2005年の秋はあたしにとって、大事な思い出ができました。

忘れっぽいあたしは、忘れちゃわないうちに

2005年9月12日からさかのぼって記録しとこうと思います。


よろしくどうぞ

今行ってるクライアントはアメリカに本社があるパチスロ会社って事で、自由な社風の会社だ。会社で働いている人の服装はだいたいジーンズだし、経理部長はとってもおもしろくてあたしたちの監査室によく遊びに来ては冗談をいっている。経理部長はKさんと意気投合したらしく、監査が始まってまだ三日目だというのに、今日飲みに行きましょうって言い始めた。

あたしは会社の人と行く飲み会は、大好きなので迷わず行く事にしている。飲み会って仕事上での仮面をぬいだ、人間らしい面をみられるから楽しい。特に日本人ってシャイな人が多いから、お酒が入らないと本音でしゃべってくれない人も多いし。Mさんはもうすぐ会計士3次試験を控えてて、勉強しないといけないってことで、Kさんの必死の説得にもかかわらず仕事が終わるとかえってしまった。残念だけど、まああたしもおんなじ立場だったら帰って勉強してるだろうから、しょうがないか。


今日は経理部長のおすすめで、新宿三丁目の新宿ホルモンに行くらしい。あたしは新宿三丁目の独特のディープな雰囲気もホルモンも大好きだから、大賛成だった。仕事が終わってから、Kさんと、経理部長と、経理部のTさんとあたしの4人で待ち合わせて、目的地にむかった。地下鉄の中では、経理部長に彼氏がいるかどうか聞かれた。いないって言うと、いい人を紹介してくれるって言ってくれた。あたしに丁度いい人がいるらしい。まじっすかーと、話をしてる横で、TさんとKさんが年齢の話をし始めた。実をいうと、あたしは主任のKさんの年齢を知らない。若く見えるけど、仕事もできるし、厳しいところもあるし、あたしより上かな、って思っていた。

あたしは28歳だけど、あまり落ち着いた雰囲気もないので23~25くらいに見えるらしい。Tさんともさっき歳の話してたら、驚かれた。さらに、会計士っぽくも見えないらしく、服屋の店員とかに見えるって言われた。あたしは会計の本よりも、ファッション誌を読むほうが好きだから、ちょっとうれしかった。電卓もデコ電みたいにキラキラさせてるしね。


Tさんは長い足でさらりとジーンズをはきこなす、身長170センチ超のモデル風美人である。そのくせ、自分にあまり自信がないらしく、合コンでもあけっぴろげにいかに自分がダメかってテーマでしゃべってばかりいるので、ウケはするけどモテないらしい。もっと堂々としてれば彼氏の2~3人、すぐできると思うんだけど。

そのTさんがKさんに歳を聞き始めた。あたしの上司はあたしより年上であってほしい!って心の中で願ったけど、残念ながらKさんは27歳ってことで一つ年下だった。あたしがチームで一番ペーペーなのに、主任より年上ってちょっと居心地悪い。

当然その後あたしの歳の話になり、あたしが答える間もなくTさんはKさんに耳打ちして、あたしの歳をばらしてた。Kさんなぜか涙目でこっちを見て「本当に28歳なんですか」って聞くから、「うん」って答えたら、「へえ~、へえ~、年下だと思ってました」ってすごいおどろいてた。失礼な話だ。


新宿ホルモンはレトロな雰囲気のお店で、メニューには今まで見たことのないような名前のホルモンがたくさんのっている。好きなものをたのんでいいというので、あたしは「ぱい」を頼んだ。「ぱい」はその名のとおり、牛のおっぱいだそうで、食べてみるとほのかにミルクの味がした。

ここのお店はレバテキがおいしい。レバテキってレバ刺しの表面を軽くあぶったもので、Tさんの数多い合コン失敗談を聞いてみんなで盛り上がってる間も、あたしはレバテキばっかり食べてた。Kさんは「合コンに行くからいい男に出会えないんだ」ってTさんに説教し始めるから、とりあえず、合コン暦はつきあいで3回ってことを強調しといた。Kさんも彼女はいないみたいだけど、「合コンなんか行かなくても普通に生活してたら彼女はできる」って豪語してた。


あたしたちの座った席は四人テーブルで、奥の席にあたしとKさんが並んで座り、手前の席に経理部長とTさんが座っている。真ん中に七輪が置いてあったんだけど、あまりにも七輪から立ち上る煙がすごくて、途中から七輪の向こう側が見えなくなってきたから、あたしたちは向こう側としゃべることを断念して、二人で話し始めた。Kさんは、合コンばっかり行ってる人はあまり好きじゃないって言った後、あたしみたいなタイプは好きだって言った。あたしがぽかんとしてると、酔っ払って真っ赤な顔をしたままトイレに行ってしまった。

独りになったあたしは煙を乗り越えて、ほかの二人と話をしてたんだけど、Kさんはいつまでたっても帰って来なかった。Kさんはお酒あんまり強くなくて、いつも飲み会ではビール一本までって決めてるらしい。「今日はビール10杯くらい飲んでるけど、大丈夫ですかね」って心配した経理部長がトイレを見に行くと、Kさんなんとトイレで眠ってた。仕事ではあんなしっかりしてるのに、今日はなんだかこどもみたい。


みんなで締めの冷麺と杏仁豆腐を食べて、おなかいっぱいになったところでお開きになった。別れ際、経理部長にKさんの最寄駅まで送ってあげるように言われた。親切にも新宿三丁目から丸の内線で四谷によってKさんを降ろして、四谷からJRで水道橋に帰るといいって路線まで指定してきた。Kさん、酔っ払ってたけど、一人で帰れますって言ってたし、大丈夫だろうって思ったけど、経理部長には今日の飲み代もおごってもらってることだし、言われたとおりに四谷まで送ってあげることにした。あたしは酒どころ、高知の出身でだいたい飲み会では真っ先に酔っ払てるタイプだから、酔っ払いのお見送りなんて人生で初めての経験だ。

四谷駅に着いたとき、Kさんはよっぱらってホームをよろよろしてたけど、丁寧に何度もお礼を言ってくれた。「ホテルまでひとりで帰れますか?」って聞いたら帰れるって言うから、あたしは改札でバイバイして、なんとなくいいことをした気分で満足して家に帰った。

今日は直接クライアント先のパチスロ会社に集合。稲荷町って地下鉄銀座線しか走ってないし、JR上野駅から歩ける距離でもないし、アクセス悪い。なんとか駅までたどりつき出口を出てみたものの、どっちの方向に向かえばいいのかよくわかんなくて出口付近の交差点でうろうろしてたら、横断歩道を渡ろうとしてるKさんを発見した。やった、この人についていけば自動的に会社に着ける!思わずテンションがあがり、やたらと話しかけてみるあたし。

やー、おはようございます、Kさんオフィスカジュアルの服モノトーンの花柄ですか。日焼けした肌に似合ってかっこいいですねー。

Kさん笑顔だけどちょっとひいてる。まあいいか。


朝から今回のチームの主任であるKさんに仕事を割り振ってもらい、説明してもらう。KさんはあたしとMさんそれぞれに担当する勘定科目について丁寧に説明してくれて、質問があれば何でも聞くように言ってくれた。あたしはちゃんと仕事を教えてくれる先輩が大好きだから、こんどの主任はあたりだ♪って思って、割り当てられた勘定について過去の調書なんかを見てたらあっという間にお昼ごはんの時間になった。今日は上司のSさんが一階のファミレスに行くって言うので、問答無用でファミレスに行く事に決まった。

Sさんは、昨日も書いたがミス上智に二回も選ばれたっていう美人。さらにスタイルもよく、仕事もバリバリするし、おまけに結婚もして子供もいる。って働く女性の理想像みたい。ただ、社内ではキレると怖いとか、女性に厳しいっていううわさもあって、今回初めて一緒に働く事になり、どんな人なのか楽しみ半分怖いの半分だった。

監査室にKさんが鍵をかけている間に、Sさんは何を思ったかおもむろにエントランスホールのパチスロの台で遊び始めた。ここのパチスロの台は全部デモ機で、コインも山積みだから、遊び放題なのだ。みんなで眺めてたら、Sさんがおもむろにあたしを見て「あなたもやってみなさい」と言った。ビギナーのあたしはちょっとどきどきして台にむかってコインを入れ、ボタンを押して遊んでみた。しばらくは変化がなかったけど、根気良くコインをつぎこんでると、のどかな牧場だった画面がどんどん進んで馬のレースになった。Sさんは「あらうまいわね」って、ちょっとくやしそうにあたしの画面を一緒に見てた。その表情がなんだかとてもかわいらしかった。



今日から新しいクライアント。これからギャンブル好きの同期Lさんもうらやむ、パチスロ会社の監査に行くことになって結構楽しみなあたしは、会社にはいってからの9ヶ月間を振り返りながらJR山手線に乗っていた。去年の11月に念願の会計士二次試験に合格し、12月にあこがれの監査法人Tに入社してから約9ヶ月、仕事もだいぶおぼえ、頼れる先輩、優しい同期にめぐまれて、受験時代みたいにお金に困ることもないし、何不自由ない生活をすごしてる。あと、何か足りないものといえば、恋かな。


待ち合わせ時間の10分前に八重洲の事務所に行くと、もうすでにチームのみんなは集合していた。前にタイヤの会社の監査をしたときに一緒のチームになったことがある、できる先輩Mさんと、元ミス上智で美人だけど気難しいって評判のSさん、そいで今日が初対面の、NY事務所から2ヶ月間限定で東京事務所にヘルプで来ているKさん。Kさんは調書箱を運ぼうとしたら横からさっと持ってくれる親切な人だ。レディーファーストの国から来た人は、うちの会社の上司とはなにかが違うね。


簡単に自己紹介をすませたら、タクシーで稲荷町のクライアントに出発。車中パチスロの会社ってことでパチスロやったことあるかって話題になった。みんなあまり経験なくて、Kさんのラスベガスが大好きでよくパチスロしに行ってたっていうスケールの大きい話を聞いて、「さすがアメリカ~」って圧倒されてるうちに会社に到着。エレベーターをでたあたしたちを待ち構えていたのはカジノ風のエントランスホールにずらっと並んだ最新のパチスロマシンだった。