蛟(みずち)と自分の物語が始って間もない時期に、蛟が私の無意識に深く刻まれていると自覚する事を思い出した。


会社での話し・・・・


ショップに来たお客さんが何の前触れもなく唐突に「最近ね、よく龍の写真を撮るのよ♪」私に向かって嬉しそうに喋りだすのだ。


話の内容を要約すると・・・


そのおばさんは最近、空に龍をよく見かけるらしい。(もちろん本物の龍ではない・・・雲の話だ・・)


カメラをいつも持ち歩き、龍が現れたらバシャバシャ撮るのだそうだ。


それはとにかくすごい写真がおもしろいように撮れるので楽しくって仕方がないと・・・あるとき、とてつもなく大きな龍が2頭(?)頭を擦りあった形で現れたので撮ろうとしたが、写真には収まらないのでその姿を絵に描いたのだそうで・・・・その後色々な龍の話しが続き ・・・


その話の最後は、彼女の息子さんが電車に乗っていると、突然見知らぬ人が寄ってきて「あなたのお母さんは竜神さまに守られているので時々卵をお供えしなさい」と言われたんだって・・・まるで作り話のような話も尽きた頃に息子さんから迎えの電話が入り「今度写真もって来るわね♪」と帰っていった・・・


それから一度も会っていない。


変なおばさんが帰ったあと思った・・・もしかして私も龍神さまに守られてココまでやってきたのかな!?


・・・小さい頃から私はよく辰の絵を描いていた。


正確に言えばタツノオトシゴなんだけど、どうしてそんなものばかり描くのと先生に聞かれたことがある。


辰年だからと答えた記憶がある。


でも考えれば同級生は皆辰年なわけで、それだったら教室中辰だらけになってしまう。


が、そうはならなかった。図工の時間の写生でもタツノオトシゴを描いていて注意されたし、挙句の果てオルゴールの蓋にも龍を彫刻をした。


今から思えば、まるで獲り憑かれたように辰づくしの変なヤツであった・・・


そうやって、子供の頃から龍と深い縁があったとは、そのあばさんに会うまで気づかなかった。



これまで無意識の底に眠っていた龍が深い眠りから覚めて、日常のあっちにもこっちにも登場しはじめた頃であった。