失礼ながら、沖縄の南城市これまで知らなかった。
沖縄本島南部の東海岸にあり、太平洋に面している。
約700年前に琉球を初めて統一した英雄、
尚巴志(しょうはし)の出身地だという。
この大会は南城市の海と山をまるごと味わう21kmだった。

スタートは街を東西に走る国道。
ハーフのエントリーは約7500人。
狭い道がランナーであふれかえった。
渋滞で写真奥のスタート地点まで5分ほどかかった。
スタートしても3kmほどはスロージョギングペース。
格好の準備運動といえたかもしれない。

4kmを過ぎて少し進むとT字路の突き当り。
ここを右手に曲がると、大会名物のコースだ。

写真右上の看板の通り、ここから「新里坂(しんざとびら)」。
高低差150mの急坂で、コース最大の難所だ。
前日、タクシーで通った時に気が引き締まった。

スタートから5kmほどなのに、歩く姿が目に付く。

坂道は遅くとも駆け上がるのが、私のモットー。
今回もいつも通りに駆け上がった。
時折、振り返ると、坂道の角度が分かる。

ランナーが多く追突防止のためにペースは落ちる。
これが、結果的には幸いだったかもしれない。

新里坂を越えても、緩やかなアップ&ダウン。

沿道では笑顔の応援や差し入れが続いた。
沖縄のマラソンでは恒例だ。
差し入れをすべて受けていたら、
走る暇がなくなると思えるほどだった。
小さな子供からばあちゃんまで幅広い応援。
皆さん、ありがとう。

しばらくすると、海が見え始めた。
曇で時々晴れ、時折雨という忙しい天気。
でも視界は比較的良好。
山から見下ろす海の景色は新鮮で気持ち良く。
ランナーの間から「綺麗だ」との声が出た。

10km地点付近で「ニライカナイへの道」という標識。
噂に聞く絶景に期待が高まり、足取りが軽くなった。
「ニライカナイ」とは、
沖縄の方言で「海の向こうの理想郷」だという。

直ぐに目的の「ニライカナイ橋」に到着。
この橋からは太平洋が一望できる。
沖縄南部の絶景スポットと言われている。
この絶景を眺めながら、橋を駆け下りる。
下り坂の快適さに、広々とした風景の清々しさ。
素晴らしかった。
上り坂だったら、景色を楽しむどころではないだろう。

記念撮影で立ち止まるランナーが続出。
私も風景撮影や自撮りでシャッターを押し続けた。
曇りのために海面の色がくすんでいたのが残念。

橋は途中で曲がり折り返している格好。
厳密に言えば、
「ニライ橋」と「カナイ橋」という二つの橋らしい。

ニライカナイ橋を降り切ると、海辺の道が続いた。
緩やかな下りが多く、軽快だった。
ここまで上ったり下ったりでマラソンと違う雰囲気だった。
ようやく、”普通のマラソン”になった気がした。

暑さ対策のミストシャワー付き扇風機。
この日は曇り空で時折雨も降ったので有難みが薄かった。
晴れていたら、しがみつくようにお世話になっただろう。

沿道の笑顔は絶えなかった。
笑顔の人々と言葉を交わすのが、マラソンの醍醐味。

色々あった21kmもいつの間にか終了。
雨の中、ゴールを駆け抜けた。

マラソン後にパンツのポケットから出てきたキャンディー。
沿道で子供たちがくれた差し入れだ。
貰っても食べきれないので、極力遠慮した。
それでも、いつの間にかこれだけ受け取っていた。
沖縄マラソンの温かさを改めて感じた。
南城市の皆さん、どうもありがとうございました。