卵巣がんステージⅢと診断された母を見つめて -2ページ目

卵巣がんステージⅢと診断された母を見つめて

2013年12月、卵巣がんと診断された母と、
仕事で側に居てあげれない自分。


4回目の抗がん剤治療の後の診察
父が母の付添いで一緒に病院へ行きました。

先生から、

まだ手術が出来る段階までガンが小さくなっていません。
今、手術をしても大腸もかなり取る事になり
ストーマを着ける事になります。

ですからもう少し抗がん剤治療を頑張りましょう。


この事を聞いた父がショックだったようで、
かなり落ち込んでいました。


確かに父の気持ちも分かる。

でも、わたしは今の父には不満がある。
父は卵巣がんの事、母の未来の事を知るのがこわいと言って、
あまり病気の事を調べたがらない。


もうその段階はいいんじゃないだろうか。


手術をする事が長く生きる手段ならば、
手術後の事は家族が居るから大丈夫。

そういう気持ちでいなければ
母は安心して闘えないと思う。

一番近くにいる父はとても辛いだろう。

父、兄、そしてわたしは何と闘っているのか?
それは不安という自分の想像だと思う。


母は?

不安と抗がん剤治療と自分の命。
わたし達は母にはなれない
だから母の本当の辛さは分からないんだよ。

だから家族はもっと大きく構えていてあげないと駄目なんだ。


もちろん泣きたい時、
だらしないくらい泣けばいい。


卵巣がんの手術の事、術後の事をもっと知って、
想定できる範囲を広げて。
気持ちが対応出来るように。


わたしは学生の頃、両親には何度も迷惑をかけました。

「それでもこの子は自分の子供だから、親馬鹿です。」

そんな風にいってくれたのを覚えています。
すごく嬉しかったし、なにより安心できた。


そういう気持ちで母を支えていこうよ。
どんな事があっても家族がいるから大丈夫って。


あなたが呼べば、わたしはいつでも東京に帰ります。


でもね父さん、
無理はしないでほしい。



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母の手術はいつなのだろう。

次回の抗がん剤が5回目
その後くらいだろうか。

手術の日には東京行こうと思ってる。
父と母はきっと来なくていいと言うだろうな。


昨日、上司に手術の前日の夜から
東京に行かせてほしいと伝えた。

行く事は了解してもらえたが、
一言頂きました。

「行って何か出来る事あるのか?」と。

上司は地元の同級生で付き合いも長い。

相変わらずクールな男だ。


確かに正論だ。
わたしは医者ではない。

こういう自分と全く違う考えの人間も居るもんだと思うと、
それはそれでおもしろい。


クールな上司。



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名古屋に来てから不安が一つありました。


わたしには四つ離れた兄がいる。
学生だった頃は机に向かって勉強ばかりしていた兄。

兄弟でこれほど違うものかとよく思ったものでした。


今は結婚して子どもが二人、
数年前には実家から2~30分離れた場所に家も買った。

仕事は卒業した大学で教授をしている。


コツコツと努力をしてきた人は、しっかりと足が地面に着いてる。


そんな兄が大学側の指示で、4月から
最低一年間カナダへ留学する事になっている。

絶対に反対ではないし、賛成だ。
兄がキャリアを積む事は嬉しい。

でも、わたしだったら行かない。
答えのない話だ。


ただ両親は、息子が二人とも側に居なくなってしまうのは不安だろう。



父も母もそんな事は口には出さない。



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子供の頃に持った思いや印象というのは、
何年も経った今も変わらないものだ。

わたしの場合、父へのイメージもその内のひとつだ。


下町にある実家の一階が父の仕事場で、
ものづくりの職人。
子供の目から観ても、朝から夜遅くまでよく働く父親だった。


家事と子育ては母、
でも母親の手におえない時は父が登場して、
厳しく叱られた。

アウトドアな印象もある。
休みの日には釣りに連れて行ってくれたり、
昆虫採集に行ったり。

優しく、厳しく、頼りになる父。


あの頃の父がわたしの中に今でもある。

そんな父も70歳。
母が抗がん剤の副作用で具合のわるい日、
父も疲れるんだと思う。

そんな日の電話の父は弱気だ。

「今日みたいな日にキミがいてくれたらな…」


わたしの中で、
あの頃の父と今の父が、
時間の流れという、少し寂しく悲しいもので埋まっていく。


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今朝は起き上がる事が出来ず、
怠さと吐き気が今までで一番酷かったようです。


母が電話で言った。

まだ人にはあまり会いたくないのよ。

それまで普通に生活出来ていたのに、
ある日突然命というものを突きつけられて...

抗がん剤治療の後、
手術を受けてその後どうなるのか?

今の段階で先の事が何も解らないから、
とても誰かに会う気にはなれない。


母の不安な気持ち、
心の痛みを分け合う事が出来たら
どんなにいいだろう。



東京都知事選挙
人には会いたくないと言った母は、
期日前投票に行った。

「知ってる人には会わなかったわよ~」

電話の声でも母の表情がわかる。
やたらと元気そうに言う母


何だかとても可愛らしく思えた。


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