
6月24日(日)
朝日新聞特別報道部著。
朝日新聞紙上で人気を博した長期連載企画の単行本化。
昨年3月の東日本大震災発生後の被災地、政府の出来事を追ったドキュメントだ。
具体的な出来事、人の動き、証言を集めてあり、分かりやすい。
大震災直後の政府の対応では、首相が細部までしゃしゃり出すぎて混乱を助長したと批判されている。
ただ、本書では官僚機構がまるで機能しなかった様子が描き出されている。
情報が集まらず、対応策が上がってこない中、首相が前のめりにならざるを得なかったという構図がみえる。
この国の官僚機構は自らの描いたシナリオに沿って政治や国家を動かすことに長けていても、
不測の緊急時に対応する危機管理能力を持ち合わせていないのだろうか。
一方、この明確な問題提起や首相サイドの厚い取材協力を合わせると、
自らの過剰介入ばかりに目を向けられることを懸念した首相サイドが反撃しているのではないか、とも思える。
考えすぎだろうか。