「GAME」/Perfume | こだわりのつっこみ

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GAME/Perfume
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 概要:2008年に発表された、Perfume初のオリジナルアルバム。2008年4月28日付のオリコンアルバム週間ランキングで1位を獲得し、現在50万枚近くの売り上げを誇る。

総論: 
 「ポリリズム」を初めて聴いた時、「ふーん、なんかいいメロディだな」とふと感じただけだったのですが、その後CMやテレビ番組で聴くにつれ「なんか面白いぞ、でもどこがポリリズムなんだろう?」と惹きつけられ、さらにラジオ番組で全編が通して流れ、ポリリズム(ポリループ)部分が本当にあったことで、「あぁ、まさかラブラブ!」と驚愕、CDショップに走り、Perfumeを追いかけることに決めたのです。

 しかし、元来アイドル物は苦手なので、元来自分が定義してきたアイドルとアイドルの歌、それとPerfumeの音楽とのギャップに見事に引っかかってしまった、いい意味で裏切られたのです。もちろんメロディも秀逸なのですが。

 そんなこんなで手に入れた『GAME』ですが、久々にハマってしまったアルバムで、その聴き込みも自分の中ではかなりのもので、まさに魅了されたのです。

 Perfume人気はいまさら語るまでもありませんが、それでも元来のアイドルが好きな方々のみならず、YMOのテクノ音やファミコンの電子音に親近感を持つ世代、踊りを真似したがる子ども世代、クラブで踊る人々、さらに私のような中途半端に歌詞ではなく音を愛好する偏屈者、というあらゆる人々を虜にする所が人気に拍車をかけているような気がするのです。

 『GAME』は「リニアモーターガール」から始まったといわれる、いわゆる近未来テクノを実らせたPerfumeの成長の記録、集大成といえるような珠玉の作品が数々収められたアルバムだと思います。しかし、王道の電子音・ヴォコーダー処理声の歌だけではなく、生音・生声が比較的押し出されている歌もあるし、疾走感がある歌もあればバラードもあるということで、飽きずに楽しめます。


抄説:★は5つが満点で☆は0.5点。さらに違う色のタイトルにクリックしていただくと偏狭な思い入れの記事に飛びます。
1.ポリリズム  ★★★★★
 この歌でPerfumeを好きになったということで満点です。

 分かりやすいメロディながら、やっていることは高度で斬新な音楽的要素を盛り込んでいるという、Perfumeの歌の原型なのではないかと思えるような作品です。

 しっかし、何はともあれ、この手の歌にポリリズム(ポリループ)なんていう技法を織り交ぜることその1点だけでも、音楽史に記録されるべき画期的なものだと思います。


2.Plastic smile  ★★★ 
 歌詞も音楽も王道、といった感じです。
 
 アルバム曲なのですが、それにしてはもったいないくらいのクオリティの高さ。
 
 ただ、王道だけに、「すわーすげー」という感は少ないです。むしろ「Perfumeっぽい」というほほえましい感じがします。


3.GAME  ★★★★
 電子音にエレキギターのサウンドが重なって、そのブリブリした感じが癖になります。

 アルバムタイトル曲というだけあって、今までのPerfumeとは違う、大人なそのサウンドは、より高いステージへ飛躍ような印象を受けました。

 3:36のサビの直前なんかで無音をつくったり、メリハリがついている感じがいいです音譜


4.Baby cruising Love  ★★★★★
 「ポリリズム」の後に出すシングルはどうなるのだろう、と思っていて異常なほどに期待をしていました。

 そこにきてこのような雰囲気が全然違う、ミディアムなバラード。
 正直、初めて聴いた時は「あれ~、期待はずれだなぁ」と思ったのです。

 しかし、スルメ曲とはまさにこのこと!!
 聴けば聴くほどどんどん惹きこまれるのです。今ではすっかり大好きに。満点ですから。

 生のピアノ音と、電子音・ヴォコーダー加工の歌声がいいのなんのニコニコ特にピアノが感情的にコードを鳴らしている感じがほんと、美しい。

 声もかわいらしくて良いです。4:00からのサビの追っかけ+ハモリは聴き手に迫るものをもっています。

 多分、アルバム内での曲順もいいように作用してるんじゃないかなぁと思います。ブリブリの「GAME」のあとの生音混入のミディアムバラードですから。


5.チョコレイト・ディスコ  ★★★
 チョコレートじゃなくてチョコレイトですからねビックリマーク
 レトロだにひひ

 この歌がPerfumeを表舞台に引き上げた代表曲だと思うのですが、最後の「ディスコ」を連発する感じが個人的にはあまり面白くありません。曲終わりの「ダーン」という音で切られるのもなんだか好きではありません。

 でも、これが新たなバレンタインデー・ソングになってもらいたいですけどね~。


6.マカロニ  ★★★☆
 こちらも「Baby cruising Love」のように生音が比較的重視されている歌です。
 特にドラムの突き抜けた音、すごく好きです。

 Perfumeはハモリも魅力の一つだと思うのですが、この歌はブリブリしていないので、その普通じゃないハモリを堪能できます。

 ラストのサビで出てくる、オルガンのような音色でアルペジオのようなオブリガードのようなふやふやしたメロディもいいです。

7.セラミックガール  ★★★★★
 2曲目の「Plastic smile」のような王道なのですが、こちらの方が断然好きです。

 というのもこちらの方が疾走感があって(例えばAメロディの早口で歌う部分)、音楽的にも、うなる部分が多い(例えばAメロディで早口で歌っているくせにハモっている、声の加工で間奏を奏でているなどなど)からです。

 なぜか、ボンゴもAメロディには「ポポン」とさりげなく鳴らされたりして、なんとも可愛らしいのです。

 若い女の子らしさがでているような、爽やかさがとても好感が持てます。


8.Take me Take me  ★★
 この曲がこのアルバムの中ではあまり好きではありませんガーン

 まあ、あまりいい歌がありすぎでも疲れてしまうので、こういった曲も必要なんですが。

 アンニュイな感じで、ブリブリしている割に眠気を誘うような、そんな曲です。
 狙っているのかどうか分かりませんが、1:40で伸ばしている音なんか、不協和音になってるし雷

 しかし、アコースティックギターがピックアップされていたり、異色な感じがするのは間違いなしです。


9.シークレットシークレット   ★★★★★
 「Perfume劇場の幕開けです」といったような始まり。アルバム曲とは到底思えないクオリティの高さ。
 最初の暗い感じの前奏はそこまで好きではなかったのですが、サビはなんだか懐かしいような歌にも感じられます。サビは一聴き惚れとでも言いましょうか。

 サビの繋ぎでベースが飛び出るところなんかも一風変わっていて面白いし、最後のサビに入るとハモリが増えていたりするなど、オーソドックスな展開ながらも工夫が随所に凝らされていて、素敵です。


10. Butterfly  ★★★
 しょっぱなからオリエンタルな雰囲気。
 ジャングルみたいな音鳴ってるし。
 上へ下へと続くアルペジオが前奏だけでなく、所々にあらわれて、なんとも言えぬ妖しげな空間を作ります。

11.Twinkle Snow Powdery Snow  ★★★★★
 この歌も名曲です。
 疾走感がものすごく、きらめくようなエレキピアノがまるで粉雪のようであり、かといってそれだけではなく、シンセベースがブリブリと鳴り、Perfume節とでもいいましょうか。

 2番に入って、音が静かになり、だんだん盛り上がって2:25あたりからの「snow~~~」の伸ばした声は特に素晴らしい。
 その後のサビでイントロがバックのメロディとして流れるあたり、かなり計算されたものだと分かります。
 疾走感はだれることなく最初から最後まで貫かれ、「冬」=「雪」=「切なめのバラード」という定式からは大きく外れた秀作ですビックリマーク

 「ポリリズム」の前に出された4thシングルの中の1曲(もう1曲はチョコレイト・ディスコ)で、バレンタインデーに発売されたようで、そのあたりがアイドルとしての戦略という感じがしますが(歌詞も男心をくすぐる可愛らしさあり)、音を聞くと、彼女らがアイドルだけの枠には留まっていないアーティストとしての非凡な才能を知ることができます。


12. Puppy love  ★★★★★
 『GAME』の最後を飾る歌なのです。
「ああこの曲で終わりか」という感覚もあるのですが、「彼女たちは一体どこまで変化を遂げるのだろう?」と思わせてくれるような、なんか発展的な予感を感じさせるような濃い歌でもあります。

 スピードは前曲ほどは速くないものの、心地よいスピード感で、生音(特にピアノとドラム、ベース)が電子音よりも印象として残るような仕上がり。電子音やヴォコーダーを使わずとも十分にやっていけるんじゃないか?と感じました。

 いつも思うけど、中田ヤスタカさんは、ピアノの音をキレイに、そして効果的に鳴らすのがうまいなぁと思います。

 結果的にはこの記事を書いている現在、ロボットのような感情のないテクノ声の歌もあれば、「Dream Fighter」などといった感情を込めた生歌路線もちょくちょく登場してきていることから、その幅の広さも含め、この人たちの動向が楽しみなのですニコニコ