なにしろ もう ずいぶん

 

まえの 話 なんで あんまり

 

よく おぼえても ないけど

 

田舎もんに しては やたらと

 

ヒネて イキった ガキで

 

まだ 成人式 なんてえ

 

ものが どこか おごそかで

 

由緒然と した、真に おとなの

 

世界への 仲間入りを 自他

 

ともに 認めて 祝う 純粋な

 

儀式で あった 当時、

 

たった ひとりの ツレにも

 

早逝 されて 自分の 中の

 

世界 以外、さわる どころか

 

ろくすっぽ 目に うつりも

 

していな かった ころ だから、

 

さらに 輪 かけて、その

 

ひとり 勝手な 自意識 たるや。

 

 

 

「行かへんわ」

 

 

 

ずっと 言って いましたねえ。

 

 

 

商業 高校を 半年 ほどで

 

卒業 してたから 同級生

 

って いっても、早死に

 

しちゃった あいつ 以外は

 

もう 男も 女も だれかれも

 

なく ただただ 顔 見るのも

 

おっくう だったし、第いち

 

姿 かたちを 見た ところで、

 

そいつが だれだか だったかで

 

さえ、思い 出す気も 毛頭

 

ないしで。

 

 

 

当 ブログでも ちょくちょく

 

お話は して、こちらの

 

 

386で自作ギターアンプとかピグノーズアンプの改造とか

 

 

貧相な ホームページの 末尾の

 

方でも 恥をも 隠さず そんな

 

半生記 みたいな お話

 

なんかも ご紹介 しては

 

いるんだ けれど ほんと

 

うちの 親って どちらも

 

ろくでも ない ドメスティック

 

バイオレンスな 酒乱の

 

大 ウソつきで、老齢 時には

 

どこからか 眠剤 までも

 

手に いれて、ふたりして

 

酒と 一緒に トリップ

 

していた ほどには

 

 

 

腐ってて。

 

 

 

でも まあ、壮健 当時は

 

某 有名な 某 創価学会の

 

役持ちで、そんな 見栄

 

なんかも あっての ことか

 

やたらと 記念 行事が

 

好き だったり なんかも

 

してて、成人 式の 当日が

 

近づいて くると いままでに

 

まったく 聞いた ことも

 

なかった ような みょうな

 

猫なで声 なんかを 出して

 

 

 

「出たら」

 

 

 

「記念やのに」

 

 

 

な~んて 声かけて くること

 

おびただ しくて。

 

 

 

「服もない。クツもない。そんなもんに出すようなカネも時間もないし、行く気もない」

 

 

 

まあ、ずっと そう 言って

 

いたんだ けれど ふと 当日

 

間際に なって やたらと

 

相好 くずしまくった 顔した

 

オヤジが

 

 

 

「装束全部、好きなの買うたるから、成人式、出よい」

 

 

 

なんて 言ってきて。

 

 

 

ほんとに もう 当時の 記憶も

 

薄れて しまって いるんだ

 

けれど、当時 まだ 家業の

 

魚屋 やって いたころ

 

だったと したら 給料

 

ひと月 2万円 とかで

 

日の出 まえから 日付けが

 

かわるまで 文字 どおり、

 

血みどろ 汗 みどろに

 

なって 働い てたんで

 

そんな さもしい 親が

 

カネに 糸目も 一切

 

つけずに 背広 一式

 

買って やるって 言ってん

 

だから、それ もう

 

 

 

給料の

 

 

 

うちでしょ?

 

 

 

 

 

買わせにゃ

 

 

 

損じゃんね。

 

 

 

 

 

なんで、買うだけ 買わせて

 

ばっくれ ようか とも

 

当時は 思って いたんだ

 

けれど いざ 自分で

 

えらんだ 装束 一式

 

手もとに くると 不思議な

 

もので それ着て だれかに

 

見て もらいたい かなって

 

気も 起こってねえ。

 

 

 

ワイシャツは 白の ピンホール。

 

 

 

スーツは 編み込み 生地の

 

うす茶色から 黒色 までの

 

こまかい グラデーションが

 

入って いるかの ように 見える、

 

一見 すると ハレの日 用と

 

するには すこし 地味目

 

っぽい 気も するけど、

 

秋冬 的に シックな 色目で

 

そもそも テレビ なんかでも

 

着ている ような 連中を

 

まったく 見ない ようなやつ。

 

 

 

ネクタイ だけは、当時から

 

お気に 入りだった 極細で

 

黒 ベースの ちょっと

 

柄や 模様の 入って

 

いるやつで、足には 生まれて

 

はじめて 履く 革靴。

 

 

 

もちろん 各 お店で 値札も

 

見ずに 「あれ」 「これ」 と

 

その場で 目に 止まった

 

やつを 指さし していた

 

だけ だから マッジで

 

金額 なんて 気にも しちゃ

 

いなかったけど、さすがに

 

クツ屋で その 革靴 買った

 

ときだけは、オヤジも ババアも

 

顔 引きつってて、ひと目を

 

さけて 店の 片すみで

 

ごしょごしょ ひそひそ

 

やって いたから、ふたりに

 

とって、これは えっらく

 

高価な クツなん だろうな

 

って、いまでも ほのかに

 

その 情景を 思い出す

 

ほどには さすがに 気が ついて。

 

 

 

こんな ド田舎 では

 

ある けれど、なにしろ

 

地元 いち番の シャレもん

 

気取って いた ほどだもの、

 

メーカー 名とかの こまかい

 

ことまで なんかは 知らない

 

けれど、とびきり オシャレで

 

とびきり いいもの えらぶ

 

目だけは ないわけ なくてさ。

 

 

 

あのクツ、

 

 

 

あのとき ローンで

 

 

 

買ったの かなあ、

 

 

 

あの ふたり。

 

 

 

なにしろ まだ カード

 

なんてえ ものも なかった

 

時代 だったし、月割りって

 

なると、お店の 机で 手書きで

 

申請 切って いたからね。

 

 

 

はじめて 見たよ。

 

 

 

ひとが ほんとに

 

 

 

顔に 冷や汗

 

 

 

たらして いる表情。

 

 

 

 

 

笑みは 浮かべて いた けれど

 

 

 

オヤジ、

 

 

 

あのとき あれ あまりに 高いんで

 

 

 

あせって たんだろなあ。

 

 

 

 

オヤジは 戦災の ててなし児で

 

 

 

 

ババアは 4人 兄弟の

 

長女に して 末っ子

 

だったから たぶん それほど

 

世間 なんてえ ものも

 

知らずに 育って きて

 

いたんだ ろうと 思うん

 

だけど、オヤジは 男

 

ばっかの 3人 兄弟の

 

いち番 上で へっぽこ

 

さんから みる じいちゃん、

 

父親を 戦争に 取られ

 

ちゃったから、自分が この

 

家の 父親に ならなきゃ

 

いけない、自分が 弟 ふたりを

 

守って いかなきゃ ならないん

 

だって、ガキの ころから

 

それとは 知らずに、そんな

 

気持ち なんかを 抱えて

 

いままで 生きて きて

 

しまって いた もんだから

 

 

 

もうさ、

 

 

 

チンピラ。

 

 

 

ハッタリ だろうと 虚勢だ

 

ろうと 酒 飲んで イキり

 

散らして 見栄張り つづける

 

こと だけが 生きる 道って

 

人生 だったから はたから

 

見てても

 

 

 

みっとも ないやら

 

 

 

悲しい やらで。

 

 

 

そんな 弟 兄弟 ふたりも

 

なんの 因果か、うちの

 

オヤジ より先に 酒で

 

死んでねえ。

 

 

 

ひとりは 飲んだ 帰りに

 

ひき逃げ されて 文字 どおり

 

あっけなく。

 

 

 

もう ひとりの オジキは

 

ヨメ 子に 逃げられ 金策

 

つきて 酒に おぼれ

 

まくって いた揚げ句、

 

泥酔 した 夜の 街で

 

殺せ、殺してくれ って

 

クダ まいてて、その

 

言葉の とおり、路上で

 

だれかに つき飛ば されて、

 

縁石か なんかで アタマ

 

打って いち撃で。

 

 

 

こちらも

 

 

 

田舎の 町の 夜の ことだから

 

相手も わからず 朝方 には

 

凍えて 死んで いた とかで。

 

 

 

かくいう へっぽこ さんも

 

ある日を 境に 下血が

 

止まら なくなって、気づけば

 

四六時中 貧血 状態で

 

ヘロヘロに なり 出したり、

 

すい炎 こじらせて 職場の

 

フロアに 突っ伏して ひとり

 

もがき 苦しんだりと 思うこと

 

なんかも たくさん あって、

 

縁 あって 病院で 検査

 

して もらったら 超巨大

 

ポリープが 結腸 あたりに

 

出来て いて、その ポリープ

 

除去の 手術が 麻酔なし

 

だったから マッジで 気が遠く

 

なるほど 苦しくて、検査だ

 

なんだで この先 なん度も

 

なん度も こんな 目にあう

 

ぐらいなら もう 酒も

 

タバコも やめてやる! って、

 

これで もう やめよう

 

やめようって いく度と

 

なく 思い ながらも 数十年が

 

ところは つづけて きて

 

しまった けれど そのとき

 

はじめて、心の 底から

 

クリーンな 身体に もどる

 

決心 ついたん だよね。

 

 

 

柴田 恭兵に あこがれて

 

 

 

ガキの ころから オヤジの

 

タバコ くすねたり、働き

 

だして 曲がり なりにも

 

カネが 手に 入る ようにも

 

なれば、酒にも 手ぇ 出して

 

イキって 寝起きから 酒瓶

 

ラッパ飲みで 毎朝 職場

 

出てったり。

 

 

 

しかも

 

 

 

根がバカ だから 呑みの席

 

なんかに 行くともう、

 

 

「水や氷で割って、酒の味なんぞわかるけえ!」

 

 

なんて 言ってねえ。

 

 

 

しかも

 

 

 

フォアロゼ とか カティサークとか

 

 

 

すこし 聞きかじった バーボン

 

系とか スコッチ系 なんかを

 

転職 先の 下駄箱 とかにも

 

隠し 入れては、ほとんど

 

四六時中、ぐびり ぐびりと

 

やって いて。

 

 

 

もちろん 深酒 すると

 

 

 

オヤジに 負けず 酔い方

 

なんかも 悪く なってて、

 

気づけば だれかと 殴り

 

合って いたりも しててさあ。

 

 

 

あれ?

 

 

 

なんでおれ、

 

 

 

こいつと チョケてんだ?

 

 

 

みたいなね。

 

 

 

ほんと、酒って 財界 なんかとの

 

癒着も あるから 世界 的にも

 

それほど おおっぴらに

 

指弾 されては いないけど

 

 

 

あれって いち番 手近な

 

 

 

ドラッグ なんだよね。

 

 

 

 

まあ 正確に いえば

 

 

 

タバコも そう なんだけど。

 

 

 

 

酒は たぶん 10代なかば

 

ぐらいから、タバコは もう

 

それこそ 中1の ころには

 

しっかり 肺で 吸って

 

いたからさあ。

 

 

 

たぶん うちって

 

 

 

家系 的に 苦もなく

 

飲めるし 吸える 血統

 

だったん だろうね。

 

 

 

まったく、

 

 

 

国策 ぶって あれだけ

 

酒 タバコを 推奨 しといて、

 

実態と いえば みんなの

 

身体 こわして 家庭

 

こわして、ほんと、いざ

 

やめて クリーンな 生活

 

して みると、いままで

 

呑んで 吸わせて きた分の

 

税金 全額 返せよ このやろー

 

って 思うよねー。

 

 

 

どうやら 今年の 成人 式も

 

浮かれた 子らが イベント

 

がわりに 呑んで はしゃいで

 

していた らしいん だけど

 

そもそも 成人 式自体、

 

むかしの 元服式 なんかの

 

なごりだ ろうから 実際は、

 

きょうを さかいに いつ

 

だれに 殺されても 文句を

 

言わない だけの 覚悟と

 

心得を 持つよう にっていう、

 

ある意味 こども から

 

おとなへ、近所 から 世間へと

 

居場所や 立場を かえる

 

ための 戒めの 儀式で あった

 

はずだから、祝賀と いうより

 

当人 たちと その 周囲への、

 

自覚を うながす ための日で

 

あるもの なんだよね。

 

 

 

まあ たしかに、

 

 

 

いまの 日本って

 

 

 

ある意味 どこか 粗野な

 

戦国 時代に

 

 

 

もどって いるけどさ。

 

 

 

 

きみは 無事、

 

 

 

老衰で 死ねるか

 

 

 

みたいなね。

 

 

 

 

 

うちの 長男 B さんが

 

成人 しました。

 

 

 

 

 

あっちへ いくとき、みなに

 

報告 しなくちゃ ならない

 

ことが また 増えた 思いです。

 

 

 

 

ま、

 

 

 

 

ことほぎ時の ことでも あるから

 

忌み言葉 なんかは ここまでに して

 

 

 

 

 

まっとうな すべての 母親たちに

 

 

 

 

最大限の 感謝を。