた光には近づくが
足元は心もとなく
今すぐにでも落ちてしまいそうな
恐怖に包まれる
酒にも、女にも酔いもすれば
忘れられると思っても
結局
目覚めれば同じ
何にしがみ付き
何を恐れて昇り続けているのか
ぼろぼろの手を見つめ
考えてしまう
貧しいもの
卑しいもの
でも
生きることに
必死な
人間である
獣に近い
人間である
そう、見下していた
ただ、それすらどうでもよくなれば
そこに在るのは
一歩ずれた世界
何かが違えば
それが私であり
彼らがここにいたのかもしれないという
可能性
あぁ、つまらない
つまらなすぎて
どうでもよくなって
ありのままの
感じるがままの
朝焼けを見つめてみたさ
余裕がない日常の
たった数分の静寂が
何よりも素晴らしいと
思えた
何より、そう感じることのできる
心があったことに
驚き
これが・・・
穏やかということかと
鼻で笑ったよ
そうだな
それから
くだらない信仰もなく
無駄な正義心もなく
信念も途絶え
何も考えず
ひたすらに
ありがとうと思うことにした
そのたった5文字に
願いすら
念すら
乗せずに
ありがとうと思いたいときに
思うようにした
なんとなく
軽くなった気がしたよ
なんとなく
その場所から少しだけ
前に
進めたきがしたよ
by梟霊