発達障害がある息子たっくん、最近のこだわりは「蝉」です。
保育所に行く前、帰る前、必ず「蝉とりたい!!」といって暴れます。
ただの子供が「蝉とりたい」ということとは違います。
たっくんの強い「こだわり」なので、激しいです。
保育所の門のところの桜の木で毎朝蝉がものすごい声で鳴きます。
たっくんはその蝉をとらないと気がすまないのです。

気持ちの切り替えが特に難しい障害です。
一度こだわると、なかなか次の行動に移せません。
でも朝仕事が早いので、なんとか保育所の部屋につれて入らなければなりません。

妹のゆいたんも「こだわり」が強く(ゆいたんはさすがに蝉ではないけど)毎朝ひっくり返って暴れる始末、私は毎朝ピリピリしていました。

共通のこだわりは「一番になること」共通なだけに、毎日大喧嘩です。

そんなこんなで朝から私はぐったり疲れます。
仕事もまだ1ヶ月足らず、慣れない分、ストレスもたまります。
でも子供たちを保育所に連れて行くことのほうが、なにより大変で疲れるのです。
私の仕事のせいで早く連れて行かなければならないのはこちらの勝手なので、子供たちにはつらい思いをさせていると思っています。
でもあまりにも激しいわが子たちに、キレまくりの自分。
こんな自分が情けなく、自分なんかいないほうがいいのではと思ったりもしました。

自分の仕事とともに悩んでいた子育て。
子供たちのことは本当にかわいいし、大好き。でも、毎日2人同時に暴れられると、私もどうしていいのかわからなくなるのです。

7月の終わりにあった保育所の夏祭り。
たっくんは年長なので最後の夏祭り。オープニングで踊りを披露して初めておみこしをかつぐはずでした。
ところが、蝉が鳴き始めるとそれどころではなく、また「蝉とり」のスイッチが入ってしまいました。
暴れるたっくん。なんとかはっぴに着替えさせたけど、すぐ蝉の木のところに行ってしまい、なかなか離れませんでした。
先生方の協力によりやっとのことでオープニングの踊りの場所まで連れて行きましたが、全く踊らず、最後には「蝉がいい~!!わぁ~!!」と叫びながらひっくり返って暴れだしました。
おみこしも結局かつげず、先生に抱きついて引きずられるように歩いていきました。

涙が出ました。悲しくて。
パパもショックだったらしく、逆にイライラしていました。

聞きたくなくても聞こえてしまう周りの声。
大声で泣き叫ぶたっくん。
そしてそばには髪型が気に入らないと怒ってひっくり返って暴れるゆいたん。

途中でパパは怒ってどこかにいってしまいました。
暴れる2人の相手をしているうちに時間は過ぎ、出店の当番になっていたのに遅れてしまいました。

当然他のママたちはピリピリしていました。
遅れた私が悪いのですが、つらかったです。

散々な夏祭り。
途中で帰りました。
保育所の門を出て、涙が出ました。
子供たちが「どうしたの?」と聞くので「ママ、今日悲しかったの。」といいました。
すると、子供たちは「ママ、ごめんなさい」というのです。
2人とも暴れて泣き叫んでパニックになっていたのに、自分たちがママを困らせたことをなんとなくわかっているようでした。

こうしてたっくんの保育所最後の夏祭りは終わりました。
でもたっくんにとっては「最後」なんて関係ないんだよね。
私とパパが勝手にそう思っているだけということに気がつきました。

蝉の季節が過ぎるまで、このたっくんの「こだわり」は続くでしょう。
でも、それも一時のこと。
その一時が苦しいけど、必ず過ぎることがわかっています。

「待ってみよう」と思いました。

そうこうしているうちに仕事が午後からになりました。
もう「早くして!」と子供たちを急かさなくていいです。

時が過ぎれば状況も変わります。子供たちも成長するし、私も変わります。

障害がある子の子育ては本当に大変です。しかも私自身もかなり不器用なので、ますます大変です。
でもこんな私でも、「待つこと」の大切さを知って少し変わってきました。
必ず時は過ぎる。
苦しみから解放される瞬間は、時が過ぎると共に必ずやってくると信じて。