一心寺の向こうに通天閣が見える。
昔よく見た光景・・・・



私は20代から30代前半の10年間、西成のホームレス専門の救急病院に勤めていたことがある。その病院に運ばれて、亡くなった人で引き取り手のない人は無縁仏として、病院からそのまま斎場に向かい、一心寺に埋葬される。殆どの患者さんは一心寺行きである。


万が一家族が見つかっても、引き取ってくれるケースは稀である。


この一心寺には私が携わった患者さんがたくさん埋葬されているのだ。


10年も勤めていたのに、私は一度もお参りしたことがなかった。


よしこおばさんがココにお参りにきた理由は、昔子供を死なせててそのお参りにきたらしい。


私は西成の人々の墓前の前で深くお辞儀をして、あらためてたくさんの「ありがとう」を言って帰ってきた。私にとっても西成の10年間は宝物である。


西成のホームレスの人たちは私からみたら、羽根のない天使に見えるほどである。以前「jizouの眼」というからだはうすの高橋さんが出していた機関誌に【羽根もげ輪なしの天使達】という題名で西成時代の話を書いていた。大好きなホームレス達との格闘の日々を書いたものである。


今でも新宿や上野などでホームレスを見かけると、『靴下履いているかな~』『足は腐ってないかな~」『カラダ痒いやろな・・・・』『あっ眼に黄疸が・・・』とどうしてもスゴイ眼で観察してしまう。


そんな凝視してたら、しまいに喧嘩売られるよ~と一緒に歩いている人に注意される。

一種の病気である・・・・


でももう戻れないだろうな・・・もうシラミもウジもアル中にも付き合えないだろうな・・・10年で充分である。宝物の10年・・・


この10年・・・私は完璧な人生の選択をしたと自負している。