
4月16日(月)
垣根涼介著。
企業の依頼を受けて社員の退職を促す“リストラ請負人”村上真介シリーズの第三弾。
今回肩たたきの対象となったの四人。
英会話学校講師(女)、
旅行会社社員(男)、
自動車ディーラーの整備士(男)、
写真週刊誌の記者(女)、
四人とも真介による退職の勧めを受け、
ある者は悩んだ上、ある者は進んで結果的には退職し、新しい世界に旅立つ。
リストラという厳しい現実を舞台にしながらも明るく前向きに生きていく人々を描いている。
読後感はさわやかだ。
ただ、第一作「君たちに明日はない」、第二作「借金取りの王子」に比べると物足りなくなった。
リストラ対象となった人物の行方がどうなるか、という冷や冷や感。
その人物の人生の切なさ、ひたむきさに触れたときのやさしい気持ち。
リストラの厳しい現実の中でも消えない男女の恋をのぞいた時の甘い感覚。
主人公、真介の恋を微笑ましく、かつうらやましく思うほのぼの感。
一、二巻を読んだ時に感じたハラハラ、ドキドキ、冷や冷やする感覚が今回はかなり薄くなった。
三作目で読む方が慣れてきた面もあるだろうが、平凡な物語になってきた感じがする。
読んで損をすることはないけれど、思わぬ得をすることもない、といったところだろうか。