ムーミン谷の彗星新装版（講談社文庫） [ トーベ・ヤンソン ]

小説シリーズの初書籍化作品。

今回も、前回↓のムーミンママに引き続き、メモ。

『ムーミン谷の彗星』～ムーミンママが素敵すぎる編

今回は、人生の師匠スナフキン様の名言の数々。

物語の大筋は

あと4日で地球が滅亡！？

地球に向かってくる彗星について調べるため、

ムーミントロールとスニフは、おさびし山の天文台へと旅をし、

スナフキンやスノークのおじょうさんと出会い、

彗星衝突に備える。

スナフキンといえば、濃い緑色の広つばの帽子と、みすぼらしい古着コート。

一人旅が好きで、行ったことのない場所を探検したり、釣りで運試しをしたり、ハーモニカにあわせて歌をうたったり。

多才で、リュックサック一つで旅をするように暮らし、人生を思索。

モノに執着しないミニマリスト的な思考を持つ。

こちらの『ムーミン谷の彗星』にて初登場。

物語の序盤、ムーミンパパとママにすすめられて、ムーミントロールとスニフは、おさびし山の天文台へと旅に出るのですが、

旅の途中、ニョロニョロやスナフキン、スノーク、スノークのおじょうさんと出会う。

最初に出会うのは、ニョロニョロ。

ムーミントロールとスニフはいかだで川をくだっていると、川を東のほうに向かって渡っていくニョロニョロ50匹ほどと出会う。

ニョロニョロは、物も言わないし、人のことを気にしていない。

両手を振りながら、ずっと遠くをにらんで、どんどん進んでいくだけ。

ムーミンパパの請け売り情報によると、ニョロニョロたちはどこかへ行こうとしているのだが、どうしても思ったところに行きつけなくて、いつもどこかをあこがれているらしい。

次に会うのは、スナフキン。

黄色いテントの下で、誰かがハーモニカを吹いている音が聞こえる。

ムーミントロールが声をかけると、緑色の古ぼけた帽子をかぶり、パイプをくわえた一匹のムムリク、スナフキンだった。

「もやい綱を投げろよ。君たち、コーヒーを少し、いかだに乗せていないか？僕は、スナフキンと言う。」

これが、ムーミントロールとスナフキンとの出会い。

スナフキンは言う。

「僕はあっちで暮らしたり、こっちで暮らしたりさ。今日は、ちょうどここにいただけで、明日は、またどこか行くよ。テントでくらすって、いいものだぜ。君たちは、どこかへいくとちゅうかい？」

スナフキンは、一人旅好きで、身軽に生きながら、人生のいろいろなことを深く考えている。

多くの経験から生まれた、心に染み入る名言を残していく。

ムーミントロールとスニフの旅の事情を聞いたスナフキンは彗星のことを話す。

「彗星というのはわからないものだ。どこから来てどこ行くのかね。君達、危険な星を見に行くんだろう。彗星とは一人ぼっちの星で、頭がへんになってるのさ。それで、尾を引きながら、宇宙を転げ回っている。」

ここで、ムーミントロールとスニフは地球を壊す恐ろしいものが、彗星であることを知る。

スナフキンは冷静に、彗星が今すぐは来ないと言い、

「日がくれてしまうまでに、みんなで少し散歩しないか？どこへ行ってもいいよ。

しかし、君がどこか行く目的が欲しいのなら、ガーネットの谷まで行こうか」と誘う。

ガーネットの谷は、薄暗くて静かで寂しいところ。

「日の当たっている時がいいんだ。そしたら、もっとよく輝いているからなあ。」

スニフは、その宝石ガーネットの山に大興奮。うっとり魅了。

スニフは、宝物、特にキラキラとしたものが大好き。また、モノを所有することにとてもこだわりがあるよう。

「あれがみな、君のものなの？」とスナフキンにたずねる。

スナフキンは平気な顔で答える。

「僕が、ここに住んでいるうちはね。自分で、きれいだと思うものは、何でも僕のものさ。その気になれば、世界中でもな。」

「あれをいくつかもらってもいい？」スニフがワクワクしながら聞く。

「好きなだけとれよ」とスナフキン。

スニフは、夢中でガーネットを拾い回るが、恐ろしい大トカゲがガーネットを守っていたのだった。

結局、一つもガーネットを持たないまま、大トカゲから逃げ帰る。

スナフキンは、そんなスニフに、名言。

「何でも自分のものにして持って帰ろうとすると、難しいものなんだよ。

僕は、見るだけにしているんだ。

そして立ち去るときには、それを頭の中にしまっておくのさ。

僕は、それでカバンを持ち歩くよりもずっと楽しいね」

スナフキンのおかげで、ムーミントロールとスニフの長旅は楽しくなった。

スナフキンは、知らないメロディーをハーモニカで聞かせたり、川遊びや魚釣りを教えたり、本当とは思えない途方もない話もしたり。

火の精を助けてやったときに、「地下のやけどの油」をひと瓶プレゼントされた話。

「地下のやけどの油」は、火の精が地球の中心まで潜っていくときに、体にすり込む油で、それをすり込んでおけば火をくぐることができるという。

スノークとその妹であるスノークのおじょうさんの話。

スノークの妹は、誰かがお腹を悪くすると、小さな腹巻を草で編んで、心のこもったスープを作ってくれる。耳の後ろには花を飾っていて、左の足には金の輪をはめている。

天文台につくと、学者たちに話を聞く。

彗星は、毎日だんだんよく見えるようになってるという。日が経つにつれて、いっそう大きく、赤く美しくなる。

学者が計算したところでは、8月7日の午後8時42分4秒に地球に衝突するらしい。

「今日は何日でしたっけ？」「8月3日だ。時刻はちょうど7時53分」

「それじゃ、ぼくたちすぐ帰らなくちゃ、さようなら」「日曜日のご馳走は何だったっけ？」と、

とんちんかんな会話をするムーミントロールとスニフ。

早く帰らなくちゃとあわてるムーミントロールにスナフキンが言う。

「落ち着け。そんなに走ったら、谷底へ墜落してしまうぞ。

彗星が来るまでに、まだ4日あるじゃないか」

「彗星なんか、家帰れば、パパとママがちゃんとしてくれる」

と、ムーミントロール。パパママ、ムテキ。

（そうだな。こいつたちは、家へかえったほうがいいだろう。彗星がこようと、くるまいとな）とつぶやく、ひとり冷静なスナフキン。

帰る途中、スニフは、荷物を持つのにくたびれて、ぼやく。

「くたびれたよ、疲れちゃったよ。

もう、このテントかつぐのかわってよ。小さなパンケーキ焼の道具も」

スナフキンは、そんなスニフに、またしても、名言。

「それは、いいテントだが、人間はモノに執着せぬようにしなきゃな。

すててしまえよ。小さなパンケーキ焼きの道具も。僕たちには、用のなくなった道具だもの」

スニフは、びっくりして、「本気かい。谷底へすてるの」

スナフキンは、うなずく。

スニフが荷物を全部投げ飛ばすと、素敵な音を立てて谷底へ落ちていく。

「さぁ、気分が良くなったかい？」とスナフキン。

この後、スニフは、「ぼく、めまいがする」といって、ばったりと地面に倒れてしまい、それ以上は歩こうとしない。

ほんとに、スニフは、幼いダメダメ男子、、、。

この後も、ムーミン谷に急いでもどる三人。

ムーミントロールが方角を確認しようと、磁石を見ると、針がくるくる回ってばかりいる。

「磁石は、彗星を怖がると思う？」

スナフキンは、「そういうこともあるかもしれないぞ。僕たちは、本能に従って歩くのがいいんだ。僕は、磁石なんか信用したことがないね。磁石は、方角に対する人間の自然な感覚を、狂わせるだけさ。」と答える。

そして、スニフはきっぱり、「ぼくは、いまのいま、食べ物に対する自然な感覚を持ってるよ。どうしてこんなに長い間、なにも食べないの」

スナフキンは言う、「そりゃ、食べ物がなくなったからさ。ジュースでも飲んで、たのしいことを考えながら、がまんするんだな。」

このあと、御一行は、食虫植物に襲われているスノークのおじょうさんを助け、旅にスノークと

スノークのおじょうさんが加わる、、、。

『ムーミン谷の彗星』～やはり、スナフキン様が好きです編①