
新潮文庫全三巻。
恥ずかしながら、司馬遼太郎の本格的な小説を初めて読んだ。
何で今さらかというと、私のホームグラウンドの大阪城が舞台だからだ。
今から400年前の1614~15年にかけ、
関東の徳川家康が大阪城を攻めて豊臣家を滅ぼし、政権を奪い取った。
大坂冬の陣、夏の陣といわれるこの歴史の転換点を大河ドラマのように描いている。
楽しみながら、大阪の勉強をできた。
それぞれの陣営の大名、武士も含め実在の多くの人物の人間像を生き生きと表現している。
敢えて、主役を選ぶとすれば、攻める徳川家康と故豊臣秀吉の側室、淀殿だと思う。
家康は政権奪取のためには、噓も含むあらゆる手段を使う徹底した悪役。
一方、淀殿は太閤亡き後の政権を支配しながらも、近視眼的で感情に支配される愚かな女帝だ。
戦いは、淀君、秀吉の子の秀頼らが自害し、陣営も大多数が死亡し、城は廃墟となった。
淀殿やその側近、政権の中枢らが別の対応をすれば、勝敗は変わったのではないか、
と思える場面が何度もあった。
惜しい気もするが、仕方のないことだ。
大阪市などは今年から来年にかけて「大坂の陣400周年」として様々な記念事業を実施する。
大阪城を様々な角度から学び、楽しむチャンスともいえる。
実は、中巻は三回買った。
読んでいる途中で、二回どこかに置き忘れた。
この歳になると、携帯に便利な文庫本は、落し物予備軍でもある。
困ったものだ。