三日目に突入し目途が立たない状況に少し焦ってきた。


仕事を3日休んでいるが・・・・・


一旦帰ってきますと言える距離でもない。


もちろん父をしっかりと見送る覚悟で帰ってきているので帰るつもりはないが・・・・


残してきた事柄がちょっと心配になる。

でもねぇ~私一人がいなくたって物事は回るものだ。
なんくるないさ~と気持ちを切り替えた。


重篤な状態になって3日目ともなると、かなり呼吸は浅く、酸素流量もMAX。


それでも血中酸素濃度は上がらない。
よく心臓が持っている。


3日間も水に溺れてもがき苦しんでいるよな状態をよく耐えている。


家に帰りたいと言っていた父。

余程あの世ではなく我が家に帰りたいのだろう(T_T)


父は今の家に60年以上住んでいる。

自分の歴史がすべて、あの家に詰まっている。


60年住み続けて離れた事がない人が4か月も家を離れている気持ちなんて想像もできない。


余程帰りたいのだ・・・・と思いながら父の顔を見ていると泣けてくる。


でも、、


あの世が本当の自分のお家なんだよ。

大丈夫、何の心配もなくお家に帰り~


と心の中で父に話かける。


昼ごはんを外で食べてから私はユニクロへ・・・・・インナーだけでも着替えたい。


日ごろユニクロで衣類を購入する事はない。

身に着けていて心地よくないからだ。

しかしこういう時には便利なユニクロ。


使い捨て感覚で衣類を買えるってすごい世の中になったもんだな~ありがたい世の中だな~なんて思いながらパンツやヒートテックのインナーを物色中に病院から電話があった。


すぐに戻ってきてください。

あっ・・はい・・


車で10分程度の距離だったのでタクシーに乗った。


病室に着くと、みちこも弟も顔面蒼白。


父の呼吸は今にも止まりそうな浅い呼吸だった。


最期の時が近づいた。


すごく配慮のある病院で、、、ハートモニター(心電図計)などの機械を一切、病室に置いていないので、心臓の動きに気を取られる事がなく本当に自然な形で父としっかりとお別れができた。


最期になり、みちこは取り乱した。




お父さん!
お父さん!

ありがとう
私はお父さんと一緒になれて幸せやったよ。

早く迎えにきてね(号泣)


と叫び始めた。

半狂乱になっている。


その反対に私はどんどん、ドンビキ状態。


お父さん!!
今度、生まれ変わったら夫婦になろうね、

お父さん・・大好きよ。。。


お父さんにしがみつき、とにかくずっと叫んでいた。


担当医、看護師みんなが部屋に駆けつける。


逝こうとしている父に縋り付き泣き叫ぶみちこの姿を見て・・・みんなが涙している。


弟も必死の形相。


私はどんどん遠い目になっていく。


ドラマ仕立てのようなリアクションをとっている2人を見ていると泣けない・・・・

でも本人たちは至って真面目なのです。


なんでこんなリアクションになるのかというとですね・・・


みちこは77歳なんですが、今まで人の死に立ち会った事がないのです。


葬式を経験した事がない。


人付き合いと言うか・・・・なんと言うか・・・・

そういうが人生に無い人なんです。


珍しいですけど。


77歳にしてまだ両親が生きていて、一人っ子という家系なんですよね。


親族もみんな生きている・・・・・長生き家系。


私も冠婚葬祭にはあまり縁がなく疎い方ではあるのですが、、、、私の比ではない。


だって人の死を見たことがないってすごくねぇ・??


数かい葬式に行った事があるらしですが、その亡くなった方の死に顔を見た事がないと・・・・あり得ないでしょう。


どれほど死という儀式から遠い人なんだ・・・・(^_^;)


人の死に立ち会う事が人生で初めての体験で、その初めての体験が大好きな父であると言う事なので、それって演技なの??とマジで思わせるほどの狼狽ぶりになるのもうなづける。


みちこは父がいないと生きていけない人だから・・・・・それはショックな出来事なんでしょう。


しかしこの二人のリアクションにある意味、カルチャーショックを受けてしまい、父を看取る最後に泣けない。。。。


みちこのリアクションにくぎ付けになってしまう私なわけです。


結局、、、そのまま泣けずじまいだったけど、、、、
最後にはお父さんにありがとうを一杯言った。


ねぎらいの言葉と感謝。
それしかなかった。


まぁはじめの二日間で一生分泣いたから気が済んではいたのですが(笑)


でも、もうひと泣きしたかったかな~なんても事も思った、父のイノチと過ごした最後の一日でした。