先日「Chocolat」(ショコラ)という10年くらい前の映画を見ました。


スェーデン人のラッセ・ハルストレム監督の映画なのですが、彼の映画はとっても温かいものを感じる事ができる素朴な物語です。




さんしょううおのブルース



おとぎ話や昔話のような雰囲気で「昔々あるところにおじいさんとおばあさんがおりました・・・・・おじいさんは・・・」というような感じです。


ゆったりとした雰囲気で安心して見ていられます。


ジョニーデップも出番は少ないですが、出演していて、10年前の映画なので若いです。


ストーリはいたって簡単。


一行で表現できます。


閉鎖的なフランスの小さな村にやってきた親子がチョコレートショップを開いて、村人の心を徐々に開いていくお話。


説明してしまえばこれだけ・・・でも結構深いです。


戒律が厳しく、古い因習で抑圧された村人が主人公ヴィアンヌ親子の存在で抵抗しながらも、心をリリースしていく様はまるで自分を見ているような感覚になりました。


新しいものへの抵抗感と慣れ親しんだ感覚への執着心・・・恐れ、恐怖、不安感・・・そういうものを感じながら苦悩しながら自分の中の縛りを解いていく・・・・・


そして主人公のヴィアンヌは教えてくれます。


他と違うという事を選択するには並大抵ではない覚悟がいるという事。


覚悟以前の運命もあるという事。


運命を受け入れて、それをやり尽くせば、その運命の輪廻から外れる事もあるという事。


物事そのものに「苦しみ」があるわけではない。
苦しみはその物事を捉え受け止める自分の中で生まれる。


人は不完全な生き物、、、だから現実に押しつぶされる事も、もちろんあるが、それに立ち向かう勇気みたいなものを人は必ず持っている。と・・・


主人公ヴィアンヌは他者を絶対に否定しません。


「あなたがそう思うならきっとそうね。。。」と相手の言葉に耳を傾ける。


良い悪いで判断するのではなく、この世界、この国、この村、そしてこの村の人達、自分でもさえもこの世の中のものは全て不完全なんだ。。。。


だから間違える・・・・・それを踏まえて外側を捉えていける人間性を培う事の大切さ、そんなことを学べる映画だと感じました。





私達社会は「こうでないといけない」というルールで自分を縛る事で心がどんどん硬くなる。


不自由になる・・・・

本質が見えなくなってくる。


善悪の縛りが一番解け難い・・・と私は感じます。


それにですね、気づける程度の縛りならいいんですけどね、気づけない縛りも人間の心性の奥深いところにあるのだと思うのです。


それを気づけなくしているものは、やはり外側に対して発しているネガティブなエネルギーなんだろうな~なんて自分を鑑みると感じるわけです。


自分の心の奥には見たくないものが、山ほど押し込められている。


それを見なくてもよい方法が私達を不自由にしているあらゆるルールなんでしょうね。


外側の決めたルールに従っていれば、自分の内側なんて見なくてイノチを真っ当できるわけです。


自由であればあるほど自分に責任が出てきます。


他と違うということで様々な出来事が押し寄せてきますから、逐一自分を観察していないと生きて生きないのです。


自動的に自分を見ざるおえない・・・・嫌な自分、愚かな自分・・・・冷酷な自分・・・そんなものを目の当たりしながら、自分と違う外側と付き合っていく。。。。


縛りから外れて自由に生きる事を選択する場合にはそれなりの苦悩を覚悟する必要がある。


じゃーそこまでしてなんで人は自由になりたいのか・・・・


それがイノチの方向性だからでしょうね・・・・

縛られたままじゃーやっぱり嫌なんですよイノチは・・・



最後に神父が村人に説教をします。


「今日は神性を語るのではなく人間性を語ります・・・人間の価値は何を禁じるか、排除するかでは決まらない。むしろ何を受け入れるか、誰を歓迎するかで決まるのでは・・・・・」


と・・・・・・


中々深い映画です。


私なりに一番感じたこと。

それは


「リリース」


という言葉。。。。古い因習を手放し自由になる・・・それは苦悩を背負うがそれは不幸せな事ではない・・・そう思える映画でした。



お時間があったら見て感想を聞かせてくださいね。(^^ゞ