オツカレです。

新しい世界経済の秩序をどこが創造するのか激しい鍔迫り合いの真っ最中だ

［２６日　ロイター］米国の財政出動は「地獄への道」＝トポラーネク・チェコ首相　欧州連合（ＥＵ）議長国のチェコのトポラーネク首相は２５日、欧州議会で、米国の景気対策としての財政出動は「地獄への道」と非難し、ＥＵ内にはそのような道をたどる合意はないと述べた。
トポラーネク首相は、巨額の景気刺激策、「バイアメリカン」条項に代表されるような保護主義などを挙げ「こうしたもの全ての相乗効果と、さらに悪いことに、こうした政策を恒常的なものにしようとする構想は、地獄への道に他ならない」と述べた。
同首相は、前週にブリュッセルで開催されたＥＵ首脳会議で、加盟２７カ国が追加的な景気刺激策の導入をしないことで合意したと指摘。その上で「この問題は引き続き懸念事項であり、Ｇ２０でも議題として取り上げられるだろう」と語った。
２０カ国・地域（Ｇ２０）首脳会合（金融サミット）は４月２日にロンドンで開催される。
ＥＵは、景気対策は域内総生産（ＧＤＰ）の３．３─４．０％とみている。これに対し、米国はＧＤＰの５．５％を投入する予定。
チェコの議会下院は２４日、トポラーネク首相率いる中道右派連立政権に対する不信任案を可決。現内閣は、チェコのＥＵ議長国の任期が切れる６月に退陣する見通し。

「アメリカは、莫大な景気刺激策を行おうとしているが、これは『地獄への道』だ」

ＥＵ議長国であるチェコのトポラーネク首相がとオバマ大統領が前日に行ったテレビ演説でＥＵに行動を促す発言に間髪入れず真っ向から対決する構えだ。

米国の景気刺激法案や金融機関の救済計画などは結果的に世界金融市場の流動性低下を招くという考えなのだろう。

ＥＵの首脳の発言としてここまで激しい言葉を交えて米国に対する批判をはっきりと示したのは初めてのことである。

「米国は正しい道を選択しなかった」
「ＥＵがこの道を拒否したのは成功だ」

この発言の裏にはＥＵは首脳会議で加盟２７カ国が追加的な景気刺激策の導入をしないことで合意したことがある。

つまり米国方式が財政支出に重きを置いているとするなら、欧州方式は金融規制の強化に重きを置いているといえるだろう。

約１週間後に迫った主要２０か国･地域金融サミット(Ｇ２０)で、米国とＥＵの交渉はお互い譲らない厳しい結果となりそうだ。

ただ今回の異例の発言には議長国であるチェコの国政事情というのもある。

２４日にチェコの下院で提出されたトポラーネク首相に対する不信任案が同国史上初めて可決しているのだ。

このことでトポラーネク首相は辞意を表明した。２６日にも辞表を提出して内閣が総辞職することが決定的となった。

理由は政府の金融危機対応が悪かった結果として国民が苦しんだとの声が多い。

また隣国であるハンガリーやラトビアでも金融危機の対応を巡って首相が辞職するという事態に追い込まれている。

この東欧諸国の流れはＥＵの統合を強化するためのリスボン条約の批准に大きな支障が出ることが予想される。

またチェコにはもう一つ米国によるミサイル防衛レーダー基地建設などの問題も孕んでおりその後の政権により流れが変わる可能性もある。

来月５日には首都プラハでオバマ米大統領を迎え米ＥＵ首脳会議が開かれる。その中で議長国の政権が任期途中で退陣するのだ。

この結果を受けてＥＵの国際的な信用失墜を防ぐためにまた金融サミットでリーダーシップを握るためより誇張したとも考えられる。

このことは西欧諸国の東欧侵攻を阻み、旧ソ連の枠組み復活を目論んでいるロシアの戦略において格好のターゲットとなりそうである。

しかも世界金融において主導権を握りたいのは国ばかりではない。

［２５日　日経］ＩＭＦ、新興国向け緊急融資制度を承認　金融危機対応で　国際通貨基金（ＩＭＦ）は２４日の理事会で、新興国向けの緊急融資制度として「弾力的信用枠」の創設を承認したと発表した。金融危機の影響が新興国に波及するのを未然に防止する狙い。４月２日の２０カ国・地域（Ｇ２０）金融サミットで、ストロスカーン専務理事がＩＭＦ改革の一環として報告する。
弾力的信用枠は経済状況や政策運営が良好な新興国などが対象。理事会が事前承認した加盟国に対し、急激な資金流出が起きた場合などに条件や上限を設定せずに緊急融資する。
加盟国向けの一般的な融資の上限引き上げや、条件の見直しなども決定。同専務理事は声明で「より弾力的な融資制度の活用で加盟国の要望に効果的に応えられるようになる」と述べた。

各国中央銀行が存在感の増す中でＩＭＦの国際社会における地位失墜にならないよう破格の融資制度を設けた。

「貸出金利年０．４２～１．４２％。金額無制限。融資期間最長５年間まで」

ＩＭＦは１８５の加盟国を対象にしてこのような破格の融資を施行することを各国政府に通知を出した。

第一に国別によって定められる融資限度の枠を大幅に緩和してＩＭＦに出資した金額の５倍から無制限に拡大となる。

第二に融資期間を最長９カ月としていたものを最長５年という長期間に延長した。

第三に利子率においては融資金額により０．４２－２．４２％だったものを融資期間３年以内は０．４２％、３年以上は１．４２％まで引き下げた。

またこの新制度に対応するため資金基盤も大幅に拡大し、少なくとも５０００億ドル（約４９兆円）に倍増させる方針となった。

ＩＭＦは主要２０か国･地域金融サミット(Ｇ２０)で新しい融資制度の運営に必要な財源の追加出資を要請する計画だ。

この負担金５０００億ドルをどの国が負担することになるのか。先々にはＩＭＦ自体の存在価値が問われる結果になるのではなかろうか。

そして国連もしかりである

［２６日　日経］国連総長、Ｇ２０に途上国支援要請　９７兆円規模か　国連の潘基文事務総長は２５日、来月２日にロンドンで開かれる２０カ国・地域（Ｇ２０）首脳会合（金融サミット）参加国に書簡を送り、経済危機に苦しむ発展途上国への緊急の支援を求めたことを明らかにした。金額は明示しなかったが、ロイター通信によると、要請した支援総額は１兆ドル（約９７兆円）に上るという。
国連本部でブラウン英首相と会談後、記者団に語った。潘氏は「Ｇ２０は途上国の苦境を見逃してはならない」と強調する一方、金額については「Ｇ２０の指導者が決めることだ」と述べた。同首相は「各国との議論は進展している」と語った。
同サミットには潘氏も出席し、保護主義への対抗や気候変動問題、国際通貨基金（ＩＭＦ）と世界銀行を中心としたブレトンウッズ体制の改革も議論するよう促す。

国連は最貧困国の支援などのために、２００９－２０１０年にかけて「最低でも１兆ドルの途上国支援が必要」と推計している。

「ぜい弱な国々に速やかに目を向け、積極的な対策が講じられなければ、長期かつ深刻なリセッションにより、全世界の安全保障と安定に重大な影響を及ぼす可能性がある」とＧ２０の参加国に対して国際的な緊急経済対策を要請した。

国連総会では現在、経済危機が開発に与える影響を協議する３日間の国際会議が始まっており途上国からはさらなる国際支援を求める声が相次いでいた。

目指すべきは国際的な銀行システムの改革であり、ここでもＩＭＦと世界銀行を中心としたブレトンウッズ体制の改革と強化となっている。

では途上国支援は資金流動性の提供と信用収縮による社会不安回避が目的とした上でどの国からこの９７兆円規模のお金を捻出するのか。

国連、ＩＭＦと規模を出すのは良いのだがどうもこの言い分は日本の官僚と変わらないのではと思えてしかたがない。

日本がスローペースながら進めている中央から地方への流れと同様に世界をブロック単位でまとめる構想を考えたほうが良いのではなかろうか。

そして日本も再度アジア通貨基金創設を訴えたほうが外交戦略上得策だ。

オツカレでした。

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米国財政出動は「地獄への道」発言とＩＭＦの緊急融資制度と国連がＧ２０へ途上国支援要請を考える