ソファに腰掛けて。
今日はじめて君と唇を重ねる。
そして君がすぐに僕の座っている
上にまたがって抱きついてきた。
君がここまで動けると思っていなかった。
僕は君の回復具合と
君の気持ちが大きくて
とにかく圧倒されたな。
キスをすることなく
僕も君もお互いの感触を
ただ確かめるように
しばらくの間抱き合っていた。
待ってたんだよね。
こうすることができる時間を。
だからただ抱き合っているだけで
心が満たされていくのが判る。
そのあと、話しながらキス。
抱き寄せながらキス。
なかなかお酒を買いに行かずに
ずっとキスしていた。
ようやくお酒を買って。
テラスで乾杯して。
タバコを吸いながら。
君の話を聞いたり
なんていうかさ、
普通のことだよね、これって。
だけど、君が横にいて
しかも君の家で
ゆったりと話をしている。
これが永遠に続くわけではない。
だからこそ、
こうやって誰にも邪魔されることなく
2人で共有している時間が
とても貴重なんだ。
会話からキスの回数が増えてきた。
いつの間にか隣のマンションの
窓が閉まっている。
僕と君はベッドルームに移動した。
ベッドでも君と何度となく
キスを重ねた。
その先はないんだけど、
君は羽織っていたものを脱いで
僕もシャツを脱いだ。
流れのままに僕はすべて脱いで
君と肌を重ねた。
君をはじめて抱く緊張も
違和感はまったくなかったと思う。
ただ、君と僕は自然に
肌を重ねていたと思う。
君がまだ完治しているわけではないから
僕が君に対して性的に
攻撃的になることはなかったけど、
そんなことは今日の君と僕には
敢えて必要もなかったよね。
僕が君に覆いかぶさったり
君が僕の上に乗っかかったりして
僕らはそれからも何度も抱き合った。
携帯を見たら、
着信とメールが何通も入っていたけど
今はその時じゃないな。
そう思って時計だけ見て
また君を愛した。
ギリギリに君の服をピックアップして
缶チューハイで酔った君を
ソファに座ったまま眠らせた。
このまま病院に戻したら
間違いなくバレるし
僕だって出入り禁止になりかねない。
たかがお酒で
病院からの君の印象を
不必要に悪くしたくない。
そう思って、少し寝かせた。
果たして君は、
たかだか数十分で君の酔いが
さめるなんてこともなく。
君は今までで一番甘えた様子で
冷静な僕を引き戻すかのように
ちっちゃなかわいい声で
僕に愛を囁く。
僕が唇を重ねていると。
その唇が邪魔をして、
囁きが途切れる。
こんなギリギリに甘えやがって
という気持ちと
その甘えを受け止めてさ
今こそ君をベッドにもう一度
連れていきたい衝動に駆られる。
でも、もう戻らなきゃ。
君と僕との関係自体が危うくなる。
君が大事だから君を現実に戻す。
僕は矛盾した思いを抱えていた。
僕は時間ギリギリまで
君と囁きあい、キスをして。
そして君をタクシーに乗せた。
完全に酔っている君は
車内でキスをせがむ。
酔っ払いめ!ってあしらうと
君はとても悲しそうな
この世の終わりみたいな表情を浮かべる。
僕はできるだけ優しく
できるだけ冷静に
君を病院まで送り届けた。
ナースの数人にかるく挨拶をして
僕は病院を後にし、
おそらくすぐに寝るであろう君に
簡単にlineを送って。
電車に飛び乗った。
僕らはまだはじまったばかり。
話していないことがまだ沢山ある。