チェリビダッケのプロコフィエフ《スキタイ組曲》
Sergei Sergejewitsch Prokofjew
Сергей Сергеевич Прокофьев
«Скифская сюита "Ала и Лоллий"»
Suite scythe ("Ala et Lolli")
"Die Skythische Suite” Op.20
今日採り上げるのは、プロコフィエフの《スキタイ組曲(アラとロリー)》作品20です。
此の曲は、元々はロシアの作曲家セルゲイ・プロコフィエフがスキタイ人を題材としたバレエ音樂《アラとロリー》として作曲したものでしたが、スケッチを書き上げた段階でセルゲイ・ディアギレフに示したものの、ディアギレフの關心を惹くことに失敗して、ディアギレフから、此れは《春の祭典》の二番煎じだと言って斷わられてしまったと云います。其處で、プロコフィエフは、演奏會用の管弦樂組曲《スキタイ組曲》として書き直したのでした。
從って、バレエ音樂としては成立しなかった事から、本來の曲名である《スキタイ組曲》に、《アラとロリー》の題名が添えられる事が多い樣です。
樂曲は、以下の4つの樂章で構成されています:
1. ヴェレスとアラへの讃仰(Поклонение Велесу и Але; L'adoration de Vélès et d'Ala):
野蠻で色彩的な音樂は、スキタイ人の太陽信仰を表し、兇暴な部分は太陽神ヴェレスを、そして柔和な部分は其の娘であるアラを表しています。
2. 邪神チュジボーグと魔界の惡鬼の踊り(Чужбог и пляска нечисти; Le dieu ennemi et la danse des esprits noirs):
スキタイ人がアラに生贄を捧げていると、7匹の魔物に取り圍まれた邪神チュジボーグが野卑な踊りを舞い始めます。
3. 夜(Ночь; La Nuit):
邪神チュジボーグが夜陰に乘じてアラを襲い、月の女神達がアラを慰めます。
4. ロリーの榮えある門出と太陽の行進(Поход Лоллия и шествие Солнца; Le départ glorieux de Lolli et le cortège du soleil):
勇者ロリーがアラを救いに現れ、太陽神ヴェレスがロリーに肩入れして、チュジボーグを打ち負かします。勇者と太陽神が勝利し、日の出を表す音樂に由ってエンディングと成ります。
今日紹介させて頂くのは、セルジュ・チェリビダッケの指揮するベルリン・シュターツカペレ(ベルリン國立歌劇場管弦樂團)に由り1966年1月15日に行われた演奏會に於けるライヴ録音です。
高度な作曲技術、色彩の豊かさ、魄力滿點のオーケストレーション、そしてシニカルな視點と謂った特徴を具えてたプロコフィエフこそ、チェリビダッケの解析的名解釋が功を奏するレパートリーと云い得るのではないでしょうか?
此の演奏は、舊東獨時代のベルリン・シュターツカペレに客演した際の凄まじいライヴ録音で、チェリビダッケの覇氣なるものがリアルに傳って來ます。
チェリは後年にシュトゥットガルト南ドイツ放送交響樂團を指揮したライヴも殘していますが、晩年の堂に入った演奏とは違って、まだ痩身で激しいボディアクションでオーケストラを煽っていた時期に當る此の演奏に於いては、心中に期する所が有ったに相違有りません。
其れに、ベルリン・シュターツカペレはウィーンフィルと同じく歌劇場のオーケストラであるだけに、どの樂器を主役として立てるという事が本能的に理解できている感が有り、音色のキラキラとした輝かしさと相俟って、稀に見る名演を展開してくれています。
演奏メンバーは以下の通りです:
Sergiu Celibidache (Dirigent)
Preußische Staatspapelle Berlin
(1966.01.15 Live-Aufnahme)
(1966.01.15 Live-Aufnahme)