なにより やっぱ 残って

 

いるのは ガキの ころ、

 

長女 A さんが ツレと

 

地元の 祭りに 行くって

 

いうんで なにやら 数日

 

まえから 家の 中が

 

ちょっと 浮かれ 気味に

 

なっていた その 当日、家で

 

友達と 合流 して ヨメさん

 

交え オンナ 同士で 時間まで

 

だらだら ぐだぐだ して

 

いたんだ けれど そこは

 

やっぱり B さんも 弟

 

だから 祭りの 内容 なんかは

 

ともかく こりゃあ なにか

 

たのしい ことが あるぞ

 

的な 雰囲気を 敏感に 感じ

 

取っては いたんだ ろうね、

 

その日は B さんも 朝から

 

どこかしら ちょけ気味で

 

そんな 姉弟らの 様子

 

見ながら ヨメさん までもが

 

みょうに 浮かれてて、みなの

 

気を引く ためだったのか ふと

 

Bさん、二階まで おもちゃか

 

なにかを 取りに きていて

 

当時 さすがに もう 赤ちゃん

 

サイズでは なくなって いた

 

Bさん だったけど お子ちゃま

 

用の 階段の 昇降口 ガードする

 

柵 そのものは はずして

 

たんだけど、それらを ロックする

 

金具類 だけは まだ 二階の

 

降り口 付近の 柱に わずかに

 

残ってて、家 なんて いうのは

 

たいてい こういう こまかい

 

ところで みんな ケガ

 

するんやで これも 早いとこ

 

はずしとき? って オヤジと

 

して へっぽこ さんも ヨメ

 

さんには なん度か 小言

 

いっては いたんだ けれど

 

そんな

 

 

 

まさかねえ。

 

 

 

「わかったよう、つれったろ~」

 

 

 

な~んて 長女 A さんの

 

声が 階下から 聞こえて きて、

 

生来の 照れ性 あたりから

 

きていた ものか 単なる

 

手ぐせ だったのか、小さい

 

ころから なにかしら きっかけが

 

あると みょうに 指先で

 

ものを こね回す 性癖の

 

あった Bさん、あの ときも

 

うれし 恥ずかし だったのか

 

二階の 降り口の ところで

 

なにやら もじもじ して

 

いたんだ けれど ああ、

 

こりゃあ また 輪ぁ かけて

 

おちょけ 振りが  頂点に

 

達し そうだ、祭りの 場で

 

なんか しで かしたり

 

するまえに ちょっと 調子

 

おさえて おいて やった 方が

 

いいかも しれない なあ、

 

な~んて 思って いたら

 

しばらく する間も なく

 

 

「ぎゃあ~~~~~~~~っ!」

 

 

階下 から 悲鳴。

 

 

 

バカが ねえ。

 

 

 

その 階段に つけた ままの

 

リング 状の 金具の 部分を

 

いつもの ごとく さわる

 

ともなく いじくり 回し

 

ながら もじもじ していた

 

ところへ 向けて 数日来、

 

待ち 望んで いたと おぼしき

 

Aさん からの 言葉が ふいに

 

耳に 届いた もん だから、

 

 

 

金具に 指 突っ込んだ まま

 

 

 

階段 飛び降りた

 

 

 

らしくてねえ。

 

 

 

あわてて 階下まで かけ降りて

 

みると もう 台所 大騒ぎ。

 

 

 

右手の 小指、

 

 

 

爪の 根本 部分から まともに

 

 

 

引きちぎっちゃっててさあ。

 

 

 

すんでの ところで 切れずに

 

済んで いたって いうか

 

 

 

骨 のこして 半分 ほど

 

 

 

爪もと から 先を

 

 

 

ずるん って 感じに。

 

 

 

 

こりゃ

 

 

 

 

見せられんわ……。

 

 

 

 

ダメだ 怒られる、これ

 

バレたら 祭りに つれて

 

いって もらえなく なるって

 

思っての ことか 本人

 

必死で 我慢して 声

 

出さない ように しては

 

いたよう だったけど、まわり

 

オンナっ気 ばかりでしょ?

 

 

 

もう

 

 

 

悲鳴と

 

 

 

パニック ですわ。

 

 

 

「こらあかん、病院や」

 

 

 

Aさん Bさんが 赤ちゃんの

 

ころから うちで 使ってる

 

顔拭き 用の ガーゼタオル

 

まいて ぶらぶら しないよう

 

かるく 手で 支えて

 

やりながら 救急 直行。

 

 

 

もうさあ

 

 

 

祭り どころじゃ

 

 

 

ないよねー。

 

 

 

まあ、さすがに 術後は

 

 

 

日にち 薬で

 

 

 

難なく くっついたけど。

 

 

 

こりゃあ マジで トラウマに

 

なるかも しれんな って

 

極力 本人に 傷口 見せない

 

ように 気づかい ながら

 

 

 

移送 中も 術中も まあ、

 

 

 

Bさん 相手に

 

 

 

しゃべった しゃべった。

 

 

 

まあ ねえ、だれに 似たの

 

かって いうか そこいら

 

あたりは たぶん へっぽこ

 

さん似だと 思うん だけど、

 

気が 小さくて みょうに

 

恥ずかしがり屋な くせに、

 

それでも なぜか ひとの

 

笑顔 って いうか 自分の

 

立ち居 振る舞い なんかで

 

みんなが なごんで くれる

 

瞬間が 好きで ひとり 黙って

 

なにかを してても ふいに

 

そう いった おちょけな

 

部分の 出てくる やつで

 

 

 

そうそう、

 

 

 

その 当時 へっぽこ さんが

 

よく やってた プレステの

 

ガンダム ゲームを B さんも

 

オヤジの おさがり よろしく

 

よく やって いたんだ けれど

 

擬音って いうの? ガンダムの

 

動き出す 機械 音とか ザクの

 

マシンガン 構える 音とか

 

ビーム ライフルの 射出音

 

とか 歩いて 走って する

 

モビル スーツの 足の 音まで

 

ほんと 巧みに

 

 

 

ゲーム しながら

 

 

 

よく クチコピ

 

 

 

しててねえ。

 

 

 

それと 気づく までは

 

いつも いつも ガンダム

 

しながら なに ひとりで

 

ぶつぶつ 言ってんだ こいつ、

 

ぐらいに 思って いただけ

 

だったん だけど、その

 

クチコピが あまりに 秀逸

 

すぎて、ほんと しばらくは

 

まったく だれも B

 

さんの その 意図に

 

気づか なかった ほどで。

 

 

 

ごごわああああう、とか

 

 

 

じっきゅぅぅぅぅぅうんっ

 

 

 

とかって よく

 

 

 

言っててさあ。

 

 

 

 

自分で 操縦

 

 

 

してたん だろうねえ。

 

 

 

 

すごいな おまえ、そっくりや

 

ないか、もっと やってくれ

 

聴かせて くれって ヨメ

 

さんと 再三 再四 お願い

 

してたら 最初は まんざら

 

でも なさそう だったのに

 

いつしか テレて ヘソ曲げて、

 

なに 言っても やって

 

くれなく なっちゃって。

 

 

 

そうそう、

 

 

 

それほど までに 初代

 

ガンダムが 気に 入って

 

いるなら って、ヨメ さんと

 

ふたりで いくつか 新聞紙

 

棒状に なるまで おもくそ

 

固く まるめて テープで

 

つなげ、サイズ感 だけは

 

ご立派な ビーム ライフル

 

とか ビーム サーベル なんかを

 

 

 

作って やったりも

 

 

 

したっけねえ。

 

 

当ブログ~自作ギタースタンドの記事一覧

 

 

ちっこい ころは 親の

 

自分らは もちろん 姉で

 

ある A さんにも ことある

 

ごとに べちゃべちゃ べちゃべちゃ

 

ひっついて いるのが 好きで、

 

まあ それも 個性だ ろうと

 

ほうって おいたら 中学生に

 

なっても 家族 みんなに

 

べちゃべちゃで、当時 すでに

 

高校生と なって いた A

 

さんと まだ 一緒に お風呂

 

入ったり なんかも して

 

るんで さすがに これは

 

まずいん では なか ろうかと

 

思うって ある日 ヨメ さんが

 

相談 して きたので 中二

 

だったか 中三 ごろに いち度

 

 

 

「おまえさあ、ふつうの

 

男の子は 中学 ぐらいにも

 

なったら イキって しもて

 

あんまり 家族と クチも

 

きかんように なったり

 

するんやぞ?」

 

 

 

って 言って みたら

 

 

 

「……そうなん?」

 

 

 

「思春期 とか 反抗期 いうてなあ」

 

 

 

「……へー」

 

 

 

「学校 行ったら ツレに 聞いてみ?」

 

 

 

って ちょっと 話して

 

聞かせて みたら 自分でも

 

どこか 思う ところが

 

あったのか、それ 以来

 

 

 

あんまり クチ

 

 

 

きかなく なり はじめてねえ。

 

 

 

オトコ 的な 脱皮って いうか

 

 

 

なにより もう

 

 

 

彼女が できたら

 

 

 

テキメン だったねえ。

 

 

 

その ころには へっぽこ

 

さんも 仕事で 足 やって

 

しまってて、Aさん Bさんは

 

もちろん ヨメ さんも

 

どこか へっぽこ さんの

 

言うこと まともに きかなく

 

なり はじめてて、3人で

 

平気で ウソ吐く ように

 

なっていて。

 

 

 

まあ

 

 

 

へっぽこ さん 的には

 

 

 

うちの ジジばば みたく

 

自分の 吐くウソに 逃げる

 

ような 人間に だけは

 

なるなって

 

 

 

それ だけを

 

 

 

人生 かけて

 

 

 

おしえて きた つもり

 

 

 

だったん だけど。

 

 

 

 

思えば

 

 

 

 

自分の この 足の ケガが

 

 

 

うちの ターニングポイント

 

 

 

だったなあ。

 

 

 

田舎 町じゃ ちんばの

 

身障者 あたりを まともに

 

雇って くれる ような

 

職なんか まったく なくて、

 

見かねた へっぽこ さんの

 

姉 夫婦が うちの 事務でも

 

手伝うか って、遠地の 町

 

だったけど 仕事 くれて、

 

当然 そっちに 住み込む

 

ことに なるから

 

 

 

月に 半分も

 

 

 

家に いれなく

 

 

 

なってた からさあ。

 

 

 

ほんと、

 

 

 

どの 職場でも

 

 

 

たとえ どこぞの 町に

 

出張 してても

 

 

 

必ず その日の うちに

 

 

 

家には 帰るって いう 生活

 

 

 

してたん だけどさ。

 

 

 

 

家族の なかでも 落ち目に

 

なるって いうのは 実際

 

相当 ひどい もので、

 

当人 らの 自覚は ともかく

 

それまで どうにか こうにか

 

築いて こられては いた

 

オヤジと しての 尊厳

 

なんてのも ほんと、思う

 

ように 身体 動かせ なく

 

なったら

 

 

 

いち撃 だったねえ。

 

 

 

その後 A さんは

 

 

「アレではおまえが不幸になる。それでもええんやったら、好きにせえ」

 

 

って くだんの 通り へっぽこ

 

さんの 忠告も 聞かず

 

どこぞの オトコの ところへ

 

転がり 込んで Cさん

 

ご誕生と ともに よそに

 

オンナ 作られて 泣いて

 

帰って きて、いままた

 

へっぽこ さんに 紹介

 

さえ した こともない

 

オトコと 一緒に なって

 

暮らして いるけど、やっぱり

 

バツイチ 子持ちと なると

 

ハードル 高いから、そうまで

 

言って くれるならと 再婚

 

判断 した そうで。

 

 

 

まあ それ なんかも

 

 

 

あれら からは 直接

 

 

 

話 ひとつ

 

 

 

聞いた ことも

 

 

 

ないんだ けれど。

 

 

 

で まあ、

 

 

 

B さんも

 

 

 

またぞろ ヨメさんと だけで

 

話 すすめて

 

 

 

へっぽこ さんが まだ

 

目にした ことさえ ない

 

オンナの ひとと

 

 

 

一緒に 暮らして

 

 

 

みたい とかで。

 

 

 

いっても まあ、へっぽこ

 

さんとて ガキの ころから

 

誰に 言われる までも なく

 

「長男」 って いう 重しを

 

くくり つけられて 育って

 

きたから 自分の 家族の

 

なかでは その手の 話とか

 

いち度も クチに したこと

 

なんかも なかった けれど

 

さすがに

 

 

「一緒に暮らす言うて、ありゃあ長男なんやで、ゆくゆくは家長やからどうしたって親の面倒見やんなんのやから。おれはかまんよ? この身体やからどのみちおまえらより先にとっととあっちへ行くことになるやろし。たぶんもう循環器系までアホになりはじめてるようやから、マジで明日の朝死んどるかもしれんのやしさ。やから、たぶんおれが死んでも誰かしら事後処理はしてくれるやろうけど、おまえやら向こうさんの家はどうする? 極論、そんな会うたこともない向こうさんの親らは置くとして、おまえどうする。AさんCさん、よその町やし」

 

 

 

「おまえの人生なんやからそんなもんは好きにしたらええ。ただ、母親であるおまえをジジイんときみたいに死んでから腐らせてカピさせるようなマネだけはすんな。二度と。それだけ言うとけ」

 

 

 

って

 

 

 

ヨメ さんには

 

 

 

言って おいたん だけどねえ。

 

 

 

ほら もう、

 

 

 

へっぽこ さんとは

 

 

 

まともに クチ

 

 

 

きかないからさ。

 

 

 

高校 入った ころには もう

 

 

 

へっぽこ さんを

 

 

 

露骨に 避けても いたほどで。

 

 

 

なんか

 

 

 

正論 しか 吐か ないから

 

 

 

やりこめ られて いる ようで

 

 

 

居づらいん だ って

 

 

 

うちの 姉 夫婦に むかし

 

 

 

ぽつりと こぼして

 

 

 

たんだって。

 

 

 

 

 

そらあ

 

 

 

吐くやろ。

 

 

 

 

 

数十年、トラブル だらけの

 

毎日を おまえら 全員に

 

とって いち番 ええと

 

思える 方向 めがけて

 

 

 

引っ張り つづけて

 

 

 

きてるん やから。

 

 

 

 

世の オヤジ なんてのは

 

 

案外 みなさん

 

 

そうした もの なのかも

 

 

しれんねえ。

 

 

 

 

「あの、ちょっと、行ってくるわ」

 

 

 

 

ひさびさに ふたり 切りで

 

交わした 会話は

 

 

 

そんな もので。

 

 

 

けど、

 

 

 

まったく イキっても いない

 

 

 

あのころの まんまの

 

 

 

すこし 内気な

 

 

 

Bさん でしたよ。

 

 

 

 

「えー、うん、ちょいちょい

 

顔、見せにくるで」

 

 

 

 

 

Bさん 出て いきました。

 

 

 

 

Aさんの ときと おなじく

 

 

 

 

ある日 突然。

 

 

 

 

もっとも B さんは

 

 

 

 

そう ひと声 かけて

 

 

 

 

行きました けどね。

 

 

 

 

 

親と いうのは

 

 

ましてや 父親 などと

 

 

いう ものは

 

 

 

いずれ 捨てられる だけの

 

ものと あれらの 小さい

 

ころから、それこそ、ずいぶん

 

まえから 自分 なりに 覚悟は

 

して いました けれど、

 

あっちに こっちにと 少し

 

遠出して あそびに 行ったり

 

できては いた A さんとは

 

ちがって、仕事が 込んだ 末の

 

足の ケガやらで 思う ように

 

身体 動かせ なく なったり

 

しちゃって 正直、

 

 

 

Bさん とは

 

 

 

もすこし あそんで

 

 

 

いたかったな。

 

 

 

 

 

 

いまさら だけど

 

 

 

 

願わくば。