眼球の場合はニオイがないからまだ良かった・・・・・


西成人は蜂窩織炎という病気になる人が多かった。私はこの病院にきて、初めて遭遇した病気であった。(学校ではならったけど)


蜂窩織炎というのは、なんらかの原因でついた皮膚の傷口から感染して炎症が起こるという病気です。


多くは足とか手に発症する病気。


その感染源となった傷口から炎症が広がり、バンバンに赤く腫れて、痛い。水疱もできるし熱が出る。


ほっておくと組織が壊死して筋肉が腐ることもあるし、感染源となった菌が全身に周り、生命にも支障をきたすこともある病気。


要は不潔にしているからである。


足が腫れているホームレス見かけたら、この蜂窩織炎か浮腫みどちらかですね。


さて何でこんな話をしたかというと、この蜂窩織炎というのは足がパンパンに腫れる。


西成人は何でか知らないが、長靴を履いている人が多い。


「長靴をはいたネコ」ではないが「長靴をはいた西成人」なのだ。


で・・・・・・普通、足が腫れたら長靴脱ぐでしょ・・・・あの人たち脱がないのだ・・・・それしか持ってないから・・・・


ムシムシした不潔極まりない・・・長靴の中で足はドンドン腫れいく・・・・長靴の中は雑菌、細菌達にとってはもっこいの過ごしやすさ・・・・


適度な湿気と温度・・・風通しも悪いからどんどん繁殖できる。


そう想像してみてください・・・・・・アマゾンの湿地帯に生の肉を放置したらどうなるか・・・・・考えるだけでも恐いでしょ。


長靴の中で炎症を起した傷口のある足は、より一層腫れてきて、傷口が化膿してくる。


もう皮膚表面はただれた状態・・・・・


彼の初めの病巣は親指だった。(ようだ)


運ばれてきたとき・・・・・悪臭が漂っていたが、まだ長靴で密閉されているから我慢できる程度。


長靴の中で足は最大限に腫れあがり・・・・自力はもとより他力でも脱がせることができない状況である。


長靴と足の皮がもう一体化している風・・


「切る・・・・?(- .-)ヾ 」


「足???」


「ちゃうよ。。。長靴・・」


というスタッフの会話を聞いて・・・彼は・・・


「長靴切らんといて・・・・(┳◇┳)」


「なんで?脱がれへんやろ・・・」


「これしかないから・・・」


「でも脱がれへんやろ・・・」


「・・・・・・・・・・o(;△;)o」


という意味不明な会話が続き・・・・事務員が何処からかサンダルを持ってきた。


便所草履みたいなもの・・・・を差し出して。


「これあげるから・・・・長靴はもうあきらめよ・・・なっ(・∀・)♪」


「そやそや(-^□^-)~このままほっといたら長靴じゃなくて足切らなあかんくなるでぇ・・・」


「これくれんの?(´_`。)」と草履を指す・・・


「あげるo(^▽^)o」


「じゃええよ・・・・(・_・;)」


と・・・・子供と会話しているような雰囲気である。


で皮膚と長靴の間にハサミを入れて・・・・ジョキジョキジョキ・・・・


一切りするごとに悪臭が漂い始めて、心なしか・・・・目がパシパシし始めた・・・


足首まで切ったところで手が止まった・・・・


「おる・・・・・おる・・・・キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!」


「なに!!!!なにおんの??????((◎)_(◎))」


「・・・う・・・・じ」


そこでいっきにハサミを入れた・・・バラバラと音が聞こえたがどうかは忘れたが、それぐらいボロボロと白いムニャムニャした物体が溢れてきた。


そして靴下が皮膚と一体化・・・してて、はがすと皮膚が一部はがれた。


涙が出るほどの悪臭・・・・・


親指・・・が半分腐ってる・・・・そこからウジが這い出てきた。


しかし私はもう慣れたもの・・・・・テキパキとウジを取り出して・・・


「先生~処置お願いします!( ̄▽+ ̄*)」と毅然とした態度を取れるようになっていたのである。


かろうじて足の切断は免れたけど・・・・親指は半分無くなっていた。


ウジ虫が腐った肉片を食べてくれたようである。


普通なら切断となるほどの炎症ぶりであった。しかし炎症度合いに比べて傷がきれいで回復も早かった。


さすが西成人だと、その時は納得したのだが・・・最近注目を浴びているウジ虫を使った治療方法を聞いて、もしかしたらウジ虫くんがこの人の足を守ったのかもと思うのである。


↓心臓の弱い方は絶対に見ないでください!!!

絶対に!!!( ゚-゚)( ゚ロ゚)(( ロ゚)゚((( ロ)~゚ ゚

マゴットセラピー


マゴットセラピーとはわかりやすくいえば、無菌ウジムシ創傷治療といい、オーストラリアの歴史的な治療方法を岡山大学心臓血管外科グループが日本に紹介し、治療実績をあげているものである。


糖尿病壊死により切断をするしかない状況の患者さんの傷に、無菌なウジをガーゼであてて、傷に繁殖させるウジムシ治療。


ウジ虫は腐った組織しか食べないらしい。


ウジ虫が壊死組織を食べ、生物的デブリドマン(傷口をキレイにする)をゆっくりと行い、ウジ虫が出す分泌液が殺菌消炎効果をもたらすことによって創傷の治癒が促進していく・・というもの・・・


自力でこのマゴットセラピーを行っていたということですね。


さすが西成釜ヶ崎、やるなぁ~って感じです。


この話何十年の前の話ではありません。たった10年くらい前の話です。


異国西成恐るべし ̄\(-_-)/ ̄


先々回の疥癬の話を読んで、体中痒くなったという光栄なお話をいただきました。


確かに一般の方には衝撃的な話だったかな・・・・と。


しばらくは自重することにしましょう~