非自律法の概念
キューイング技術
ペアでの実践
フェイズ誘導テクノロジー
催眠と暗示
生理的信号

つづき(概略)

 

コーヒー法


 フェイズに入るために摂取されるすべての物質のうち、すぐに手に入るのはコーヒーだけだ。しかしコーヒーは、あまりにも寝落ちがひどい者だけが取るべきものだろう。他の人たちにとっては、実践はなるべく自然でなくてはならないので飲む意味はない。

 このやり方のエッセンスは、コーヒーを飲むとともに遅延法を行うことだ。例えば実践者は6時間眠ってから起き、コーヒーを飲む。そして間接法を実行するための次の目覚めを捕えるという意図、または夢で自覚を取り戻すという期待とともに、再び睡眠に戻る。

 実践者はコーヒーのもつ興奮作用のおかげで、以降の目覚めの間中、より高い自覚の状態にいることができる。また目覚め自体もさらに頻繁に起こるようになり、夢見のときに意識的になる見込みも高くなる


 摂取するコーヒーの適切な量については個人差が大きく、それぞれ
自分に合った分量を見極めないといけない。一部の人は、コーヒーの代わりに紅茶を飲むときに同等のレベルの成功を享受している。

緑茶カフェインによる興奮効果とテアニンによるリラックス効果の両方を持っている。したがってコーヒーとはまた一味違った効果が期待できるだろう。一般にテアニンは、煎茶よりも玉露や抹茶のほうに多く含まれるとされている。分かりやすく言うとカフェインはお茶に感じる苦みで、テアニンは甘みやうまみだ。渋みはタンニンであまり関係がない。

刺激飲料の効果を利用する場合には、日ごろはあまりそのタイプの飲料を取りすぎないようにすることが重要と思われる。)

 


化学物質

 

 いにしえより、フェイズに入るための方法論の進歩の歴史は、古代の植物やキノコから始まる、補助食品の使用と直結している。特定のハーブやキノコ、サボテンの使用は、孤立した文化ではまだ続けられている。:シベリアのシャーマン、北アメリカの先住民。

 変性意識状態を求める渇望の中で、これらの化学補助食品は各地の先進国に広まった。しかしこれらの化学物質の激増により、現代におけるフェイズ実践の進歩において
著しい退廃が起きた。ハーブや植物を含む、これら様々な化学的混合物の名称や記述については、このテキストへ編入する価値はない。それらは数カ国において正式に違法薬物であると定められている。いくつかの(特殊な)薬局ではまだ入手可能だが、いずれも危険であることに変わりはない。


 補助剤の使用に関する主な問題が
2つある。第一に、発展ではなく破滅へいたるやり方であること。薬物乱用と自己啓発は真逆の道であり、決して互換性を持たない。つまらないスリルの後には、薬物依存と健康問題が続くことになる。第二に、使用者はそのような薬物の影響を受けてフェイズを体験できるかもしれないが、フェイズの質は(通常とは)完全に異なっているということ。それらはフェイズの安定性と深度のみならず、使用者の意識と自覚にも影響を及ぼす。物質の使用と精神的なプロセスの結果として生じる変化は、自己認識に対して否定的な衝撃を与える。

 フェイズには、体外離脱の完全な感覚と、意識的な自覚の2つが備わっていなければならない。
これらのうち1つでも欠けているならば定義上、経験される状態はフェイズではないということになる。これら化学的に「強化された」体験の記述では、誰もが完全にコントロールを欠落しているという特質がよく見られる。どんな種類の化学物質またはハーブであっても、フェイズに入るために使用することは避ける。これらはフェイズ経験、健康状態、精神状態など、いろいろなものを即座に破壊して不可能にする。

 

(酒やタバコもそうした薬物の一種。体脱前にとることは避けたほうがよいと思われる。体験の質に影響する。ナツメグのかけすぎにも注意。自然なサプリメントの中には、体脱に有利な体作りに役立つものもあるかもしれない。例えば亜鉛サプリとか。エビオスはバランスがよい。)

 




フェイズ入場の非自立的方法の未来

 

 現在は確実な手段となるものはないが、未来はそれらの技術開発のために大きく開かれている。効果的なテクノロジーの開発によって、フェイズは一部の人にとっての独占的な領域であることを止め、広く一般に実践されるものとなるだろう。それによってのみ現象の神秘的な性質にまつわる固定観念と偏見は払いのけられ、またそれによってのみ、然るべき研究者からの然るべき注意を得ることだろう。そして「フェイズの科学」が始まる。

 フェイズ入場を引き起こす外部的な応用方法が発見されるとき、人間の経験は完全に変わる。映画を見る代わりに、それに参加することができる。家から出ることなく、商品を吟味できるようになる。特殊な世界への旅行プランが実現する。コンピュータゲームは、完全感覚的になる。最終的なステップは、ネットとフェイズとの総体的な融合だ。「マトリックス」の世界が開けてくることになる。

以上の展望は、フェイズ入場技術によって生み出されてくる可能性のうちの、ほんの一部にすぎない。未来への第一歩は、現在利用可能な技術の完全で、実際的で、正確な実行だ。

 


(著者はどうやら『甲殻機動隊』の世界と同じような、「超物質的な」未来観を抱いているらしい。わたしはどちらかというと意識的な進化のほうが好みだ。ちなみにコンピュータ上の仮想現実空間は「スマル」と呼ばれるものに対応する。さらなる下次元に開いた「淵」―――虚無のことだ。)

つづき(概略)

 

催眠と暗示

 

催眠によってフェイズに入るやり方は、ほとんど研究されていない方法だ。この方法の基にある考えは、催眠術師が暗示や断言によって人をフェイズに入らせることができる、というものだ。特に暗示の力の影響を強く受ける人にとって、催眠(により体脱する方法)は興味深い着想であることに疑いはない。しかしそのような人たちは、人口のわずか1%を占めるにすぎない

 人間の知覚というもののもつ特性のため、催眠がフェイズ入場の仲介手段になるチャンスは無に等しい。なので、催眠(による体脱の)技術が有名になるというのはなさそうだ。また、一流の催眠術師が、暗示によって簡単に対象者を直接フェイズに入るよう導くことができる、というのもありそうにない。しかしながら、催眠暗示によって夢の意識の頻度増加や動かない目覚め(そして間接法の実行を忘れない)を促進することは完全に可能である。

くり返しなるが、実際のフェイズ入場は実践者自身の努力に依存していて、この方法はそれを促進するものでしかない。

 

(うろ覚えだが、けっこう前に確か韓国の催眠術師が被験者を暗示で体脱させた事例があったような。

 誘導瞑想による方法も基本的にこれと同じだが、最初に深化させる段階が不十分な場合、得られる効果は催眠法よりもさらに低い。ほとんどの場合、夢想的であいまいな実感しか得られない。

 

 体脱状態を引き起こすカギとなるスクリプトの形式について考えると、直接的に離脱に誘導するやり方と、間接的に離脱に促すようなやり方があると思う。これもうろ覚えだが、ダブルバインド的な指示によって幻の感覚が発生する場合があるらしい。例えば「あなたの手は絶対に動かない」というのと「あなたは手を動かさずにはいられない」という両方の指示によってまれに手の動く幻覚が生じる。しかし以前に一度このやり方を自己催眠で応用してみたが、変なストレスで気持ちが悪くなるだけだった。)

 



生理的信号


 実践を補うための最も単純な方法は、意識的な目覚めと続く間接法の実行を促すリマインダー(思い出させるもの)を確立することだ。これは目を覆い隠すか、腕や脚に紐をきつく結ぶ(うっけつに注意)ことなどによって達成されうる。このアイデアは、実践者が目覚めたときにリマインダーがすぐに感じられ、間接法の実行を促すというものだ。マインドマシンはこれと同じ原則によって動く。

 リマインダーのより洗練された例は、まどろむときに体の特定の部位に麻痺感を起こすような体勢をとることだ。実践者は目覚めのときにその肉体の麻痺を、間接法実行の合図としてとらえる。この方法の2つめの利点は、麻痺した部位を使って簡単に幻揺動が実行できる可能性があるという点だ。仰向けになって腕(または掌)の上に頭を乗せる、または直に腕の上に横たわって寝入ることが効果的な例だ。このような姿勢が循環を妨げ麻痺感を引き起こし、目覚めを促す。当然、過度の麻痺は避けなければならない。

 夢見のときに自覚や意識的な目覚めを誘発するために、生理的欲求を用いる多様な実験には人気がある。例えば実践者はフェイズに入ろうとする日に水をとらないでいると、夢見のときに激しい渇きの効果で、夢状態に切り替わっていると伝達されるかもしれない。また喉の渇きは度重なる目覚めが引き起こし、そのつど間接法が実行されることになる。体から水分を奪う別のやり方は、実践の前にたくさんの塩分を含む食品をとる方法だ。逆に、あらかじめたくさん水を飲んでおくという方法もあり、自然な目覚めを引き起こす。これにより明晰夢になるという結果が知られている。

 もうひとつの有名な方法は、直接法を補助するものだ。これは寝入るときに肘から前腕を立て続けておくやり方で、実践者が寝入って体がシャットダウンされたときに前腕は落ちる。腕の落ちる感覚が、直接法を試みうる意識の空白を知らせるものとなる。これは最初の試みで成功しなくても、再び寝入るときに前腕を立てることでくり返し実行できる。この方法はいくらか役に立つが、最初の試みではまれだ。

 これも他の非自律法と同様に、万能薬として期待してはならず、生理的信号によるフェイズ入場は日常的に行うべきではない。もっと楽しくて、自然の意思の力と健康的な
欲求だけを必要とする、自律的な技術がある。

 


コーヒー法

つづく

つづき(概略)

二人での実践

 

 ペアでの作業は、二番目に効果的な方法と考えられる。ペアのうちの一人は実践し、もう一人がその補助の役割をする。実践者がフェイズに入ろうとしている間に、補助者(ヘルパー)はさまざまなサポートを彼に対して行う。例えば、実践者がベッドに横になっているときにヘルパーは近くにいて、眠るのを待つ。眠りが起こったら、ヘルパーは実践者の目を観察し、レム睡眠のサインである急速眼球運動が起きないか見る。もしそれが起きたら、実践者にささやきかけ、彼が経験しているすべては夢であるということを伝える。ヘルパーはささやき声の大きさを変えたり、シグナルを強めるため触れてみたりできる。またはライトで実践者の瞼に光をあてたりすることも効果的だ。実践者は起きることなくそのシグナルを見分け、意識的な自覚の状態をすばやい環状の目の動きを実行することで(ヘルパーに)示すよう努める。そのようなしるしがなければ、ヘルパーは実践者に対する呼びかけを、最終的には目を覚ますまで続ける。もし実践者が夢に留まることができない場合には、間接法を実行する。目覚めのときには動かずに、すぐさま間接法を始めること。価値のある数秒間を無駄に費やしてはならない。技術を実行した後でもフェイズ入場が起こらなければ次の試みにかけ、意図を持ってまた寝入る。一般に、そのような試みを数回行うことにより十分な結果が得られる。ペアでの実践は昼寝の直前、または早朝の遅延法の後での実行で最も効果が高い。




フェイズ誘導のテクノロジー

 

 迅速かつ容易にフェイズへ入らせる装置を作りたいという大望は、その役割を成し遂げると主張する多彩なテクノロジーを出現させた。すでに述べられたように、それらのものすべては、効果的であることが証明されていない。それらのうちで最も有名なのが、左右の脳半球を同期させると主張する、Hemi-Syncシステムだ。ヘミシンクはロバート・モンローと、アメリカの秘教的な専門家や研究者らによって開発された。ヘミシンクの基本的な考えは、体外離脱感覚は脳の両半球の同期(シンクロナイゼーション)によって誘発されるとすることだ。しかしこの種のアプローチは、脳両半球の同期が感覚性の知覚に影響するという科学的、または疑似科学的な証拠を欠くことで、パラドックスを生じる。実際には、大脳皮質とその構成素が感覚性の知覚を主に司っている。20世紀の初め(終わりの間違い?)に、大脳皮質で抑制と活性のレベルを変えることで、感覚プロセスでの鍵となる役割が果たされることが明らかにされた。(脳半球の)同期の方法は、大脳皮質の活動に影響を与えない。さまざまな周波数の使用によって、脳内で特定のレベルの電気的活動を誘導するという考えは、不可能であると思われる。したがって、肉体からの離脱のために使用される音声やノイズは、そのプロセスに直接影響を与えることはなく、単にキューイング(合図、暗示、きっかけを送る)のサインとして用いられるだけである。もしそれが多少なりとも働くならば、それらのシステムが長い間使われた後でだけだろう。しかもほんの1回か2回だけかもしれない。通常は、ぜんぜん全く上手くいかない。しかしながらヘミシンクシステムは睡眠を防止して覚醒に誘導することで実践者が意識の浮動状態に達するのに役立ち、直接フェイズに入るための「肥沃な土台」を提供する
 音によって様々なフェイズ状態へと誘導するというアイデアは、広く注目されている。その結果、たくさんの他のプログラムやテクノロジーが出てきている。例えばブレイン・ウェーブ・ジェネレーター(
BWG)。これによって各々の実践者が多数の広範な音や周波数、伝達のいろいろな方法で実験することができる。影響は同じで、睡眠中のキューイング、または移行状態の管理である。

 以上のように、機器を使い似たような音を聞くこと、または音楽を聴くこととの間に目立つ違いは無い。上述の音響技術には顕著な成果が伴わなかったので、新しい技術の探求は妨げなく続いている。脳とその構成要素に対して非侵入性の影響を及ぼす方法についてのアイデアの数は増加している。例えば、フェイズ経験が左の角回を電磁気的に刺激することにより誘導されるかもしれないとする理論がある。しかしこれも他の非自律法と同じく、理論上のものでしかない。
現在では、一貫し集中した自力での実行だけが最も単純であり、フェイズに入るための手段を保証するものである。

 

 


(著者はヘミシンクなどのバイノーラルビート系の音響技術には有効性が全くない(あったとしても音楽等と同じ程度)としているが、自分は、多かれ少なかれ効果はあると思う。確かに脳科学的には脳の両半球の同調が知覚を変化させるという根拠はないが、効果がないと決め付ける理由もない。脳については分かっていないことが殆どなのだから。

 聴覚を司るプロセスについては視覚ほどには詳しく解明されていないし、そもそも、ニューロン群の発火パターンからどうやってクオリアなどの生き生きした主観的経験が生み出されてくるのか、というもっとも根本的な問題は解決されていない。解決される見込みすら、今のところない(心脳問題のハードプロブレム)。

 ヘミシンクの有効性についていうと、いくつかの特定周波数の「物質的な音」によって生じる「非物質的なうなりの内的な感覚によって、非物質的な知覚に誘導されるのではないかと思う。例えば

 

右耳から 「ブーーーーーー」

左耳から 「ヴィーーーーー」

という「物質界からの」音声入力があるとき

内的に  「ヴォンヴォンヴォンヴォン」

という「物質界からの音ではない音」が発生する。このうなりの音が効果的だと思われる。

 

あと、音には必ず何らかの内的なイメージが伴うということも忘れてはならない。

 

ごく単純に言って、音楽が変容したときには多かれ少なかれ必ず、気分の変容が起こるものだ。このしくみと基本的に同じである。

例えば、「ゴゴゴゴゴ」という環境音と「キィーーン」という環境音とでは無意識的にイメージされる環境も微妙に変わってくる。そして、
特定の環境音が「続いている」とき、特定の環境が「イメージされ続ける」ことになる。

 

だからフォーカスレベルというのは、「持続的に」特定の環境(意識次元)へ心を集中させるためのツールと見なすことができる。

 

(ただし一般に言われている「だれでもヘミシンクを聞くだけで幽体離脱ができる」というのは明らかに間違っている。知覚や意識の「拡大」とそのコントロールのための音響技術であって、肉体の感覚からの完全な「離脱」を促す要素は、音響技術自体には無いと思う。まあビジネスだからある程度のことは仕方がないのだろうけど、嘘をつくのは良くない)

 


 体脱現象に関して、などの客観的な側面から現象について説明(解釈)して理解しようとするのではなく、現象そのものから現象について理解しようとする態度が有効だと思う。つまり、現象学的なアプローチだ。)



催眠と暗示
つづく