
2月2日(木)
「ウォーターボーイズ」の矢口史靖監督の最新作「ロボジー」を観た。
大人1000円のサービスデーだった昨日の夜、最寄のシネコンに出かけた。
社長の急な命令でロボットの開発を任された家電メーカーの社員3人。
ロボットについては元々素人であり、期日までの完成が不可能に。
やむなく着ぐるみでごまかそうと画策したところ、
ひょんな経緯から独居老人の鈴木さん(60代後半~70代の設定か)が着ぐるみを着ることになった。
そして、その鈴木さんが大活躍(?)、ロボットお宅の女子大生もからんで事態がもつれていく、という展開。
題名の「ロボジー」は「ロボット」と「おじいさん」の合体語だろう。
今後、増え続けることが確実な老人たち。
生産現場から介護、娯楽の場まで登場機会が増えるであろうロボット。
こうした日本における今後の「主役」たちを組み合わせたところに矢口監督の時代感覚がみえる。
20年前に観たら別に何も感じなかったかもしれない。
ただの軽いコメディーだっただろう。
ただ、50代の半ばを過ぎ四捨五入で60歳という今の身には、実に味わい深い映画だった。
多くのサラリーマンが直面する第二の人生という問題をクローズアップしている。
鈴木さんは、仕事一筋で生きてきたので退職後、特にやることも無く過ごしていた。
昼間からうたた寝を繰り返す日々だ。
やることも無く、誰からも相手にされず、徐々に世間から忘れ去られる。
そんなたそがれた寂しさの中、着ぐるみの中に入ってロボットを演じるという活躍の場が出来た。
新たな仕事に生きがいを見つけ頑張る。
ロボットを演じる鈴木さんは、とても生き生きとしていて、楽しそうだ。
もちろん、ロボット役でなくて構わない。
自分も、年老いたときに何か活躍の場を持ちたい。そう思う。
逆に何も無かったらどうなるのだろうかと不安になる。
サラリーマンの多くは若いとき、「自分は所詮歯車の一つ」と嘆く。
しかし、年老いて職場を追われると、歯車として持っていた自分の居場所が無くなり途方にくれる。
そんな寂しさをこぼす先輩たちが身の回りで増えている50男はこの作品にすっかり感情移入してしまった。
主役の鈴木さんは、ロカビリー歌手のミッキー・カーチスさん。好演だった。
年老いたミュージシャンを起用した映画としては、
佐々部清監督の「カーテンコール」で、ギターの井上堯之さんの演技を観たときも印象的だった。
そのときも老人役だった。
映画監督のタレント発掘能力を感じる。
他の出演者では、和久井映見さんが妙に印象的だった。
フジテレビが制作にかんでいるので、しばらくすればテレビで放送することは確実。
さらに歳を重ねているであろう自分が、どんな思いで観るのだろうか。
それを考えると楽しいような、怖いような複雑な気持ちになる。