さてさてウジ虫ですね。


60代の男性がベロベロに酔っ払って運ばれてきた・・・・・


路上での寝込みを襲われた形跡。


ただ何も持っていなかったので(路上に寝てる人が、何か高価な物を持っているなんて普通思わないだろうよ・・・)、腹いせボコボコに殴られたらしい。


しかし昨日今日の打撲ではなく、数日たっている感じである。


額と右目がパンパンに腫れて、血腫状態(よくボクサーが紫色になって目の上が腫れている様子)


目がもう開かない。


全身打撲・・・・・にも関らず、彼はグゥーグゥー寝てるし・・・・酒臭い。


多分痛みを誤魔化すために、じゃんじゃか飲んだのであろう。


西成釜ヶ崎はお金がなくても酒が飲めるところなのだそうだ・・・・お金がないと食事はできないけど、酒は飲める。


それは患者さん誰に聞いてもそう言うのである。(いまだ何故飲めるのかは不明)


しかし安酒であるから質はかなり悪い。体を壊すのは早い。


で!その腫れた目を消毒していると、ボロリと白い物体が落ちた。


床を見ると・・・・・・・・


「なんか動いているでぇ~( ̄Д ̄;) 」


そこにいたスタッフ(ドクター、ナース、事務員、救急隊員・・・・検査技師・・・ヘルパー)全員が絶句。


そして水を打ったような静けさ・・・・


「・・・・・・・・・・・」


「・・・う・・・じ・・???」


私・・・・は、床にかがみ込みマジマジとその白い物体を見極める・・・・


「間違いなく・・・ウジ虫・・・っぽい・・・かも」とピンセットでゴロゴロと白い物体を転がすとウネウネしている。


ドクターとナース以外は皆、10歩くらい引いて遠くにいるし・・・・


でもさすがである。


ドクターとナースもびっくりしているにも関らず、根っからの好奇心で覗き込んでいるのである。


床に転がっている一匹のウジ虫をピンセットでつかみ、銀色のお盆(膿盆)にポトリと入れた私。


「まだおんのとちゃう?」と私


「そやな~おるやろな・・・・瞼開けるの恐いな~」とドクター


私はゴム手袋をして、瞼を引き上げる・・・・・・


驚愕・・・・[●_●][●_●][●_●]


ボロボロとウジョウジョと出る出る・・・・何かで目を殴られて、眼球が破裂したのだろう。


そこにハエが卵を産んだと推測される・・・で、どんどん目が腫れてくるからジクジク状態が密閉されて、ハエの卵は孵化してウジ虫となった。ということだろう。


まあ原因はどうでもいいのだけど・・・よくぞここまでほっておいたものである。


ドクターが「主任さんやって・・・・(。。lll)」と私にピンセットを渡す。


「やってってなに、ウジ虫を取れってこと???????!Σ( ̄□ ̄;)Meがやるの??」と思わず英語になった。


でもこんな作業がキライではないことを、長年一緒に仕事しているドクターである、よく私の性分を知っている。


それからピンセットで一匹一匹取っていった。


結局おちょこ分くらいのウジ虫を取り出した。


達成感でご満悦な私ヽ( ´ー`)ノ


それからドクターにバトンタッチ。丹念に洗浄して消毒して治療終了。もちろん入院。


しかし、入院3日目アルコールの禁断症状が出て、半狂乱で出ていってしまった。


またきっと浴びるほど飲んでいることだろう・・・・片目で・・・


そして天に召される日はそんなに遠くないはずである。


極度の飲酒は緩慢なる自殺行為なのである。まあそれも人生・・・もう少しちゃんと話をして見たかったが・・・・・


禁断症状が出るまでは泥酔で寝てたし・・・・・禁断が始ったら、意味不明・・・片目がないことすら自覚していなかった。



これがウジ虫との初対面。


二度目の対面は足の親指であった。