30年間で、2万体もの遺体と向き合ってきた、日本を代表する監察医上野正彦さん。
現在は退職し、法医学の視点から見た文芸作品を発表する作家としても活躍中。
上野さんは監察医時代にはこんなことを言っていた。
死とは、ナッシング(無)になること。
形あるものがただなくなるだけ。
あの世というものは存在するものではない。
と考えていた。
死に対して非常にシビアな考えを持っていた上野さん。
そして監察医を辞めたある日、15年間連れ添った愛犬が死んでしまった。
その時、上野さんは無意識にこんな言葉をかけていた。
あの世”に行ったら、私の父と母を訪ねていきなさい。優しいジィとバァだから
“あの世”の存在を否定していた上野さんが、あまりの悲しみに「あの世」を肯定したのです。
上野さんは後に・・・・
実際に死に遭遇すると、“ナッシング(無)”じゃないんだよね。
あの世の存在がイメージとしてあるんですよ。
『死』を語る時には、矛盾なくして語りつくせないなぁ。だから難しいね・・・・
死と言うものを頭ではなく心で考えた言葉ですね。。。。。
彼は多分、この言葉を吐くために、30年もの間、死と向き合ってきたのでしょう。
死体を30年も切り刻み死の原因を探り・・・・・得た結論は「死」は「無」じゃない・・・・
そして人は矛盾から逃げられない・・・・
彼なりの答えなのかもしれません。
物事をやりきることのすばらしさ・・・・を感じました。
人は実際にやっている行為そのものではなく、往々にしてそれを利用して本来の意図を実現するのかもしれません。
感情は良しにつけ悪しきにつけ。。。。人を成長させる布石なのですよね。