ここの病院の毎日は本当に楽しかったのであるが、ただその中でやはりきついと感じたのは・・・「虫達」あった。


シラミやダニを駆除することは苦ではないけど・・・・自分が噛まれるとディープな気持ちになる。


ダニなんて血豆ほどあるのだ!!!それがシカッと皮膚にしがみついてとれない・・・・疥癬なんてのは、本当に恐い。


疥癬って知ってますか?


歴史は古いのですよ・・・・


ヒゼンダニ(疥癬虫)というダニの一種が、皮膚の角質層内の寄生する。そう・・・皮下(皮膚の下)で生きているのです。


古代バビロニアの時代から知られてて、数千年の人類の歴史に影響を与えてきた病気です。


ナポレオン時代の戦争で疥癬の流行がフランス軍の戦意を失わせたのは有名です。


肖像画のナポレオンが胸に手を入れているのは、疥癬で痒いため、と言う話も有ります。(事実は知りませんけど・・・)


ヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚表を動き回り適当なくぼみや毛穴をみつけてそこには入り込むか、短い穴を掘って皮膚下に身を隠すのです。恐い・・・・そして動くのとっても痒いのです。


雄の成虫は雌を探し求めて雌よりも活発に動き回ります。


交尾後(もちろん人間の皮膚の中で)、雄はまもなく死にますが、雌は角質層内にどんどんトンネルを掘り、毎日2~3個ずつ卵を産み続け、4~6週生き続ける・・・・そして永遠の繁殖し続けるのですね。駆除しない限り・・・・


こんなものを体内で飼っているいる西成人は少なくありません・・・・・


まあ最近でも老人介護施設などでも見受けられるみたいですが・・・・


だから私はいつも家に帰ると、まず玄関で全てを脱ぎ・・・・バケツに熱湯を入れて着衣を消毒。


そして風呂に入る。


それからでないと家でくつろげないのである。


どんなに防御していても、ダニには噛まれる・・・・痒いし痕になるし本当にそれだけは嫌であった。


家で繁殖させたら悲惨でしょ・・・・・それだけはなんとか食い止めましたけど。


シラミ、ダニ、疥癬の他によく見かけたのは「ウジ虫」


これは害がないので私的には平気だったけど・・・・見た目がグロテスクだから、スタッフの間では人気者はなかった。


便の中に住んでいるウジ虫はまだマシ・・・・


人の体に寄生しているウジはビジョン的にかなり厳しい・・・・


私は二度、生きた人体に寄生しているウジ虫を駆除したことがある。


一度は眼球


西成人で仕事してないホームレスは始終酔っ払っている。ゆえに・・・・・ウジが体に湧いていても気付かないのである。



話は横道にそれますが・・・・


皆勘違いがあるといけないので先に説明しておきますが、釜ヶ崎の西成人は仕事をしている人と完全なホームレスと2種類存在する。


西成には簡易宿泊所(ドヤ)を住まいとして、そこからセンター(職安のようなもの・・・実際は通常の職安とは様子が違うけど)で仕事を斡旋してもらい、日雇いで仕事をするという西成人も多数存在する。


このセンターはあいりん労働公共職業安定所の中にあり、一種独特な雰囲気で一般人が入るのは根性がいる。





この建物の中には「あいりん職安」「西成労働福祉センター」「大阪社会医療センター」が入っている。


釜ヶ崎の人間にはとっても大事で中心的な存在なのです。


1階は早朝時の※相対求人の場となる。


1階には大阪社会医療センター(病院、飲酒していると見てもらえない)の受付、西成労働福祉センターの早朝時の詰め所、売店、食堂(三栄食堂)などがある。2階には散髪屋、3階にあいりん職安、西成労働福祉センター、食堂がある。


4階以上は公営団地、5階~7階は大阪社会医療センター病院の施設がある。


※相対求人とは・・・・日雇労働者が手配師や人夫出しから日雇仕事を斡旋されて労働現場に送り出されるという仕組み。


また職安とあるが、職業紹介を行わない職安なのである。


雇いの失業保険(※アブレ手当)を受けるための雇用保険被保険者手帳(※白手帳)の交付、保険料の支払を行う場所。


↑これ結構意味不明


でも釜ヶ崎を知っている人は誰もがわかる用語なのです。


※アブレ手当とは・・・・病気や天候不順などによって、一時的に仕事が中断された短期的な失業状態に対して支払われる、日雇い雇用保険による給付のこと。


この失業手当を受け取るには、被保険者手帳(白手帳)をまず取得する必要がある。働いた日は雇い主が印紙を一枚貼る決まりがあり、2ヶ月で26枚分働けば、翌月の一定期間、1日最高7500円を受け取れる仕組みになっている。


(だから26枚貼れたら、それ以上仕事しないという人は多い)



※白手帳とは・・・・正式には「日雇い雇用保険手帳」だが表紙の色が白いのでこう略されることが多い。印紙を所定数貼れば失業手当(アブレ手当)を一定期間受給することができるという、日雇い労働者のための手帳。


80年代にこの白手帳の支給認定が厳しくなり所持者が激減した。原因は、認定のために住民票の提出を義務付けたためである。日雇い労働者の多くが生活の中心としていたドヤは、宿泊施設としかみなされないため、たとえ生活実態の場がドヤであっても住民票を置くことを大阪市役所は認めない。


こういった事情があるため、ドヤ住まいの日雇い労働者やドヤへの支払いが厳しく野宿になった人はNPO釜ヶ崎やふるさとの家、解放会館に住民票をひとまず置いて白手帳を確保した経緯がある。


実はこの他にもホームレスを支援する団体がたくさんあり、住居はないけど働く意欲のある労働者に住民票を置くことをボランティアにしているところはよくあるのです。


しかし・・・やはり勤勉な人が少ないのも現実ですね。


続きは明日・・・