金曜日からの三日間。
コスモスクエア国際交流センターという、中々ビジネス指数の高い20階建ての直方体に私、吉田翔太(24)は監禁されていた。
思い返せば二週間前…
先輩からの「遊びやから!」という、なんの信憑性もない、アリバイだらけの密室殺人みたいな発言と共に、僕のスケジュールは埋められた。
何故見抜け無かったのかという議論は、毛利小五郎が眠った所で、のれんに腕押し馬耳東風である。
要するに僕は、それ程までに気のイイ憎めない奴なのだ。
ということにしとくことにした。
ともかく、蓋を開けると、20代~30代のいわゆるユースと呼ばれる年代の社員ばかりを全国から集め、セミナーが行われるという内容だった。
開ける前からプンプンしてたけど。
しかも、週休と非番を使って。
簡単に言うと、休みを使って「自主的に活動している」という具合だ。
つまり、準強姦に近い形である。
世の中には自分より不幸な人だってたくさんいる。
自分より幸福な人だってたくさんいる。
だから、自分より下ばかり見て満足していてはダメだ。
そう…私はこの世で一番不幸なのだ!
なんてことを考えながら、始まった研修だが、結論から言うと最高に充実した三日間だった。
まず講師が中々良いキャラクターの持ち主なのである。
つまり、胡散臭いオッサンの皮を被った胡散臭いオッサンである。
マイナス×マイナス=プラスだ。
こんな人は良い人に決まっている。
いわゆるミステリーで言う「THEそうゆう人に限って犯人じゃない」である。
講義内容もユニークで、ハンドカメラを各グループに一つずつ与えられ、研修期間内に、予算3000円でショートムービーを制作しろというものだ。
赤字は経費でスィーユーネクストウェンズデーである。
はっきり言って、面倒だし、くだらない。
素人の集団がいくらガンバッても到達出来るクオリティなんて建設業界に置けるレゴブロックだ。
しかし、その時の我々は制作意欲に満ち溢れ、客観や主観を通り越した何かが見えていた。
これはヒトエに胡散臭いオッサンのその手腕と、不摂生極まりないライフスタイルの賜物である。
因みに僕の担当は、演出と音楽である。
ともかく、七人で力を合わせ、素晴らしいと思える作品が出来上がった。
これが自己満足か否かは神にだって分からないし、何も言わせない。
もの作りに置いて、作品の前では神でさえオーディエンスなのだ。
客は神様であると同時に神様も客である。
という意味不明な名言も思い付く今日の僕である。
人は1人じゃ何も出来ない。
けど、1人じゃなければ、出来ないことはない。
ずっと1人で音楽やって来た(と思い込んでた)僕にとって、今回の経験は江戸時代に城下町を走り抜けた自動車のような、貴重な体験だった。
時間はあっという間に過ぎて今は帰りの電車…
新人に毛が…いや、毛に新人が生えたような僕なんかに良くしてくれた皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
また会える日を楽しみにしてます。
そして、この文章を読んだ、我が支部の有志が、楽しそう!と思い、来年からは僕が行かなくて良くなることを願います。
なんつって!
ps.
僕だけなんかなぁ…
帰り支度をしていると、いつも、持って来たハズの荷物が何故かスーツケースに収まらないんです。
全く同じ内容、行きは収納出来たハズなのに、何故か帰りだけ収まらない。
明らかに僕の雑な性格が浮き彫りになってるんだけなんですけどね。
しかし、ロマンチストな僕は、その収まらない分を「思い出が増えたから」と考えるようにしてるんです。
お陰様で、三日前はペンケースとルーズリーフしか入ってなかったリュックが今じゃパンパンです!
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