
9月8日(土)
久間十義著、角川文庫。
久間十義という著者名と、「刑事たちの夏」という文字に魅かれて迷わず手に取った。
10年以上前に、「刑事たちの夏」を読んだ記憶がある。
政・官・財の癒着、権力闘争の中で起きた「悪」に立ち向かい、
その「悪」に抹殺された刑事の物語だった。
知的サスペンスに満ちた刺激的な一冊だった。
その読後感がこの本を手に取らせた。
読みながら思い始めた。
「『聖戦』は『夏』の続編ではないか」
登場人物の何人かに既視感というか、既読感を覚えた。
ネットで『夏』を調べて、続編なのが確認できた。
10年以上かけて続きを読んだわけだ。
モチーフは同様に政官財の巨悪に立ち向かう刑事がモチーフだった。
前作と同じような知的サスペンスを楽しんだ。
でも、大きな違いがあった。
前作の場合は巨悪の前での無力感が強く読後感はかなり暗かった。
しかし、今回は巨悪の力は依然巨大なものの、
人生の希望を感じる明るい読後感になった。