オツカレです。

臨時の景気対策と恒久的な財政収支は分けて議論すべきではなかろうか。

［２７日　日経］基礎収支の１１年度黒字化、困難と表明へ　政府調整　政府は１月にまとめる経済財政運営の中長期方針で、２０１１年度に国と地方を合わせた基礎的財政収支を黒字化する目標の達成が困難との認識を示す方向で調整に入った。世界的な景気後退の影響で、税収が十分確保できないためだ。一方で公共事業や社会保障費を抑える歳出削減の計画は維持し、財政再建を進める。２６日の経済財政諮問会議後に記者会見した与謝野馨経済財政担当相は「０８年度だけで税収が見込みから７兆１０００億円も減った延長で考えると、（１１年度の黒字化は）かなり厳しいものがあると思う」と指摘。財政再建目標の考え方は、年明けの諮問会議で議論を続けると説明した。

基礎的財政収支（プライマリーバランス）
過去の債務に関わる元利払い以外の支出と公債発行などを除いた収入との収支で国債などの新規借り入れに頼らず、政策に使う経費を税収など本来の収入でどれだけ賄えているかを示す指標のこと。

税収が減少するとの想定から政府が掲げる２０１１年度の基礎的財政収支の黒字化目標の達成が難しくなっている。

また２００９年度予算案において新設した１兆円の「経済緊急対応予備費」について「現在の経済状況に対応した特例的な措置」と説明している。

目標達成に向けて「国民生活と日本経済を守るため当面の対策に全力をあげつつ、プライマリーバランス黒字化の実現に着実に取り組みたい」と見直しは行わない考えを示した。

どうも現状を考えると景気対策と財政再建の相反する政策の狭間で揺れているような中途半端な決着となっている。

また「今の経済は極めて異例な状況であり、予見し難いリスクが生じやすい」とし、雇用や公共投資などに状況に応じて配分していく考えを示した。

景気対策としての公共事業は切っても切れないらしい。今後の人口構成を考えれば世界に先駆けて新しい産業を生み出す高齢化社会となるのだが。

終了後会見した与謝野馨経済財政担当相では
（１）２０１１年度の目標達成が困難だが財政規律の象徴として残すべき。
（２）達成できそうにないものを努力目標として掲げるのは論理破綻。
との両論に分かれ結論を見送っているとのことだ。

さらに政府は中長期的な目標を前面に出すことで財政健全化後退との印象を打ち消そうとする動きが鮮明になってきた。

次回諮問会議は来年１月中旬を予定している。財政健全化目標を含め、「経済財政の中長期方針と１０年展望」の原案について議論する。

「経済財政の中長期方針と１０年展望」の素案では、「今後１０年の日本経済」の展望として３ケースの前提条件を提示。

今後１０年の日本経済については、２０１０年に世界経済が

（１）順調に回復（実質成長率１％台半ば程度）

（２）急回復（２％程度かそれ以上）

（３）底を這う（０％台後半かそれ以下）

の３つのシナリオで年明けの諮問会議で平均的な成長率試算を示す。

しかし最悪でも０％台後半かそれ以下とは楽観的な想定だ。過去にもこの手のシュミレーションで修正を余儀なくされたことは多々あるのだが。

一方、民間議員は、財政健全化の目標自体を「債務残高対ＧＤＰ比の発散抑止・安定化」に方向転換させるべきだとの認識になっている。

そこで「１０年展望」は、「１０年後を展望することで明日の一歩を踏み出す」として、成長戦略により目指す将来の日本の姿として、「低炭素高環境社会」「健康長寿社会」など７つの将来展望を記した素案を提示した。

具体的には電池やナノテクノロジーといった環境技術、コンテンツやファッション、地方自治体、人材、家計の金融資産など日本の「底力」を最大限活用することを目指している。

この素案で、「官民で資源を集中投入し、必要となる制度改革を実施する」とし、今後２、３年に前倒しで具体的な重点プロジェクトを示すとしている。

ようやく国家プロジェクトとして重点的予算分配ができれば期待が持てる。

あとは民間が多く議員と勤める諮問会議と既得権益を守ろうとの意識が高い官僚の綱引きの中で政府がどの程度諮問会議の意見を取り入れるか。

オツカレでした。

ぽちっとしてオツカレ～

基礎的財政収支（プライマリーバランス）１１年度黒字化困難に