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Over the limits - 限界管理人のブログ

"システムの限界を越えますた・・・"
~さまざまな限界超えをめざして、日々成長していく日常の記録

世の中に「孫子本」は多々あるが、これは少し変わった本。

帯に、現代日本の「軍学者」が斬新に読み解く、とあるが、これまで軍事を真摯に研究してきた著者が、より突っ込んだ解釈を提示してくれている。

著作「孫子」の著者は複数いた!

と、一見衝撃の推測から始まるのだけれども、古代支那(Ancient China)の歴史において、諸子百家を輩出したこの時代、孫子「教団」として複数のライターがいてもおかしくはない。

それよりも何千年にも渡って、多くの人がこの「孫子」に注釈をつけ続けてきたという事実に驚かされる。どんだけ魅力のある書物なのだ・・・

世の中の経営者やビジネスマンが有難がって読んでる孫子だが、著者は本文冒頭で、孫子とはわがまま気ままな大衆を操縦する、大衆操縦術と喝破する。お経のように有難がって読むものでなく、これはもっと腹黒い、ブラックなものなんですよ~と警告してくれる。やはりこの著者、ひねくれてる(笑)

孫子の文中に「死地」という状況がある。これはどうにもこうにもならない、絶対絶命の状況なんだが、一見ピンチに思えるこの状況こそ、自分の部下を逃げ場のない場に放り込み、最大限に力を発揮させれる最高の状況と解釈すべしとのこと。・・・ブラック企業も真っ青のやり口である。こんな状況が延々と続けば、人間潰れます(笑)

「普通の」孫子を読んだ後で、これを読むと理解の幅が広がるだろう。自分の想像力の限界というものに気付かされる。孫子のような古典はいってみれば、エッセンスをぎゅっと凝縮した「干物」のようなもの。エッセンスが指し示す内容を、想像力という液体で戻した時、味がよくなるかは、自分の想像力次第である。勉強になりました~


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