可愛い犬がこの地球上に沢山存在するのは知っている。



しかし。



母親の飼う犬、その名はジャンプ。



「もしかするとこいつだけは可愛いくないかもしれない」と思い出したのはいつからだろう。


見た目の事を言ってるのではない。


きっと性格がなんとゆーか、あさましい。のだと思う。



人が使用するテーブルの上の食べ物を物色するくらいならまだ可愛い。



しかしジャンプは違う。


普通の犬なら、食べ物が人間の口の中に入っったら諦めるだろう。


ジャンプは違うのだ。

口の中まで入って来ようとする。


頭から突っ込んできて口をこじあけようとしてくる。

もうケルベロスだ地獄の番犬だ。



しかしケルベロスの飼い主、母親はもっと凄かった。


ジャンプが食べ物を横取りした瞬間。


「おらぁー!!!ここ座れこのクソ犬がぁー!!お前は自分で稼いだ事あんのか?!一度も稼いだ金で飯くった事ないヤツが横取りなんて100年早いんだよ!よし、北海道に行って熊倒してこい!!!北海道行って熊倒したら取材とかバンバンくるぞ?!そしたら取材料とか入るかもしれないから、その時は許してやるよ!!!さあ、できんのか!できないのかハッキリ言えおらぁー!!!」と犬を言葉でガンガン責めていた。




そんな事言っても犬なんだからわからないだろう、と思っていた。



しかし母親の「できんのかできないのかハッキリ言えおらぁー」に対してジャンプは高い声で「ウウーン」と答えた。



文章では伝わりづらくて、もどかしいのだけれど「ううん、できない」の時のイントネーションで「ウウーン」と答えたのだ。



普通はそこでビックリして「許してやろう」と終わるはずなのだけれど母親は違った。


そこから更に色々な比喩や隠喩を駆使しジャンプをひたすら罵倒し続ける時間が延々と続いた。


その時思った。言葉を喋らない犬はやっぱり可愛いと。


1番のケルベロスは母親だったのだと。



しかしこのケルベロス、手料理はめちゃくちゃ美味しいから更に侮れない。