
4月7日(土)
物語職人、荻原浩が本領を発揮したエンタメ作。
飛行機事故のため南洋の小島に漂流した10人と一匹の日々を描く。
ゴルフ場開発の視察で訪れたリゾート会社の一行、新婚カップル、謎の米国人(たぶん)、
おじいさんと孫、飛行機の荷物(?)だった犬という具合だ。
それぞれの人物、集団が島に持ち込む「日常」と、
無人島生活の「非日常」が交錯し日々が過ぎていく。
しゃれた笑い、
「なるほど」とうなづかせる描写、展開、
時折漂うロマンスの香り、
手だれの作家らしい仕掛けがふんだんに散りばめられている。
読みながらウフフ、ホホホ、クスッとなる。
中心人物の一人である若手サラリーマン賢司。
バリバリというわけではなく飄々としていて、どちらかというと草食系。
でも何となく頑張ってしまう。
「メリーゴーランド」「神様からひと言」「オロロ畑でつかまえて」などの登場人物と重なるイメージを持つ。
現代版ヒーローの一つのタイプと言えるかもしれない。